試験
説明回です。
入軍テストで問われる評価は、学力、魔力、戦闘力の三つだ。
現在、駐屯地の一室では学力試験が行われていた。
問題1 魔力について説明せよ。
魔力とは、人の体に宿るマナの量のことを言う。
こういうと語弊を招くかもしれない。
マナは人の体だけでなく、大気中にも存在している。
そして、そのマナの中にも、いくつかの種類がある。これが俗にいう属性というやつだ。
魔法の使用において、マナは必要不可欠であり、マナが不足してしまうと、当然ながら魔法の発動は不可能となる。だが、消費した分のマナは再び大気中から少しずつ、取り込むことができる。では今度は大気中のマナがなくなるのではないか、という疑問が沸き上がってくるが、そういうことはない。人が消費したマナはただ消えるのではなく、大気中へと放出されていくのだ。
人は消費した分のマナを一度取り込む。ではそれ以上は?という話が出てくる。
人の体に宿るマナの最大量には個人差がある。そのため、最大量を超えるマナを吸収することはない。
そしてこのマナの最大量の大きさこそが、魔力の大きさとなる。
人の体の中での最大量は、何もマナ全体に限ったことではない。
マナの種類は無限大だ。だが、それぞれの種類にも、最大量が存在する。例えば、一というマナの数は千だったとする。だが、二というマナはたった一しか存在できない。
これがマナの各属性の最大量だ。
これにも当然、マナの各種類の最大量、各属性に対応するマナの最大量には個人差があるのだ。これが、属性の得意、不得意に繋がってくるのだ。
問題2 魔法の属性を全て上げ、その特性と、魔法に関することを一つ、簡潔に説明せよ。
魔法には現在、未分類のものを含めて八つの属性が世界共通となっている。
火、風、水、土、雷、光、闇、無。
無属性以外は単純なものだ。
火を起こし、風を吹かせ、水を湧かせ、大地を動かし、雷を落とす。
光を起こし、闇を深め、それ以外の全ては無に還る。
無属性以外は全てそのままだ。
無属性には現在属性未分類ではあるが、単一のカテゴリに属しているものがほとんどだ。
強化魔法、幻覚魔法、召喚魔法、時魔法、空間魔法がそれに分類されている。
最近では、時属性と空属性を新たな属性に加えるかどうかが議論されている。だが、これら二つの属性は未だ発見されていない。
そもそも何で属性を判断するかというと、魔法機械の一つ、魔力測定器には属性を色で判断する昨日が搭載されている。
これには古代に存在した、文明のシステムの一部が、ブラックボックスではあるが使用されているのだ。だが、恐らく今の時代よりも遥かに先に進んでいたはずのシステムを使用しても、色の判断ができないというわけだ。
問題3 魔法機について説明せよ。
魔法機とは、魔法士が纏う武具が収納されている道具のことだ。
というのは、これももともと現代で造られたものではなく、古代文明の遺産の一つというわけなのだ。それをコピー、量産しているのだ。
だがこちらはブラックボックスというわけではない。
魔法機には空間魔法と召喚魔法、二つ魔法が書き込まれた宝石が組み込まれている。
魔法機にマナを流し込むことで魔法を発動、この世界とは別の空間の扉を開き、そこから召喚するのが魔法機だ。ちなみにその空間の大きさは、武具一式分の大きさしか存在しない。というよりも、つくれないと言ったほうが正しい。空間を作るためには膨大な魔力が必要になるからだ・・・。
ミアにとっては簡単な試験だ。一度受けたことのある試験なのだから当然である。
午後五時、部屋は魔力測定器がある部屋へと移った。
ミアの前にいる受験生たちが次々に測定を終えていく。
残念ながら、受験生側からは自分以外の測定結果はわからないようになっている。測定結果が表示される画面が向こうを向いているという単純な理由だ。
ミアの出番が来る。測定するための腕輪を装着する。
「こ、これはっ!」
測定器の前に立つ一人の女性が目を見開く。
それだけだった。
「つ、次の方、どうぞ。」
だが、あきらかな動揺が見て取れた。
そして、夕食休憩を取り、最後の試験会場へと向かった。