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ウツロヤミ  作者: ミーン
30/39

キャンプ

毎年、夏になるとあの河原にはキャンプに人がやってくるけれど、わたしたち地元の人間は絶対にあの場所でキャンプや花火なんてしない。


毎年、夏になるとあの河原にはキャンプに人がやってくる。

決まった人じゃないけれど、必ず誰かがやってくる。今年は大学生の友だち同士のようだ。

あの木と、その近くにある石がテントを張るのにちょうどいいらしい。


だけど、わたしたち地元の人間は絶対にあの場所でキャンプや花火なんてしない。それどころか河原に近づく人さえいなくなった。

ネットで調べれば、あそこは数年前に起きた凄惨な事件の現場だなんてすぐ判るのに。

それでも毎年、夏には誰かがやってくる。あれからあの場所で事件や事故が起きたことがないだけに、記憶はどんどん薄らいでいくのだろう。


あの事件があった日も、今日のように蒸し暑い夜のこと。

わたしはこの窓から事件の一部始終を目撃してしまった。あの時の光景は今もわたしの記憶に焼き付いて離れない。

頭が叩き潰される直前にわたしはあの人と目が合ったけれど、わたしに何かできるはずもなく、せめて警察に見たことすべてを話すくらいしかできなかった。


今、大学生たちはバーベキューや花火を楽しんでいる。だけど、わたしの後ろにいる人はその姿を恨むでもなく、時々「どうして助けてくれなかったんだ」とつぶやくだけ。


本当にお門違いもいいかげんにしてほしい。お札だらけのこの部屋だけど、そのうち部屋中に塩でもぶちまいてみようかな。




キャンプを楽しんでいた大学生の一人が、ふと川向かいにある廃アパートから視線を感じて顔をあげた。


しかし、まっ暗なアパートには人の気配が感じられず気味が悪いと思ったけれど、せっかくの楽しいキャンプに水を指すことはないと気を取り直して、新しい花火に火を付けた。


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