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はるかかなた。  作者: さんまぐ
【初恋解呪。編】

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第91話 早い子離れ。

昇の怒号に皆がニコニコしていて、間近では初見の蒲生葉子と早稲田七海がドン引きしている中、「やっほー!来ちゃった」と言って真由さんが来る。


「あれ?真由さん?どうしたの?」

「茂が今呼べるメンバーを昇くんが呼び戻してくれたからって、声をかけてくれたんだよー!あ、この2人は初見さんだ!私は中野真由!茂の奥さんになる人ね!よろしくね!」


まあ、こうなると小岩家では、「食べてけー」「食べてけー」、「泊まってけー」「泊まってけー」になる。


本来なら、それは成人式を越えた後の大人になってからの話で、薫と香がおじさん達とお風呂に入って、奥手な上に育児に自信がない茂くんが中々子供を作らない代わりに、うちの子が孫をやって喜ばせてしまったところから始まった事。


それ以外でも、放任主義に近い教育方針で子供の自主性に任せる小岩家では、子供達が素直に育ち、こうして明るく健やかに集まり揃うと一丸となって楽しもうとする。


楽しい事が好きな巌さんと房子さんは「薫と香が居なくて寂しいんだから泊まれってば」、「そうよぉ。今からお泊まりセットを取りに行ってもいいし、なんなら皆で安さの殿堂で、寝間着から下着まで揃えてあげるわよ!」となる。


皆が人数を見て金銭的な意味で遠慮する中、真由さんは梅子と戻ってきたアルアルで話していて、昇の力で親達も戻ってこられる事を聞くと、「曽房さん!助けて!車出して!ウチもお父さん達を戻したい!話通じないし子供扱いされんの辛いの!」と言う。


曽房さんが「まあ…私としては構いませんが…」と言うと、皆を説得していた房子さんが「真由ちゃん!今日助かるかは昇くん達がお泊まりするかなのよ!」と言い、巌さんが「そうだぜ!真由ちゃんからも頼んでくれ!」と言い出す。


こうなれば真由さんは昇に匹敵する無敵の人になる。


「昇くん、泊まろう!楽しいよ!」

「やだよ!帰る!てかかなたのところに泊まるんだよ!酢豚と餃子だよ!」


昇は必死に断るが「今日はそんな事を言わずに楽しもうよ。房子おばさんにも頼んで、大部屋に布団敷いてもらうよ。かなちゃんの横を昇くんの布団にしてあげるよ。茂たこ焼きとかやろうよ!」と言い出す。


昇は少しグラっときたが「酢豚の気分だからダメ」と言う。


昇を後に回す真由さんは、私のとこに来て「かなちゃん!いいよね!?酢豚は今度でいいよね!?」と聞いてくる。


「まあ、私は昇が良ければいいし」と言ってから、房子さんを見て「食材費出せないけどお台所使ってもいいですか?」と聞くと、「勿論よ!」と返ってくる。


「よし」と言った真由さんは、会田くんと梅子の所に行って「2人の布団も横並びにしてあげる!いいよね!?と聞けば2人は真っ赤になるし、憶えていない&何も知らない堀切くんと美咲、葉子と七海は「え!?お前達!?」、「うっわ、いつの間に」、「えぇ?」、「そうなの?」と言っている。


真由さんは片っ端からカップル達に、「いい、まだ小学生で、昇くんとかなちゃんみたいに、堂々とお泊まりなんて無理でしょ?茂の家なら無問題なんだよ。泊まるよね?お布団横並びにしてあげる」と言えば皆不満はない。


多数決の話になってくると昇が不貞腐れる。

私は助け船のように「房子さんのOK貰ったから、肉団子の時短酢豚なら作るよ」と言うと、昇は「仕方ない」と諦める。


そんな中でも真由さんは優しい。

キチンと春香にも、「春香は決定だかんね。帰るとか言っちゃわないでよ。昇くんはかなちゃんの。それを忘れずに私達とは昔みたいに仲良くする!」と声をかける。

春香は本当に嬉しそうに真由さんに抱きついて、ワンワンと泣いた。


身勝手な話で自業自得だが、春香からすれば、前回の18歳で言えば、あの日からの転落人生は辛かったのだろう。両親から向けられた白い目と針の筵の学校生活、年不相応の大学生活と、自分が原因の両親の不和なんかを口にして泣いていた。

まあ、それ以外の筋道でも一木と優雅の誘惑に負けて幸せになった事は一度もない。


所々でその事も出てきて「あ、それなんかは覚えてるんだ」なんて私は思ってしまうし、あの時の苛立ちが蘇ってきて、ひと言ふた言くらい言ってやりたい気持ちにもなる。


そんな中、春香は心のままに泣いていて、真由さんが「バカだねえ。今度はあんな真似すんじゃないよ」と言いながら春香の頭を撫でていた。


まあ、私といえば美咲と明日香が「自業自得すぎ」、「泣いてチャラなんて図々しいです」と言ってくれて少しスッとしながら、春香は喉元過ぎたらまたやるタイプだから、私は「コイツは懲りる奴じゃない」と思っていた。



とりあえず車を2台出す事になり、大人数で買い出しと泊まり用意をする。小岩家は車で社員旅行に行くから、デカい車どころかマイクロバスまである。


とにかく先にウチの家族を戻してくれと頼む真由さんに負けて、中野家に顔を出して呼び戻すと、家族は戻ってこれた事に大喜びだし、真由さんに「もうお前は大人だ。補導に気をつければ好きにしろ」なんて言っていた。



だが、これは何もおかしい事はない。

実の所、ウチのお父さん達も「かなたの事は、もう昇くんに任せたからね」なんて言っていたし、私と昇が薫と香が生まれるまで子作りをしないと言うので、…生々しい話だが自分達がもう1人行っとく?と言っている。


まあお母さんはこの歳なら閉経してないけど…。

それでもなぁ…。


なんて思ったが、どの家も変な話だが50前後から40前後に戻されていればそういう気持ちにもなる。


お泊まり会の話にしても、遠慮せずに「いいんですか?」、「すみませんねぇ」なんて言って快く送り出してしまう。


「ウチのお母さん、怒りそうなのに」なんて言う梅子に、「…違ったらごめんね。ウチのお父さんとお母さん、今更私の妹とか弟とか考えてるみたい。多分、梅子のところもだよ」と言うと、イメージしてしまったのだろう。「マジで!?キモっ!」と言っていた。

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