第二十二話 決断の日
決断の日、父さんと二人で話した。
「で、悠太……決まったのか?」
「…………ごめんなさい。……決めれなかった。」
そう言って僕は涙を抑えて下を向いた。
「そうか。なら一つ、父さんから案がある。父さんの実家に行くのはどうだ?ばあさんしかいないからな。」
「でも、そしたら……もう、みんなと会えないの?母さんも父さんも彩葉も悠心もここにいる友達とも……」
僕は泣きながら言った。父さんは、僕の手を掴んで言った。
「会えるさ……絶対に。」
僕は父さんの謎の自信に背中を押された。
「あっちでも……上手くやれるかな?」
「きっとな。お前はできる子だからな。」
そうして僕は、小学3年の春から祖母の家で暮らすことになった。その後、上手くいったとは言えなかったが最近は二人のおかげで、楽しい時間が続いている――そう思えている。
「もうこんな時間か……」
僕は部屋から出てリビングに行くと、祖母と父さんが話をしていた。
「で、母さん、体調は大丈夫なのか?無理はすんなよ、悠太もいるんだからな。」
「大丈夫よ。心配はいらないわよ。」
「ほんとか?病院、ちゃんとこまめに行けよ。」
「わかった、行くわよ。」
「でさっきの話の続きなんだが、俺は仕事で春から海外にいく。だから、来年、高1になる彩葉をここで見てくれないか?」
それを聞いた瞬間、僕は驚いて物音を立ててしまった。
「あ…………」
海外?妹がここに住む?疑問点が多すぎて呆然としていた。すると、父さんが声を掛けてきた。
「悠太、いたのか。来なさい。」
その後、父さんと二人で話をした。
「悠太……いいか、父さん仕事で海外にいくことになったんだ。新しい挑戦をしに行くんだ。」
「もう……決まったの?」
「……そうだな、来年の春からだ。そこでだが、来年、高校生になる妹をこの家に住まわせてもらって、悠太と同じ高校に通うっていう感じなんだが、どうだ?」
「どうだ……じゃないよ父さん……なんでいつもそうやって、相談もなしに言うの?」
僕はいつもより大きな声ではっきり言った。
「そうか……悠太、お前も成長したな。」
「なにが言いたいんだ。」
「いつもお前は、あやふやであいまいで何事も決めかねていた。学校にどの服着ていくか、どの教科から勉強するか、選択肢があればその分、悩んでいただろ。だから、俺から一つしかない道を作っていた。」
「父さん……それは、優しさなの?」
「優しさ……ではない。でも優しさでなくはない。全て、一つの道しか作らなかったわけではない。選べなくて時間がかかるとき、そう見込んだときは、一つに絞ったんだ。お前が悩む分、俺も悩んでるんだよ……」
「父さん……もう僕……高校生だよ。だから、一緒に悩もうよ。」
父さんは涙ぐんだ目で言った。
「そう……だな。」
このとき僕は、父さんがまた勝手に決めていて、少しイラついていたのは事実だが、それより、父さんがはっきりと言葉にしてくれたことが、嬉しかった。
「で妹の件は、悠太、いいか?」
「いや、考えさせてくれ。」
「結局、そうなるのかよ……」
そう言いながらもアルバムを見たりして、久しぶりに、父さんと二人で夜中まで話し込んだ。




