第四話 飴ちゃんのレイフォトをフォトリベしよう!
「写影子ちゃん、何かな?」
我輩は頷いて胸ポケットからレイフォトを取り出した。
「これ」
我輩は、二枚のレイフォトを長机の上に置いた。
露世と鑑は身を乗り出した。
「これは『二』と『四』の番号のレイフォト?」
「うん。今朝、これが撮れたから何だろうと思ったんだ」
「『五』と『二』と『四』のレイフォトか……」
露世は顎を触って考え込んでいる。
鑑はうなって考えていたが、手をポンと打った。
「じゃあ、最初の飴玉のレイフォトをフォトリベしてみたらどうかな?」
「良いね。じゃあ、写影子ちゃんフォトリベしてみてくれる?」
「うん、じゃあフォトリベしてみるね!」
我輩は、張り切ってそれを手に持った。
そして、勢い良くフォトリベする。
すると思念が蟠って模られていく。それが形になったとき、やはりなと我輩は思った。
「これは、飴ちゃんのシャドウだね」
鑑は頷いた。
「以前と同じだね」
ということは、これは飴ちゃんの事を示しているわけだ。
出来上がったシャドウは、飴玉媛理の姿を模していた。これも以前のシャドウと同じで、上半身だけの目がガラス玉のようなシャドウだった。その色付きの銅像のようなシャドウが宙に浮いているのだ。
その飴ちゃんのシャドウは、無表情で喋り始めた。
『一。虹色の光のポイントにおける十枚のレイフォトを。消去!』
例によって、飴ちゃんのシャドウは用が済んだらさっさと消えてしまった。
露世がタブレットを取り出した。
「俺がメモしておくよ」
そして、長机の上でメモし始めた。
鑑が他のレイフォトを勧めてきた。
「じゃあ、もう一枚をフォトリベしてくれないかな?」
「そうだね。写影子ちゃん、次もフォトリベしてみて?」
「うん、分かった」
我輩は次もフォトリベした。
すると、先ほどと同様に、飴ちゃんのシャドウが出来上がった。
また、飴ちゃんのシャドウは、恬として喋り出す。
『二。二枚まとめて一度にフォトリベしろ。消去!』
そして、またしてもシャドウは用が済んだとばかりに消滅した。
鑑が露世のタブレットをつついた。
「一文字」
「はいはい、メモメモと……」
露世はすらすらとタブレットに入力していく。
「露世できた?」
我輩は、露世のタブレットを覗き込んだ。
「ああ、できたよ。ほら」
露世は、我輩にタブレットを寄越した。
鑑は笑顔だ。
「一文字、ご苦労様」
「一文字君、ありがとう。写影子ちゃん、読んでみてくれないかな?」
「うん」
我輩は、露世のタブレットを手に持って読み上げた。
「『一。虹色の光のポイントにおける十枚のレイフォトを』『二。二枚まとめて一度にフォトリベしろ』だって!」
露世は意図する事が分からないらしく、ひとり顎を触りながら唸っている。
「うーむ、二枚まとめて一度にフォトリベ……?」
鑑も判断しかねて、目をぱちくりさせている。
「えっ? 二枚まとめてフォトリベってできるの?」
我輩はうなった。
「やっぱりできるんじゃないのかな? 確信は持てないけど」
「それは分かるんだが、虹色の光のポイントというところが不明だなァ」
連辞に続き露世と鑑も考え込んでいる。けれども、我輩の見解は明瞭だった。
「我輩は知っているよ!」
いきなり手を挙げた我輩に、三人は驚いた顔を向けていた。




