表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウツロヤミ  作者: ミーン
36/39

叔父さん


 うちの父方の祖父は神社の宮司です。

 とはいっても有名な神社ではなく、地元の人にしか知られていないような小さな神社で、宮司だけでは生活していけないため、普段は地元の会社に勤めていました。

 それも数年前に定年退職してからは、地域のボランティアや相談役として年金生活しています。ちなみに宮司としての収入はいまだに雀の涙ていどです。

 神社の隠し財宝や曰く付きのものがないかたずねてみましたが、先祖代々、宮司としてこの地方の歴史を書き連ねてきた社務日誌こそが一番の宝だと笑われましたので、今問題になっている一部地域での文化財盗難の被害にはあわないだろうと楽観視しています。


 こんないい加減な神社ですが、不思議なことがいくつかあります。

 一つは、父方の兄弟が何代さかのぼっても“男しか生まれない”ということ。

 そして、“宮司を継ぐのが男しか許されない”こと。

 祖父や父、叔父さんを見る限り、決して古くさい男尊女卑の考え方なんてなく、むしろ、積極的に家事に参加してくれるほど。

 年齢的に『男子厨房に入るべからず』なんて言われていた時代の祖父なんて、わたしが泊まりにいったら喜んで手料理を作ってくれたし、しかも美味しかった。


 ただ、霊的な話になったとたん、祖父、父、そして兄の誰もが口をつぐんで話そうとしてくれなくなった。それを一族の女性に教えることだけはタブーらしい。


 唯一、そのあたりの話をしてくれたのは、父の弟である叔父さんだった。

「オレはまあ、一族の中でも異端だからな」と、笑いながら話してくれたのは、祖父一族の昔話。

 都市伝説のテンプレにあるような、よそ者のへの差別と偏見。そして、それを無理やり収めた当時の神社の宗教観念の横暴だ。

「……だから、オレらの一族には男しか生まれてこないって呪いがかかってるんだろうな。だけど、兄貴のように外へ出てしまえばちゃんと女の子も生れる。

 当時は大変な呪いだったのかも知れないが、今は問題ない。むしろ、外へ向けてより視野が広がったといえるだろう」


 笑う叔父さんだったけど、一番の問題が解決されていない。

「で、叔父さんはいつ結婚して外へ出るの?」


「うはっはは! ……すまん。そこはカンベンしてくれ」

 頭を抱えながら、一気に落ち込む叔父さんだけど、もちろん分ってて突っ込んでるし、叔父さんも突っ込みを期待してる……はず。


 この叔父さんの話はとてもじゃないけど怖い話とはいえないものばかりになる。

 それでも参考になるならいくつか紹介したいと思います。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ