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第十八話 触れる距離

「「ゆうくん……見て……」」

 そう言われて振り返ると、水着姿の二人がいた。分かっていたことだが、さすがに目のやり場に困った。すると、二人が何か欲しそうな顔でこっちを見ていた。

「どう?」

 ひまりにそう聞かれた。僕は二人とも可愛いと思っていた。ひまりは黄色と白のチェック柄でかわいらしい水着、りおは水色でおしゃれな感じの水着。僕がいいと思っていた水着をチョイスしていてドキドキしていた。

「か……か……」

「か?」

 だけど可愛いと言うのは、恥ずかしくて、二人にそういう目で見ていると思われるから嫌だった。

「か……かなり似合ってるよ二人とも。天使?みたい。」

「「ありがとう。」」

 そう言われたが二人とも嬉しそうだけど、どこか期待外れだったような顔をしていた。

「うちら天使だって。天使が楽しませてあげるよ。」

 りおに言われてドキドキして少し顔が熱くなった。

「天使だって天使!じゃあ、私、海入ってくるね。」

「待って。ひまり、日焼け止めは?」

「ほんとだ。忘れてた!」

「忘れちゃだめだよ。」

 それを言った、りおの顔は、何か悪いことを企んでいる顔だと僕は感じた。

「りっちゃん、日焼け止め塗って?リュクにあると思うんだけど。」

「ひまり、ないけど……」

「まじ!?やばいよ……りっちゃん持ってきた?」

「ひまりが持ってくるからって……」

「おわった……」

「ひまり、そんな悲しそうな顔してどうした?はいこれ、使って。それともこれにする?こっち?」

「ゆうくん、なんでこんなに持ってるの!?」

 ひまりがちょっと引き気味で聞いてきた。

「悩んでたら時間なくて、全部持っていこうかなって。」

「なにそれおかしいよ。ね、りっちゃん。」

「ほんと、おかしい。」

「笑うんだったら貸さないぞ。何のための大荷物だと思ってるんだ。」

「貸してね。お願い。」

「天使から神へのお願いです!」

「ひまり、僕はいつから神になったんだ?」

 そんな他愛もない会話で盛り上がっていると、急にりおが口調を変えて僕に言った。

「ねえ、日焼け止め私の背中に塗ってよ。」

 僕は一瞬ドキッとしたが冷静だった。

「ひまりに塗ってもらえばいいだろ。」

「ゆうくん、私の背中にも塗って。」

「ひまり……まじか……」

 僕はこのときどうしようかと悩んだがここで断ることはできないので覚悟を決めた。

「どうしたの?ゆうくんの物だしゆうくんがやってよ。天使からのお願い。」

 りおがそう言うと、

「……分かったよ。二人とも背中向けて。」

 僕は二人の背中を見て、思春期男子としての感情は殺して無になって日焼け止めをつけた手を背中に当てた。その瞬間、意識が飛びそうになった。柔らかい肌をいまこの手で触っているのかと――思考が追いつかなかった。そんなことを思ってボーッとして塗っているとりおに言われた。

「ちょっと……まだなの?長くない?」

 ドキッとしてとっさに手を離した。

「もう……終わりました。」

「……触りすぎ。」

 りおが小さくそう呟いた。顔は見えなかったけど、耳だけが赤くなっていた。

「すいません……」

「二人とも何いちゃいちゃしてるの?ゆうくん、私にも早く塗って。」

 ひまりがそう言うとりおはすぐにその場を去っていった。

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