第二話
Blue Blast
「陸、がんばれよ。・・・心配ないぞ。あんなの楽勝だよ。」
そう笑顔で本田は言った。陸はヘリの中で小さくうなずいた。そうしてヘリが出発しようとしたそのとき、一台の車が銃声をならしながら猛スピードでやってきた。それを見てブルーブラストの隊員の人がヘリのドアをしめた。本田も車を出した。しかし相手はAK-47を持っている4人組だ。逃げるのはそうとう難しい。車がやられるのが先か、逃げるのが先か。激しいカーチェイスの始まりだ。
「よし、行ったか。じゃあ今度は、俺が逃げなきゃなぁ。あぁーメンドクサイ。」
そう独り言を言って一気にアクセルを踏んだ・・・。
しばらく真っ直ぐな道路をジグザグ走行した。が、とうとう曲がり角まで来てしまった。
現在150Kmで走行中。
どうする?そんなことは考えずに、いとも簡単にドリフトをやってのけた。
キュルルルル。タイヤがすべる音が響いた。しかし相手も負けじとふらふらしながらだがドリフトをした。
「相手もなかなかやるなぁ。ますますメンドクサイ。」
しかし、そんなことを言ってる暇もなく、二つ目の曲がり角に来た。と、そのとき・・・
パリィィィィィーーーン!!!後部座席の窓が割れた。防弾だが、あれほど撃たれたら当然割れる。
「クソッ」そう言って舌打ちをした。しかし、そんなのに同動揺している暇はなかった。
サイドブレーキを引く。そして後輪が動き始める。その瞬間アクセルを開ける、そして一気に踏み込んだ。「グッ!」と歯をくいしばる。
ボゥウウウウウウン!!キキィィィィィ!ガガガガガガガ・・・。
ドリフトは見事失敗。壁に車体があたり火花を散らす。後部座席が大きくへこんだ。怪我はなかったものの、もう少しで危うく死ぬところだった。
そのまま速度を上げ細い一本道を駆け抜けた。・・・大通りに出たしかし渋滞だった。
「なんだこれ?深夜だぞ。まぁ東京はすごいって聞いてたしなぁ。まぁ何とかして逃げなきゃなぁ。」
そういって車と車の間を抜け、開いているところに出た。相手もしつこく追ってくる。
信号が青になった。・・・大通りの車が一気に走り出す。その間を縫うように、車を一台、二台、三台・・・と綺麗にかわして行った。相手も追ってくる。そしてしばらくするうちに高速道路に出た。二台の車はバーを突き破り突っ込んでいった。車はそれほど多くはなかった。しかし相手はAK-47を持っている。油断は出来ない。
ブォォォォォ!一気にアクセルを踏み込む。一瞬車体が浮いた。
「逃げてやるよぉ!!!」
本田は今までに無いほど輝いていた。
車はまっすぐ走っていく。いくつものライトのアーチの下を時速200Kmで駆け抜けてゆく。時折、カンッ!と銃弾の当たる音がするが弾はほとんど避けている。免許は実はというと持っていない。しかし、試験を受けなくてもいいくらい、・・・それどころかプロ以上の実力は軽く超えている。実にすごい。ちなみにブルーブラスト隊員は無免許でも乗り物を運転することができる。今、西国JCT経由で千葉に入った。国道14号線に入り首都高を降りた。静かだった。
何かが本田を待っていたかのように・・・。
「陸君怪我は無いかい?」
「君づけしないでください。子供じゃありませんから。で、今からアメリカに行くんですよね。」
「いや、とりあえず空港に行くから。飛行機待ってるし。第一そっちのほうがリラックスできるしいいでしょ。ね?」
「ん?今の・・・」
「なぁんだぁい?」
ブルーブラストの隊員が顔をグッと近づけてきた。
「い・いやぁ(今のは気のせいか?)なんでもないです。」
「あ。そう。」
不気味だ。なにかと本田に似ている。
「あのぉ、お名前を聞いてよろしいでしょうか?」
「あぁ、そうだね。名前は教えることはできないけど、ただ佐官と呼んでくれればいいよ。」
結構言いにくいよな佐官って、でも偉い人ずっと一緒も結構いいなぁ。しかもベンツの次はへりだってさ。最高だぁ!でここで思う。試験とかは無いのかどうかがきになった。
「あのぉ佐官さん、このあと試験とか受けるんですか?」
「いや、もう大丈夫だよ。あの自衛隊の採用試験がブルーブラストの試験と思っていいよ。」
マスクで顔が見えないけど、たぶん笑顔だ。
「俺って、どこの所属になるんでしょうかねぇ?」
「ん〜ん、とりあえず戦闘班に行くと思うよ。そこで、本当にちょっとしたテストをして、階級を決めると思う。うん。」
「あれ?さっき試験は無いって―」
「採用試験<は>だからね。そっちは階級のテストだから。」
「そうですかぁ」
(なんだ、結局あるんじゃないテスト。でもまぁ、そこで階級がバンっと上げればいいって話だからなぁ)
「佐官殿!そろそろ到着します!用意をしてください!」
と、そのとき
カンカンッ! 銃弾が当たった。登ってくる太陽を背にヘリが上がってきた。ヴァイス・ジャッジメントだ。相手は機銃で攻撃してきた。だから、普通なら苦戦するはずだった。
「RPG-7をよこせ!一発でしとめる!だから、早くっ!」
あせっている感じは無かった。多分、余裕だ。
行くぞ!と共にドアが開放される。
バシュゥゥゥゥ!ッボォン!!!!下は野球場だった。しかし今日はまだ誰もいなかったからセーフだった。陸は堕ちたヘリを眺めた。不思議な気持ちになった。心では表せない、不思議な気持ちに。
「皆さん着きました。用意はできてますね。」
開放されたドアから、隊員の力をかりてヘリポートに降りる。そこには、本田とダンディなオッサンが立っていた。
「帰ってきましたかぁ。皆さん!無事で何よりです。」
と本田。
「さぁ、いそげっ!飛行機が待ってる。」
とダンディなオッサン。
「あの人誰ですか?」
当然、陸は聞いた。
「あぁ、あの人はボスの代理。ボスの次に偉い人。」
マスクをとりながら隊員は言った。・・・ん?
「そうです―・・・あれぇ!本田さん?」
「はい。本田ですが、圭司ではなくて、一博です。双子の兄です。」
笑顔だった。満面の笑みだった。でも、やっぱり気持ち悪い。
「話してなかったんですか?ったくちょっとぐらい紹介しててもいいんじゃないかな?ね。」
と笑顔で一博は言う。
「ま、なにより圭司が帰ってきてよかった。ね。」
(結構、弟思いなんだな。この人。)陸は、ちょっと尊敬して見ていた。
ボーッとしていると
「じゃあ、ここで俺はここで失礼します。」
「なんでです?」
「いやぁ、なんでもスペツナズの方から救援要請があってさ。帰ってきたら喋ろうな。ね」
「はい。がんばってきてください。」
「うん。」
「じゃな兄ちゃん。」
「じゃな。」
そういって別れた。
(仲いいなぁ。)うらやましく思った。
・・・しばらく圭司と代理の人の後を歩いていると
「ここから乗り場に行くから。ついてきて。」
そう代理の人に言われついていった。
2時間後・・・・・
「さぁ、着きました。ここが本部です。」
飛行機が戦闘機を改造したようなものだったから2時間でついてしまった。
「けっこう広いなーー。で、どすんの?」
「それでは、とりあえずボスに会いますのでついてきてください。」
「はぁ。」
ここはブルーブラスト本部。アメリカのとある牧場の地下にある。生活にはこまらなそうだ。なぜなら、意外と綺麗に整理されて、店だって大量にあって、まるでどこかの町のようだからだ。・・・話に戻ろう。
代理の人にそういわれ、またかと思いながらついていく。
15分ほど歩いた。隠し通路ような道を通り1つのドアの前まで案内された。
「では、私はここで。ここからはお2人でしか入ることができません。どうか、お気をつけて。」
と言い残し代理は軽くお辞儀をして去っていった。
「じゃ、行こうか。」
そう言って圭司は寂しそうにしているドアを開けた。しかし、そこはただの暗い廊下だった。
カチンッ!っと音がしてライトがついた。すると向こうにもう一つドアが見えてきた。
「あそこにボスがいる。」
そういって圭司が前を行く。陸もついていく。圭司が重そうなドアを軽く開ける。
「やぁ。君が陸君だね。待っていたよ。じゃあ早速テストを・・・というよりアンケートをしてもらおう。いいかい?じゃあこの紙に書いてね。」
「はぁ。」
結構陽気なおじさん系な人だった。そのおじさんからもらったアンケートの質問はこの2つだった。
1 好きな銃は?
2 嫌いな銃は?
(ふざけてるのか?ここは。)そう思いながらもしぶしぶ答えた。
1 好きな銃は? MP5 R.A.S
2 嫌いな銃は? 特に無し。
これで出してみた。
「うん。いいねぇ。素質あるよやっぱり。君は・・・上級大将でいいな。うん。」
「ちょ・待ってくださ―」
そう、圭司が焦りながら言う。
「は・・・・はい・・・・?上級・・ですか?」
「うん。それが君に一番あってる。」
「は・はぁ・・・」
「そうだ君にはMP5シリーズを全てあげよう。それと、狙撃は好きかね?」
「は・はい。まぁ。」
「じゃあ、テストしてみる?」
「ぜ・ぜひ。」
「あ・そうだ、圭司君もういいよ。バイバーイ。」
「は・はぃ」
圭司が落ち込んで部屋から出て行くのをボスの肩の中で見ていた。
「じゃあ、この部屋でやるから。銃は何がいい?」
「じゃあ、PSG-1で」
「そう。そこでカスタムして。終わったら隣の部屋来て。」
「はぃ。」
そうしてその部屋に入る。
ッカッ!!ライトがいっせいにつく。
「なんだ?この量?多すぎだろうぅ。」
そこにはPSG-1は一丁しかなかった。が、しかし、オプションの量が尋常じゃない。体育館ぐらいの広さはある。そこにある棚にスコープやらなにやらがある。
「多いなぁ。」
そう言いながら、選んでいく。
1時間後・・・
あまりに多くて、結構適当になったが、とりあえずなんだか聞いたこともないGPS社の4〜9×40スコープと意味はないけどGPS社のサイレンサー。それと、これまたGPS社のタクティカルバイポッドとGPS社のなんか衝撃吸収の肩あてがあったからつけてみた。
「じゃあそろそろ行くか。」
ちょっと気合をいれて隣へ向かった。
「おぉ、出来たかい?お?GPS社のつかってるね。それはブルーブラスト専門の会社なんだ。だから聞いたこともねぇとか思ったでしょ。そりゃそうだよ。ま、いいや。さっさとやろうテスト。」
「はい。」
とりあえず、テストを始めることにした。
「じゃあ、あそこのターゲットの頭の中央にある赤い点を撃ってね。じゃ、がんばって。」
そういってボスは近くの階段をのぼっていった。すると、
ウィィィン。という機械音とともにターゲットが出てきた。
「3人分撃ったら終わりだからじゃ、どうぞ。」
「はい」
そういってスコープを覗く。
ピュンッ!とりあえず1人分。ちょっとずれた。
ピュンッ!バレルを通りサイレンサーを通って空気を切ってターゲットを突き抜ける。今度はみごとにど真ん中。
「おぉっ!」
ボスがうなる。
ピュンッ!さらにど真ん中。
テスト終了。
「すごいねぇ君ィ。上級大将のことはあるなぁ。君、狙撃班もやっちゃう?」
「ぜひ!」
そう言って握手をした。
部屋から出る前に隊員証と制服、バッジをもらった。
「君が初だよ。入隊当時から上級大将はぁ。まぁよかったな。あ・あと君は「チーム・ブラスト」に入ったから。メンバーと待機ルームはここに書いてるから。そこ行って自己紹介でもしてきたら?あと圭司くんも一緒だから。がんばって。」
「はい。」
そういって待機ルームに行った。
>武器紹介
・AK-47 アサルトライフル
出身 ロシア
開発 イジェマッシ
口径 7.62mm×39
重量 約 3800g
全長 約 870mm
装弾数 30
よくよくテロなどでみかける銃である。
ソ連も使っていた有名なアサルトライフルである。
・RPG-7 ロケットランチャー
出身 ロシア
開発 ソ連
口径 40mm
重量 約 6300g
全長 約 950mm
装弾数 1
映画にもちょくちょく出てくるロケットランチャーである。
ヘリをも容易に破壊する。とても使いやすく、一人での使用もできる。
・MP5シリーズ サブマシンガン
出身 ドイツ
開発 H&K社
口径 9mm×19
重量 約 2500〜3000g前後
全長 約 350〜800mm前後
装弾数 30
アクション映画には絶対と言っていいほど登場する。
小さいものから、大きなものまでいろいろな種類がある。
・PSG-1 スナイパーライフル
出身 ドイツ
開発 H&K社
口径 7.62mm×51
重量 約 7000g
全長 約 1200mm
装弾数 5
主に特殊部隊や軍の使う狙撃銃である。
命中率はトップクラスである。