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はるかかなた。  作者: さんまぐ
【初恋解呪。編】

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第90話 道標。

堀切くんが戻ってきてくれたのは良かった。

質問をする事の多い堀切くんが、昇に「んで?これなに?小6に戻ってきて何が起きるわけ?」と聞くと、「まあ俺としては皆とやり直したいわけよ。今度こそ最後だし、150年から上手く行かせるために、既定路線に乗せ続けてくれたかなたに、新しい毎日で笑顔になって貰いたい。んな訳で今度は茂も東中に行くし、生徒会長にもなって貰う」と言う。

生徒会長の言葉に皆が「おぉ」と驚いた後で、会田くんと梅子が「後は道連れが欲しい」、「この1週間、地獄だったのよ」と言って、子供に戻された後の子供のフリと、待ち構える受験なんかに、堀切くんは「うげ」と言い、関谷くんと明日香は「じゃあ今度は京成学院を目指して、かなたさんと同じ学校も夢じゃない!」、「そうだね!頑張ろう明日香さん!」なんて言っている。


「でさぁ堀切、後の元北小学校の連中ってどうにかなる?」

「俺は無理だ」


この会話の中、明日香が「あ…、私なら美咲ちゃんは同じ幼稚園の友達だよ」と言ったので、とりあえず王子美咲の家を目指し、チャイムを鳴らすのは明日香と茂くんになる。


美咲のお母さんは今回も「やだ!明日香ちゃん!久しぶりじゃない!どうしたのこんなイケメンを連れて来て!」と茂くんを見て大喜びしてしまう。


「茂のイケメンは役に立つなぁ」

「昇、イケメン言うのやめろ」


美咲はすぐに戻って来て、話を聞くと本当に嫌そうに、「え?中学高校?折角大学生活満喫してたのに?中学って山田も居るし一木も居るし、まだ北小学校だからガッツリ一木が居て嫌なんだけど、何してくれてんの?」と言う。


なんか定位置はできていて、美咲は堀切くんの横で文句を言って、堀切くんが「だよなー」なんて相槌を打っていて、皆が「これは?」と思っている。


「そう言わないでくれって。かなたの為なんだって」

「それでも嫌よ。かなたの為って逆の意味なら一木と春香のせいでしょ?それにお母さん達は戻ってこれないって超絶面倒くさい奴よ」


美咲はジト目で春香を見て、春香が小さくなると、梅子が「美咲」なんて注意をしてくれる中、春香を庇う意味ではないが昇が「試してみる?」と提案をした。


「やってみて」


美咲のお母さんを呼んだがやはり効果は出ない。


「なんだろなぁ…」と言った昇は、「俺がよく知らないからダメなのかな?」と言い出す。


「昇?」

「ほら、ウチの爺ちゃんたちはよく知ってるし、かなたのお父さんたちもよく知ってるだろ?華子さんにしても、結婚式の手伝いで一緒にご飯も行く仲だからで、んー…」


考える昇を見て、美咲のお母さんは「いったい何?お母さん手を握るならイケメンくんの方がいいわ」と言い出してしまっていて、美咲が「面食い」と突っ込む。


「王子、も一回試していい?」

「いいよ」


昇は美咲と美咲のお母さんと輪になって手を繋ぐと、「戻って来て」とやる。


なんとまあ、それで美咲のお母さんは戻ってきた。

昇に言わせると「俺だと、道標になれないと思ったんだよね。だからよく知る人が道標になってくれたら、戻ってこれるんじゃないかと思ったわけよ」だった。


「あらやだ!楠木くん!」なんて驚いた美咲のお母さんは、「手を握るなら小岩くんがいいわ!」なんてやらかしたが、これは助かると皆が飛んで喜んだ。


丁度昼時で、美咲の家が是非と言ってくれて皆でご飯を食べた。


「山田はまだ戻さないで。アイツといるのを一木に見られたら殺しちゃいそう」と堀切くんの横で言う美咲。


確かにまだ数ヶ月は小学生をしなければならない。

元北小学校のメンバーにはキツい。


「まあいいか。アイツは曽房さんの結婚式にも来なかったしなー」


食後は美咲の家族を呼び戻すと、山田くんの代わりに、塾が一緒だった美咲経由で蒲生葉子と早稲田七海も呼び戻して、皆の親や家族も呼び戻すと、「よし!これでフォーメーションは完成だ!」と昇が喜んで、「かなた!帰ろう!」と言った。


「今日はかなたの酢豚と餃子!」と言いながら帰ろうとする昇に、茂くんが「昇、ウチに来て三津下もやってくれよ。あのバカ、またベビーカステラが下手くそになっててオフクロが困ってる」と言う。


昇が顔を怖くして「あの野郎」と言うと、皆は昇が三津下さんを詰めるところが見たいし、茂くんも「親父達が皆にも会いたいって言ってたし、帰りも修さんに送って貰うから着いてこいよ」と誘う。


昇からしたらそれが間違いだった。


三津下さんはベビーカステラの事があったからか、茂くんや曽房さんとのセットでもダメで、房子さんとでやっと戻ってくると、昇を見て「お前は…悪魔!?」と言って卒倒した。


早速怖い顔をした昇が「悪魔で結構だよ。ほら、焼きなよ。久しぶりにチェックしてって、茂に頼まれたんだよね」と言って三津下さんを睨む。


三津下さんは震えながらベビーカステラを焼く。

まああの初めて食べた日よりはマシだが味は落ちている。


ひと口食べてキレた昇が、「三津下ぁァァッ!まだ思い出しきれないのか!?足りないのか!?アァ!?これはチャンスなんだぞ!今までお前が台無しにして来た食材達を憐れんで、ベビーカステラの神様が払拭するチャンスをくれたんだ!今から本気で焼くんだヨォ!」と胸ぐらを掴んでガクガクと揺さぶりながら怒鳴りつける。

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