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ウツロヤミ  作者: ミーン
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忍者だったおじいちゃん

おじいちゃんは酔うと「うちの祖先は忍者だったんだ」とよくいっていた。

そんなおじいちゃんも100歳近くなって寝たきりの生活をしていた。


うちの先祖は忍者だったと、幼いころから何度もおじいちゃんから聞かされていた。



だけど江戸から大正へと時代が移り、文明開化で近代化が進められるようになったころから忍者の需要が減って、たくさんの人たちが転職してしまったんだそうだ。



確かにうちには何に使うのか分からない古い道具や、読めない巻物がたくさんあるけれど、忍者だったなんて信じられないし、本当にそうだったとしても今さらどうしようもない。



だいたい、おじいちゃんはお酒を飲むたびにその話をしていたので、半信半疑どころかほとんど嘘だと思っていた。



そのおじいちゃんも100歳近くなって寝たきりの生活になり、ヘルパーさんに助けてもらいながら、うちで介護を続けていた。



ある日、ヘルパーさんが、おじいちゃんが何かつぶやいていると教えてくれ、口もとに耳を近づけると「忍法 霞隠れの術」と繰り返している。



忍術を使っているつもりなんですよと言うと、ヘルパーさんは笑っていた。



やがて、おじいちゃんの元気もなくなり、つぶやくこともなく、一日中眠り続けるようになった。



ある朝、ベッドをのぞくとおじいちゃんがいない。



あんな体でどこかへ行けるわけないのに。



家中探したけど見つからず、ヘルパーさんやケアマネージャーさんと連絡を取り合いながら近所も探したけど、おじいちゃんは見つからない。



とうとう警察に連絡して行方不明で捜索してもらうことになった。


でも、5日たってもおじいちゃんは見つからない。



一週間たってもまだ見つからない。



そのうち、おじいちゃんの部屋から異臭が漂いはじめた。



でも、どこを探しても匂いの原因となるものが見つからない。



もしこのまま見つけられなかったら、おじいちゃんの行方も判らないままなんだろうか。



警察に言っても信じてもらえるかなあ。



忍者だったっていうの、信じてなくてごめんね。


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