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第九話 動き出したとき

次に目を覚ますと誰かが僕に声を掛けながら、肩を揺らしていた。

「起きて……起きて……」

 僕はそれで目が覚めた。すると目の前に愛川がいた。

「愛川なんで……?」

「なんでって、二条くんが駅に向かってたら急にどっかいったんじゃん。」

「そういえば……そうだったな。」

「先生もりっちゃんも心配して待ってるから早く!」

 なぜここにいたかの理由も聞かれないまま、急いで駅に向かうと先生と桃山が待っていた。

「二条なにしてたんだ?」

 と先生に聞かれた。僕は少年との出来事を隠したくて気づいたら寝落ちしてしまったことにして嘘をついた。

「そうかなんでもいいけどな、道端で寝るなよ。あとこの二人も一緒に二条を探してくれたんだから感謝しろよ。俺はこれで戻るから気をつけて帰れよ。」

 そういって先生は駅の方へ歩いていった。僕が二人に謝罪しようとすると愛川が言った。

「ばか……」

 一瞬戸惑ったがその時の愛川の表情は一緒に先生に怒られたあの日、謝罪してきた時と似ていた。

「二条くんさっきの嘘でしょ。」

 愛川にそう言われた。桃山も嘘だと分かっているようだった。僕が口を開こうとした時、桃山が先に言った。

「二条くんが言いたくないなら無理して言わなくていいんじゃない?どうせなにかあったんでしょ。けどねうちらを頼ってほしかったなって思ってる。」

「自分の弱いところを見せたくなくて、少し意地張ってたのかもな。」

 僕はつぶやくように言った。

「二条くんは弱くないよ。強い。強いんだよ……」

 なぜ愛川がそんなことを言えるのか意味がわからなかったけど僕は

「ありがとう」

 と言った。すると愛川は口調を変えて、

「けど……私たちに迷惑かけたんだからなんか奢ってよね」

 と言われ、帰りのコンビニで二人に飲み物を買ってあげた。帰り際、別れるときに二人と連絡先を交換した。僕の高校生活が、少しだけ動き出した気がした。

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