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ウツロヤミ  作者: ミーン
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人形好きの


わたしのクラブの後輩のお姉さんは、ドーラーだそうだ。



ドーラーというのは人形好きの人の意味で、部屋にたくさん集めて飾ってるらしい。



正直、ひいた。



わたしは、昔うちにあった無表情の日本人形が怖くて、引っ越しのときに捨ててもらったことがある。



ところが、引っ越し先でしばらくするとあの人形が置いてあった。



実はお母さんが捨てたふりをして隠しておいただけだったそうだけど、知らなかったわたしは本気で怖くて泣いた覚えがある。





以来、人形といえばあれを思い出す。



だけど後輩は「すごく素敵だから見にきて」と熱心に誘い、みんなも今度の休みに見に行こうという話になった。





後輩の家に集まると、そのお姉さんが部屋へ案内してくれた。



部屋の中を見るのが怖くて目をそらしてると、友だちの「へえー!」とか「可愛い!」とかの声が聞こえてきて、こわごわ見ると、そこにならべてあったのは日本人形じゃなかった。



リカちゃんくらいの大きさの人形から、もっと大きい人形。



顔がリアルでちょっと怖いのもあるけど、みんな可愛いドレスを着ていて、わたしが想像してたのとは全然違う。




ドレスをよく見ると、こんなに小さいのにフリルやリボンにも手が込んでて、縫製もしっかりしてる。




「人形自体も高いけど、この子たちが着てるドレスも高いのよ」



お姉さんが言うには、人形本体だけで小さいのでも五千円から一万円以上して、大きい人形だと五万円以上、中には十万円を越えるものもあるらしい。



さらに服やドレスだけでもそれくらいかかる・・・人間のより高いなんて当たり前なんだそうだ。






「大人の趣味よ。ドールは」と、社会人のお姉さんは笑った。




「だけど人形って怖くないですか?」わたしが聞くと、お姉さんは少し考える。



「よその子の中には怖い子もいるけど、うちの子はみんな可愛いよ。

それに、うちの子なら例え動いても平気。逆に動いてくれたら嬉しいかな」




お姉さん顔がマジだ。


わたしだけでなく、この話にはみんな引いてる。




「最近、仕事から帰ってくると勝手にCD鳴ってることがあるんだけど、いつも同じ曲かかってるのよね。

この間は夜中にいきなり鳴り始めて驚いたけど、同じ曲だったから、この子たちのお気に入りなんだなあと思って、終わるまでかけておくことにしたの」



空気を読まず夢中になって話すお姉さんに、わたしたちはビミョーな空気のまま早々にその家をあとにした。




だけど、少なくともお姉さんのおかげでわたしは日本人形以外はそう怖くないのが判った。




それよりもお姉さんのようなドーラー・・・動いてくれたほうが嬉しいなんて人形好きの人のほうが、よほど怖い。




少し脚色していますけど、ほぼ実話です。

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