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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第二章◆+◆行方不明の友達をフォトリベで救出できるかで章◆+◆
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第二話 転校生と女子

「これは、まさか光のポイントを撮ったのか?」


 やはり四ツ葉だけあって、フォトリベや特殊能力には詳しいようだ。


「はい、そうです」

「まさか、《《お前が》》光のポイントを撮ったのか?」

「だからそうですってば」


 二階堂さんは得心したように頷いて、ポケットから特殊写真を取り出した。


「まさか、お前が探偵の能力(サーチファカルティ)を持っているとはな」


 二階堂さんは、それをフォトリベした。

 フォトリベされたのは、二階堂さんのシャドウだ。

 ただし、それはかなり若い。我輩たちと同年代くらいか。

 恐らく、二階堂さんはそういう思念を込めてフォトリベしたのだ。


「俺も、捜査に協力しよう」

「まさか、捜査に協力って?」

「ああ、行動を共にしたほうが早いからな」


 我輩は目をぱちくりさせた。


「つまり、我輩たちと授業を一緒に受けるってこと!?」

「そうかもね。しばらく、マークさせてもらう」


 まじか、それ。我輩は安心ではあるが。


「よろしくな、写影子ちゃん」

「え゛っ!?」


 少年の二階堂さんは、よりによって名前で呼んできた。

 我輩、この人も苦手である……!


☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆


 翌日から、高等部・一年一組の教室に転校を装って二階堂さんが潜入捜査しにきた。


「二階堂連辞です」

「じゃあ、あの席に座ってね」


 二階堂さんは素知らぬ顔をして、先生の指示に従った。

 彼は我輩を一瞥した。そして、我輩から少し離れた後ろの席に座っている。

 例に漏れず、休み時間になると二階堂さんも女子の質問攻めになっていた。


「二階堂君はなんで転校してきたの?」

「世知辛い世の中から身を休めるため……かな。フフッ」

「え、ええ……」


 疲労感漂う二階堂さんのギャグに、教室がシーンと静まり返った。

 た、確かに! 嘘は言っていないが。

 サブかったらしく、女子の二階堂さんを見下ろす目が重くなった。


「最近は体中にシップ貼ってマッサージチェアに座るのが趣味なんだよね」

「へ、へえ……」

「風呂上がりに冷たい麦茶でくぅ~っと一杯! それで、健康番組見るのが日課なの」

「な、なんで?」

「節々が痛み始めてさぁ。だから、健康に気を付けないと……ってアレ?」


 女子生徒たちは潮が引くようにいなくなった。

 我輩の耳に闘志野さんたちのぼやきが届いた。


「なんだろ。ドッと疲れが」

「次回に期待しよう」

「御意」


 どうやら、闘志野さんたちはクラスの男子にトキメキを見い出せないらしい。

 転校生に期待をかけたが全敗なようだ。

 その時、二階堂さんが立ち上がった。


「写影子ちゃん、ちょっと良いかな?」

「えっ!? い、良いけど……」


 いきなり二階堂さんに呼ばれて、クラスの注目を一身に浴びる我輩。

 露世も鑑も事情を知っている。だから、騒ぐことも冷やかすこともない。


「月野原さん?」

「ッ!?」


 我輩は闘志野さんたちに呼ばれて、慌てて振り返った。


「滅茶苦茶応援するね~!」


 闘志野さんたちの女神様のような笑みに、またしても我輩は苦笑いを浮かべるのだった。

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