第十三話 一章完結 黒幕2
飴ちゃんの姿はホログラムのように透き通っていた。
まるで、この飴ちゃんがシャドウのようだ。
いや、この飴ちゃんがシャドウだったのか!?
「月野原さんが、俺の悩みを解決してくれるって信じているから!」
「どういうことですか、これは!?」
呪文を放った三毛野先生が一番動揺している。
「飴玉!」
「飴ちゃん!」
鑑と露世が慌てて声をかけている。
「あ、飴ちゃん?」
「じゃあね、月野原さん」
「えっ、ちょっと待ってよ!」
「絶対に、俺を見つけてね」
我輩は、飴ちゃんに握られた手を固く握った。
しかし、それは空気のように掴めない。
とうとう、飴ちゃんは透明な空気になった。
それは、今まで一緒に居た飴ちゃんはシャドウだったということに他ならない。
じゃあ、本物の飴ちゃんは一体どこにいる?
飴ちゃんの消失に、ショックで我輩の視界が揺れる。
辺りが、水を打ったように静まり返った。
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後日、それは大ごとになった。
飴玉媛理が行方不明になったと、テレビのニュースで報道されたのだ。
そして、今まで飴ちゃんのシャドウがフォトリベされていたこともあり、『四ツ葉』が本格的な捜査を開始した。『四ツ葉』とは、本日国のフォトリベ専門の治安を守るための行政機関である。
事件が色濃くなる中、我輩と露世は並んで下校していた。
「ニュースでも言っていたけど、シャドウがフォトリベされたってことは、飴ちゃんがどこかで助けを求めているってことだよね」
我輩は、飴ちゃんの事で気落ちしていた。
「待てよ? 昨日、三毛野先生のシャドウが暴走しただろ?」
「それが何?」
「三毛野先生のシャドウができたのは、オリジナルの三毛野先生を何者かが特殊写真に収めたからなんじゃないか。それも、撮った者の思念が邪悪だったっていう」
「そ、そうか。第三者が居るってことか。じゃあ、飴ちゃんも?」
露世は頷いた。そして、特殊写真を三枚我輩に手渡した。
「やる」
「えっ!? これ、露世の特殊写真!? いいの!?」
「おう。月野原のシャドウは使い物にならないらしいし仕方ないだろ。ただし、変なことには使うな! これは、お前が身を守るために使え!」
「う、うん。わかった」
あんな事件の後だから、そんな遊びに使おうとは我輩も思えない。
それに露世の特殊写真は、何故か武装しているので、そんな気にもならない。
「ありがとう、露世」
胸ポケットの中身を、露世の写真と一緒に纏めるため取り出す。
「えっ!」
我輩は目を疑った。胸ポケットには、紫の光のポイントを撮った時にできた、真っ黒な特殊写真が一枚あったはずだ。しかし、その写真はあぶり出されていた。
「露世、これ。飴ちゃんの特殊写真になってる!」
「例のあれか。これも、目がガラス玉みたいだな」
「ということは、紫の光のポイントを撮ったら、飴ちゃんの謎を解くための特殊写真になるってこと?」
「よし、明日から俺たちも捜査開始だ!」
「うん!」
そして、我輩たちの飴ちゃんの捜索が始まったのだ。




