かごめ かこめ
♪か~ごめ かごめ
か~ごのな~かのと~り~は
仕事からの帰り道で、ずいぶんと懐かしい歌声が聞こえてきた。
声のしたほうを見ると、公園で子どもたちが輪になって遊んでいる。
♪い~つ い~つ で~や~る
よ~あ~け~の ばんに
つ~ると か~めが す~べった
世代が代わっても、こういうものは受けつがれていくんだなあと、少しなごんで眺めていた。
♪うしろのしょうねん
あれ、いまの歌詞が違わなかったかな? と思ったとたん、子どもたちは一斉にわたしを見る。
♪だ~あれ?
まったく同じ動作、同じ無表情の顔で、子どもたちはわたしの後ろを指さした。
ゾクッとして振り返ったけれど、もちろん後ろには誰もいない。
イタズラか。やめてくれよ。
そう思って子どもたちに目を向けると、そこには誰もおらずシンと静まりかえっている。
「こ、今度は、かくれんぼ、なんだろう。きっと」
自分に言い聞かせながら、わたしは足早に家へと急ぐことにした。
あれが今の子どもに流行っている遊びなんだ。そうとも。変なことなんて何もなかった。
家へたどり着くと、今年四歳になる息子が出迎えてくれる。
いつもなら、一目散に足もとへしがみついてくるはずなのに、今日はどうしたんだろう。
息子はけげんそうに、わたしの後ろを見ながら「パパ、後ろのお兄ちゃんだれ?」と尋ねた。