第八話 今度こそ
僕は小学生の元へ小走りで駆けつけた。二人には申し訳ないという気持ちもあったがこれが正しいと思った。
「大丈夫?どうしたの?」
と聞いても座り込んで顔をうつぶせた少年には反応がなかった。
「迷子?」
と聞くと少年は首を横に振った。少し間が空いて少年は顔をあげて言った。
「けんか……」
そういうとまた顔を下げた。僕は少年の隣に座って言った。
「友達とけんかしちゃったの?」
そう言うと少年は頷いた。
「けんかできる友達がいるんだろ。大切にしないとな。僕は小学生の時、いろいろあって転校して友達とお別れしたんだ。その時、けんかした友達も僕を優しく見送ってくれた。嬉しかった。」
「だから、友達は大切にしないとな。僕は転校してから仲のいい子はいなかった。いないとさびしいぞー?」
と少しおちょくるような感じで言うと。少年は顔を上げた。
「さあ、もう日も暮れるし、気をつけて帰れよ。」
そう言うと、少年は立ち上がって帰ろうとした。するとふいに振り返って僕に言った。
「ありがとう。お兄さんも頑張ってね。」
笑顔でそう言って帰っていった。僕は入学式の日の朝のことを思い出した。僕が迷ったせいでおばあさんが笑顔でいれる時間が減っちゃったのかもしれないと。その場で座ったままそのことを考えていると遠くから愛川の声がした。その声を聞いた瞬間、安心したのか、意識が遠のいた。




