第五話 クラスの一員
学校に登校するのは入学式以来だった。昇降口で多田に会った。
「多田のクラスはどんな感じなんだ?」
「まあそれなりにみんな話してるし、ワイワイしてるぞ。悠太、人の心配をする前にお前こそどうなんだ。今日からだろやれるのか?」
「出遅れたからな。クラスの人の連絡先誰一人知らないし、グループにも入ってねぇよ。」
「これからだぞ、頑張れよ」
そう言って多田と別れて重い足取りで階段を登り教室まで行った。教室に入るとみんなグループごとに束になっていた。僕はどんな目で見られているだろうと少し帰りたい気持ちもあったが、すぐに1限の授業が始まった。
昼休み、一人の茶髪の女子に話しかけられた。
「はじめまして、桃山里桜です。お願いします。」
「二条悠太です。よろしくお願いします。」
「二条くん。あのね、昨日委員会決めがあったんだけど図書委員が決まらなくて勝手に入れちゃったんだけどいい?」
「えー!?」
少し大きな声が出てしまった。やりたくはなかったので断る理由を必死に探したが特になく、
「やります……」
「ほんとに!?ありがとう。やっぱり二条くんならやってくれると思ったよ。私、図書委員だからよろしく!」
「よろしくです。ちなみにやっぱりとは?」
「あのね、私、陽葵の友達なんだ。入学式の日、陽葵を庇ってくれたでしょ、ありがとうね。」
愛川さんってひまりって言うんだ。庇ったつもりはないんだけれど。返す言葉が思いつかず黙っていると、彼女は話を続けた、
「陽葵、明るくて元気だからもうみんなと仲良くなってまるで入学式の日のことがなかったみたいだよね」
確かに今日一日見ただけでもいろんな人と楽しそうに話してる。
「なのに僕は、初日から浮いてしまったよ」
少し笑いながら言った。すると、
「そのことなら大丈夫だよ。陽葵がクラスのみんなに理由を言ってたし、グループLINEでも言ってたよ」
「そうなんだ……」
そんなことをしてくれてたんだ。なんて優しいんだ。胸の奥がギュッてなった。
「あれ、もしかしてクラスLINE入ってない?」
桃山に聞かれると僕は少し小さな声で、
「恥ずかしながら」
というと桃山は笑顔で、
「早く言ってよ」
といいながら僕をクラスLINEに追加してくれた。40人クラスの40番目に僕は入った。クラスの一員になれた気がして心の底から、ほっとした。




