情けのないプロローグ
僕は思う。
人にはその人それぞれ使えるエネルギーの量がある。
それをどう振り分けるかが、その人の価値を決めるのだろう。
このとき、僕が割り振るべき最善の答えは
できる限り 使わないことだ。
世界はエネルギーで溢れている。
電気やガス、人の努力から生まれる発展…
現在地球上に立つほとんどの生き物が
エネルギーを消費することによって幸福が生まれることを信じて疑わないだろう。
だが僕は違った、僕が生んだのは 見にくい「恐怖」の二文字だけだ。
まぁ、そろそろ 長ったらしいこの口調にみなさんは、いらついていることだろう。
つまりは、単純にこの状況をみなさんが知りうる言葉で言い表すならば、
「嫌われている」と言っていいだろう。
どちらかというと「怖がられている」といった方が正しいか…
幼少の頃から目が鋭かった。
保育園では母親軍団が「やぐざの子だ」などとくだらないうわさ話を
その真っ赤な口紅を塗りたくった口から吐き出し合い。
小学校では目を合わせた女子が泣き出すしまつ。
中学校にいたっては もう、グループとして共にいることさえもできなかった。
その頃からだろうか…僕は世界を閉ざすように髪を伸ばし、
くさい物に蓋をした。
人と話そうという前向きな考えすら失った僕は
人目につかない行動をとるようになった。
それでなお、学校に行っていたのは親を心配させないためだろう。
ただただ笑顔を忘れない事だけがとりえのバカ両親を心配させたくないんだ。
これだけは変わらず僕を締め付ける最後の責任であり、思いだ。
このようにして、 くだらない陰気なヤツ
小野々木 翔太朗(おののき しょうたろう)が生まれた。