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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第一章◆+◆大嫌いだったフォトリベがドツボにハマるかで章◆+◆
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第九話 虹色の光のポイント

 奇妙に思った我輩たちは、一年一組の自分たちの教室まで戻ってきた。

 何もなければ、切り上げて帰宅する予定だった。


「えっ!?」


 教室のドアに気付いた我輩は、ぎくりとして足を止めた。

 先頭を歩いていた鑑が、教室のドアの取っ手に手をかけた。


「鑑!」


 我輩は鑑を慌てて止めたが、彼は躊躇せずに開けた。

 そして、教室の中を確認して振り返る。


「写影子、安心してくれ。何もなかったよ」

「月野原さんは、怖がりだね~」


 鑑と飴ちゃんは安堵したように笑っているが、我輩は平常心ではいられない。


「違うよ! そのドアが七色に光っているんだよ!」

「えっ!?」


 鑑と飴ちゃんは、驚いてドアから離れている。


「う~ん、僕たちでは、全然分からない」

「でも、写影子の目には見えているのか」

「つ、つまり、これは、光のポイントだよね?」


 我輩は慌てて魔法のカメラを手に取った。


「七色に光っている写真は何を示しているのかな?」

「とにかく撮ってみてくれ」

「きっと撮ったら分かるよ」


 二人は楽しそうに目を細めている。冒険気分なのか。

 かくいう我輩も、気楽な気分だ。


「じゃあ、撮るね」


 我輩は、パシャリと特殊写真に収めた。

 暫くすると、魔法のカメラから特殊写真が機械音と共に現像されて出てきた。


「なんだ、普通のドアの特殊写真だよ」


 今度はちゃんと現像されて出てきた。


「一体どういうこと?」

「せっかくだからフォトリベしてみないか?」

「そうだね~、面白そうだし」


 二人の意見に同感だ。

 この写真をフォトリベしなければ、気になって夜も眠れないだろう。


「分かった、フォトリベしてみるよ!」


 気楽な気分で、我輩はフォトリベした。

 しかし、それが間違いだった。

 我輩たちは用心して、『四ツ葉』に、相談するべきだった。

 そんな選択肢も選ばずに、我輩は気楽にフォトリベした。すると、思念が辺り一面に広がった。


「これはなんだ? 教室?」と、鑑が不思議がっている。


 その思念は七色の部屋に変貌した。

 これは、一年一組の教室のシャドウだ。

 我輩たちは、いつの間にかその七色の部屋の中に居た。

 万華鏡の中のような教室の内をぐるりと見渡すと、めまいがしそうになった。


「この部屋が何だろう?」


 飴ちゃんも不思議がっている。


「あら? 貴方たち?」


 我輩はギクリとなった。

 教室のビビッドがどぎつくて、その存在に気付くことに遅れた。

 教室の隅にあるデスクには担任の三毛野多摩みけのたま先生が居た。

 先生は、我輩たちを見つけて瞬きしている。


「えっ?」


 一見普通に見えるこの光景に、我輩たちは違和感を感じた。


「ちょ、ちょっと、待って? なんで、三毛野先生が《《ここにいる》》の?」


 このことには、流石の鈍い我輩も気がついた。


「そ、そうだよ、だってこれは」飴ちゃんが震えている。

「ああ。これは、一年一組の教室のシャドウだ。だから、この三毛野先生が……」


 鑑が三毛野先生に視線を走らせた。

 我輩は鑑に続いて、三毛野先生を見つめた。

 我輩は喉のつっかえを飲みこんだ。


「この三毛野先生が仕組んだってことだよね」


 我輩が言葉を発したその後。

 教室の前と後ろのドアが打ち付けられるように自動で閉まった。

 な、なんだ!?


「ちょ、ちょっと待って!?」


 我輩たちはドアの方に駆け寄った。

 ドアを引っ張るが、鍵をかけた時のようにびくともしない。


「も、もしかして。考えたくないけど」


 飴ちゃんの頬が引きつっている。


「十中八九閉じ込められたな」


 鑑の額から汗が滴る。


「ま、まじで」


 我輩の声は緊張感からか乾いていた。

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