楽しみにしてる
こっくりさんは『狐狗狸さん』と書く動物霊と交信する呪法なので、取り憑かれたとか死んでしまったとか都市伝説は山ほどある。
だけど、こっくりさんの本当の語源が『モクリコクリ』からきているというのは案外知られていない。
なんだか可愛い名前なんて思うかもしれない。
モクリは剥く。
コクリはこそぐ。
皮を剥いで骨から肉をこそぐって意味。
なんの皮かって?
そんなの決まってる。
人間の皮を剥いで、骨から肉をこそぐ者の意味しかない。
包丁を持って「悪い子はいねか~!」って追いかけまわすナマハゲも、元々はモクリコクリに近い。
呪術としての狐や狗、狸のように使役できた動物が近づいてきて、ある程度のことを教えてくれるだけならまだ可愛い。
ちゃんと敬意を持って接すれば、それなりの力を貸してくれるかもしれない。
ちゃんとしなければ7代先まで祟られるけど。
そんな危険なことだって分かっているなら、最初からしないほうがいいのは分かるでしょう。
だけどもし動物じゃなくモクリコクリがきたら、その時はあきらめて。
剥がされて、こそがれるから。
うん。もちろん生きたままで。
信じなくても別にいいよ。
どれだけ痛くて苦しいか、わたしが一番よく知ってる。
むしろ信じないで呼んでくれたほうがいいかな。
わたしの仲間が増えるんだもの。
痛かったよ。
苦しかった。
わたしの体の皮が剥がされて、肉がこそがれるの見てるのに。
誰も助けてくれなくて。
あんな奴ら友達なんかじゃない。
だからずっとそばで、またコックリさんをするの待ってるのに。
あいつら、ちっともやりやがらない。
だから誰でもいいの。
早くコックリさんやってくれないかな。
誰でもいいんだよ。
剥がして、こそいでやれさえすれば誰でも。
ふふふ。楽しみにまってるからね。