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アールのマ

作者: 海原雄山

ある冬の日のできごとです。


とある院生がふと研究を終えて、まどのあるへやにたどり着くと、外は一面まっしろ。

「これははやく帰らんと。」

院生はいいました。


すばやく帰りじたくをして、エレベーターのB1のボタンを押しました。

外はおおよそ3どくらい。院生にとっては、こんなに積もったのははじめてのたいけんでした。


院生は自分のくるまで家にかえります。自分のくるまをさがしだして、院生はびっくりしました。

「くるまにもつもっとる。」


さむい手を自分のといきであたためる院生。

くるまの中もそれはもう、しんじられないような寒さです。

ワイパーをうごかすと、それは6.30センチメートルほど動いて止まってしまいました。

「まいったな。」


だんぼうを32どのさいきょうまで上げてから

院生はふるえて温まるのを待ちました。


となりのくるまにも人がのっているようです。


となりのくるまが先に出ていきます。


ふと院生は、くるまであそぼうと思いつきました。

「ここのそこに、りったいちゅうしゃじょうがあった。」

「そこのおくじょうは、きっときれいに真っ白ですべってたのしい。」


くるまがうごかせるようになってから

院生はくるまをだしました。

それでもどうろは一面まっしろ。わだちもすぐにしろくなっていきます。


ゆっくりとりったいちゅうしゃじょうまでくるまをうごかします。


つくと中のところは、ぜんぜん積もっていません。やねがあるからです。

そこについてすぐ、院生はくるまをとばしてくるまのつもりをとばしました。

そしておくじょうへ。


「みすった。」


おくじょうへ行くサカミチも、白くおおわれていてすべって上れないのです。


「うわあぱわあ。」

とさけびながら、みぎあしにちからを入れると四くのくるまはのぼりきれました。


おくじょうは、もじどおりのほんとにまっしろで、たくさんすべらせてあそべそう。

でも院生は、かなしいかおをしていました。


「さっき上ってきたサカミチを、ぶじ下れるだろうか。」


むかしむかし、そう、6年くらい前。

院生は院生じゃなかったときに、いちどすべってがけからおちかけた事があったんです。

そのときのこわいおもいがよみがえります。


「チェーンをつけるか。」


くるまからおりると、そこは3ど。

かさとチェーンをトランクから取り出して、てぶくろをつけました。


でもチェーンのつけかたが、さむくてわからないのです。

「はまらん。」


「どけんとおりれん。」

院生はさくせんをかえました。


サカミチのゆきを、すべてなくしてしまえばすべりません。

なので、院生はゆきかきをはじめました。

「えっさ」

「ほいさ」

「ふう」

「ふう」


「えっさ」

「ほいさ」

「はあ」

「はあ」


院生はうんどうぶそく。


くるまのタイヤがとおりそうなところだけしかゆきかきできません。


院生はしぬきでくるまをうごかしたとさ。

自分でほったところにタイヤをとおしていきます。

おかげでぜんぜんすべりません。

「よかった」

「たすかった」


白いせかいで、院生のせなかはびちょびちょです。

とてもさむかったので

「ハンバーガーがたべたいな」

院生はハンバーガーをたべにいきました。

「おいしいね」


おしまい

読破ありがとうございました。

ありきたりな話ではないと思うのですが、特にファンタジー色というのもありませんで、言ってしまえば体験談であります。


これをいかに童話調に仕上げようか、とちょっと気合いを入れてつくったのが

このお話になります。


童話というのは、言葉は非常に単純なものを、精査して使わなければならないと思っています。とくに、感覚、視覚に訴えるものは、とにかくシンプルにこだわりなく使用して、あまり読み手にクエスチョンマークを感じさせないようにしなくてはなりません。


でありますが、ところどころ、新語というか、読み手にとってはあたらしめの新鮮なコトバも混ぜてやらなければなりません。それは読む子供たちの教育のためであります。ただし、その密度はかなり控えめにしております。話の骨子をわからない言葉で隠してしまわないように極力気を付けております。ですが、まったく不要の語というのも入れていないつもりです。


ゆっくり言い聞かせるように読んでみてください。

不思議な雪の世界の感覚と、すごくスローな時間の流れ。

そして、どうってことのない、ちょっとだけ普通じゃない日常を

感じてみてください。



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