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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第一章◆+◆大嫌いだったフォトリベがドツボにハマるかで章◆+◆
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第十二話 奇妙な飴ちゃん

 我輩はニヤリと笑う。

 出来立てほやほやのシャドウは、我輩を一瞥して喋った。


「ほう、写影子。今度は、ちゃんとピンク色ではない感じにフォトリベできたんだな」

「うん、頼んだからね、ロゼ!」


 我輩は、撮りたてほやほやの露世の特殊写真をフォトリベしたのだ。

 つまり、これは露世のシャドウのロゼだ。


「月野原! ピンク色の感じって何だ!?」


 脇で、本物の露世が怒っている。


「ま、まあ、良いからね。そんな細かいことは」

「細かくないだろ!」


 まあ、良いんだ、それはね。

 話を受け流した我輩は、視線をロゼの方に向けた。

 ロゼは、ファンタジーな鎧を着て大剣を背負っている。

 おもむろに、ロゼは背中に背負った大剣を抜いた。


「ま、待て! やめろ!」

「俺は、お前を倒したい気分でいっぱいだ!」

「待ってくれ!」


 問答無用で、ロゼは三毛野先生のシャドウに振りかぶった。

 そして、その大剣で一刀両断にした。


「ぎゃあああああああああああああ!」


 三毛野先生のシャドウはオリジナルではない。だから怪我をして死ぬことはない。

 三毛野先生のシャドウの思念は、蟠って、雲散霧消して、そして消滅した。


「用は済んだ。俺は去る。消去(イレイス)!」


 また、さっさとロゼは自ら消滅してしまった。


「あなたたち」

「えっ?」


 振り返ると、オリジナルの三毛野先生が目を覚ましていた。


「三毛野先生、大丈夫ですか!」

「あなたたちこそ、大丈夫ですか! わたくしの生徒にもしものことがあったら!」


 やはり、本物の三毛野先生は優しい先生だ。


「うう……」

「いてて……」


 鑑と飴ちゃんも目を覚ました。ゆっくりと起き上がっている。


「大丈夫、二人とも?」

「これって写影子がやったのか?」

「うん」

「やるなぁ、月野原さん」

「二人とも何ともなさそうで安心したよ」


 その横で、露世が三毛野先生に尋ねていた。


「三毛野先生は、ご自身のシャドウに拉致られたんですか?」

「良く分かりません。どうやら長い間眠らされていたようです」

「やっぱり! 変だと思ったんだ~。普段、三毛野先生はお優しいのに」と、飴ちゃん。


 夕暮れの静けさが戻ってくると、ドアの所で鍵を開閉している音が聞えてきた。


「なんだろう?」


 すると、シャエコが消去されなくて、鍵を作って遊んでいた。


「あれ? 消去されてない? えーと、消去(イレイス)!」


 しかし、我輩の呪文ではそれは消えない。


「もっと強力な消去の呪文が必要だね。イレイサー呼ぼうか?」


 鑑がスマホを取り出している。


「わたくしが消去の呪文を唱えましょう」

「待ってください!」


 それを止めたのは、意外な人物――飴ちゃんだ。


「月野原さん」


 飴ちゃんは、明らかに元気が無くなった。

 うつむき加減で、目元に影を落としている。


「ど、どうしたの? 飴ちゃん?」


 飴ちゃんはいきなり涙を零したりと、様子が変だった。

 飴ちゃんは我輩の手を取った。


「月野原さんが、居てくれてよかったよ」

「えっ?」


 我輩が居てくれてよかった?


「月野原さんなら、俺の悩みを解決してくれると信じているから」

「えっ? 悩み?」


 我輩の頭の中にはクエスチョンマークが飛んでいた。

 どうして、我輩が飴ちゃんの悩みを解決できるのか。

 露世も鑑も顔を見合わせて不思議がっている。


 待てよ。もしかして我輩は、飴ちゃんに遠回しに告られているのでは!?


 飴ちゃんに握られた手で身動きが取れない。

 我輩は動揺の限りを尽くしていた。

 飴ちゃんは我輩の気も知らず、三毛野先生を振り返った。


「三毛野先生、消去(イレイス)お願いします」


 三毛野先生は目をぱちくりさせた。


「え、ええ。では」


 三毛野先生もわけが分からないようだ。

 三毛野先生は戸惑いながら「消去(イレイス)!」と呪文を唱えた。


「……!」


 我輩は目をギュッと閉じていた。


「……?」


 目を開けると、シャエコは消滅していた。なんとなく物悲しい……。


「えっ!?」


 そんな中で、ひとり涙を流す人物が居た。飴ちゃんだ。

 しかも、飴ちゃんは尋常な状態ではない。


「な、なんで、飴ちゃんの姿が薄くなっているの!?」

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