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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第二章◆+◆行方不明の友達をフォトリベで救出できるかで章◆+◆
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第三話 もう一枚のレイフォト

 休み時間、我輩と露世・鑑・二階堂さんは、自習室に移動した。

 我輩は自習室の照明を点け、自習室の窓を閉めていく。

 その横で露世と鑑が自己紹介していた。


「俺は、一文字露世です」

「僕は、夜桜鑑です」


 二人の口から飛び出したのは敬語だ。我輩から、あらかじめ話を聞いていたのだ。


「いや、俺の事はタメ語で話してくれ」

「わかりま……分かった、二階堂」と、露世。

「分かったよ、二階堂」と、鑑も頷いている。

「写影子ちゃんは、連辞って呼んでね!」

「え゛?」


 少年の二階堂連辞に微笑まれて、我輩は固まった。

 視線を感じて振り返ると、露世と鑑が半笑いになっていた。

 しかし、視線がやけに冷たい。


「月野原、モテて良かったなァ」

「写影子は、逆ハーレムでも作るのかな?」


 鑑に関しては刻まれた笑顔が怖い。

 我輩、残念系に好かれましても……!


「いやいや、写影子ちゃんは露世と鑑と呼んでいるからね」

「なるほど、それに合わせるんだね」

 我輩は遠慮なく、タメ語で話した。


「それにしても、フォトリベって、こんな使い方もできるんだな」

 少年の二階堂さん――連辞を見ながら、露世が感心している。

 とても、シャドウだとは思えない出来だ。


 連辞は、褒められてまんざらでもなさそうだ。

「思念を込めると、分身のように操れるんだよ。しかし、それが可能なのは熟練者に限るわけだが」

「なんで熟練者に限るの?」

「未熟な者が実行しても、幽霊のようなお粗末なフォトリベになり、分身を操作することもできないだろう」

「へえ~」


 フォトリベとは全く以って奥が深いようだ。我輩も素直に感心した。


「それで、飴玉の捜査とは一体何から始めるのかな?」

 鑑が話を切り出した。露世も頷いている。

「俺も飴ちゃんを助ける協力したいんだが」

「そうだな、本題に入ろうか」


 連辞が長机の前に移動した。我輩たちもくっ付いて行く。


「光のポイントを撮った特殊写真を俺たち四ツ葉は、霊の写真『レイフォト』と呼んでいる」

「まあ、確かに幽霊みたいな写真だもんね」

「写影子ちゃんは、飴玉媛理のレイフォトを持っていたかな?」

「はい、これだよ」


 我輩はレイフォトを取り出す。


「これが、写影子ちゃんの持っている、飴玉媛理のレイフォトだ」


 連辞は、長机の上に我輩が撮ったレイフォトを一枚置いた。

 我輩は、頷く。それが一体何なのか。


「そして、これがもう一枚の飴玉媛理のレイフォトだ」


 連辞は、その横にもう一枚のレイフォトを並べた。


「写影子が撮ったの?」と鑑。

「えっ!? 我輩これは撮ってないよ!」


 連辞が長机の上に置いた飴玉媛理のレイフォトは、我輩の物と全く一緒だった。

 連辞は頷く。


探偵の能力(サーチファカルティ)を持つ者は写影子ちゃんだけじゃない。これは、最近まで四ツ葉で捜査に尽力していた写影子ちゃんと能力を同じくする者が撮ったレイフォトだ」


「飴ちゃんの姿が浮かび上がってきたのか」

 露世は納得したように頷いている。

「それから、彼が俺に残したレイフォトはこれとこれだ。写影子ちゃんに提供しよう」

 鑑はレイフォトを覗き込んだ。

「これは、真っ黒なレイフォトだね」

 露世も頷く。

「また、時が来たら浮かび上がるのかもな」


 一枚の真っ黒なレイフォトの横には、変わった特殊写真があった。

 露世がその特殊写真を指さした。

「それで、これも光のポイントを撮った物なのか?」

「そうだ」

 鑑も眉をひそめた。

「これは、『五』と書いているけど?」


 そのレイフォトには、人物の上半身は写っていない。

 代わりに、大きく『五』という活字が写っていた。


「はいは~い!」


 軽く手を挙げると、我輩に三人の視線が集中した。

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