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Graphina 3
「そうこーかえろー」
「あかね、ちょっと待ってー」
時刻は夕暮れ。
学校も終わり、玄関が生徒で溢れかえる時刻。
あかねは下駄箱で待っていた。
帰りの会のあと私は少しやることがあったので、先にいってもらっていたのだ。
帰ってくれていても良かったのに、あかねは残っていてくれた。
「あかね、残っていてくれてありがとう」
私は外履きに履きかえながらあかねにお礼を言った。
「……私にはこれくらいしか出来ないから」
いつもなら、別にいーよと軽く返してくれる明るいあかねは、その時だけ妙に悲しみを帯びていた。
「どうしたの?」
気になる。どうしたんだろうか。
「…ん?いや、なんでもないよー。」
無かったことにされてしまった。
変なの…。
あかねが校庭へと歩き出す。
黄昏時と人は呼ぶようだ。
異変が起こった。
その悪夢と言える出来事の最初は、訳が分からなかった。
ざくっ
野菜を切るときのあの包丁の音に似た音がした…かと思うと何かが飛んだ。
それはごろごろと此方へと転がってくる。
そこには見知っている顔が移っていた。
見知っている顔と言ったら一つしかない。
そう、それはあかねの顔だった。