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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第二章◆+◆行方不明の友達をフォトリベで救出できるかで章◆+◆
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第一話 二階堂連辞(にかいどうれんじ)

 次の日の放課後のことだ。

 我輩は、ひとが空っぽなった教室の中にいた。

 自分の席から、スマホで四ツ葉に電話をかけている。

 飴玉媛理あめだまひめりの事で、我輩は探偵の能力(サーチファカルティ)の事を打ち明けることにしていた。

 騒ぎ過ぎたため、あのような輩に目を付けられる羽目になった。だから、捜査員に秘密を打ち明ける決心がついた。つまり、捜査協力を申し出たのだ。


『はい。こちら四ツ葉。若竹県県警本部です』

「あ、あの。我輩、月野原写影子と申します。飴玉媛理の特殊写真が撮れたんですが」


 素早く単刀直入に言おうとして出た言葉がこれだった。

 慌てて『フォトリベ犯罪課』に電話を回された。電話に出た捜査員に『そこで待っていやがってください。すぐに行きますから、待ち腐れ!』と、念入りにくぎを刺された。


 逃げるわけがない。我輩は、ちゃんと待つのだ。

 我輩は通話を切って、安堵して自分の机の椅子にもたれた。


「あ~、これで、我輩の事はひとまずは安心かな。あとは飴ちゃんが無事なら……」


 四ツ葉に守って貰えたら心強い。

 後は、我輩が捜査に協力すれば飴ちゃんも大丈夫なはずだ。

 我輩は気楽な気分で、気が抜けたように笑った。

 十分が経過した。我輩は、手持無沙汰にスマホを弄っていた。



「ん……? なんだ?」


 最初は耳鳴りかと思ったそれは足音だった。

 廊下から複数の足音がとんでもない速さで近付いて来た。


「な、なんだ!?」


 教室のドアが、鋭い音で打ち付けるように開く。


「月野原写影子! 確保ォ!」


 若い男の声が教室の中に響き渡った。


「げっ!?」


 四ツ葉の制服を着た捜査員たちに、我輩はがんじがらめにされた。


「あ、あの!?」

「俺は、二階堂連辞(にかいどう れんじ)。フォトリベ犯罪課の特別捜査員だ」


 彼は、二十代後半ぐらいの男だ。

 黒く凛々しい双眸に短いツーブロックの黒髪を持っている。

 俗世間を知りすぎたような顔をしているが、優しそうな目をしている。

 いや、我輩を取り押さえているが。

 だから、我輩の心臓が飛び出しそうに踊っている。


「一体何なんだ!?」


 腕を回されて身動きが取れなくなった我輩に、二階堂さんはその場にしゃがんだ。


「ふっ、もう観念することだ」

「な、何を勘違いしているんだ?」

「俺は、お前が飴玉媛理をさらった犯人だと読んだ」

「は、ハァ?」


 見事に迷推理だ。とは言えない。


「特殊写真は、本人の許可なくては撮れない。つまり、お前が撮らせるように命令したのだろう」


 なんでそうなるんだ!?


「仮にそうだとしても、我輩と飴ちゃんは友達です。くれたという選択肢はないんですか」

「まあ、それもあるな。しかし、お前は《《撮れた》》と言ったのだぞ?」


 確かに、我輩が撮った。しかし、我輩は間違ってない。

 光のポイントを撮ったら、特殊写真に浮かび上がったのが、飴ちゃんだったからだ。

 我輩は、《《光のポイント》》を撮った。

 だから、我輩は《《本物の飴ちゃん》》を撮ってない。

 よって、我輩の発言は虚言ではない。


「お前は《《飴玉媛理の特殊写真が撮れた》》と言った。しかし飴玉媛理は捕まっている。つまりお前が《《捕まっている飴玉を撮った》》犯人だと俺は読んだ」


 なんだ、我輩の言い方が悪かったのか。


「ちょっと、特殊写真を見せるので放してください」

「放してやれ」


 我輩は、鼻息荒く他の捜査員の腕から手を引き抜いた。


「えーと」


 胸ポケットの中から特殊写真を取り出して、二階堂さんに示した。


「これです」

「こ、これは! やはり、お前が飴玉を!」

「違います。良く見てください。この特殊写真は目がガラス玉みたいですよね」


 飴玉媛理の人形のような特殊写真の違和感に、ようやく二階堂さんは気付いた。

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