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はるかかなた。  作者: さんまぐ
【遥か彼方。編】◆やり直し・13歳~15歳。◇結実。

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第40話 校外学習。

5月の校外学習。

昇達はやはりというか鎌倉だった。奇をてらわずに、お決まりのルートを選択するのが肝で、皆と違うところを目指そうとすると、小さな寺社仏閣に行き、バスの時刻表に泣かされたりなんかもする事になる。


それならキチンと王道を選んで内容の濃い校外学習にした方がいい。

昇は周囲から反感も出ずに堀切拓実、かなた、春香と班が組めて驚き、見てみると一木は元北小学校の関谷優斗と組んでいる。

後で山田真に聞くと、関谷優斗は気が弱くて一木が嫌だけど断れないらしい。

女子の方は蒲生葉子と早稲田七海で元東小学校。

こっちは、一緒の班になる男子が見つからない間に、女子達は我先に男子を確保してしまい、残り物として一木と関谷のコンビと組まされる事になっていた。


一木幸平は、やらせるだけやらせて文句をいう事にしていた。

前の世界でもそうだが、仕切ろうとする人間が居ると、あえて上被せるように仕切り始めてミスを見つけるとコンコンと詰める。

逆に今回みたいに気が弱いだけの関谷優斗には「俺たち男が決めても、女子達はうるさいから任せようぜ」と言って、蒲生葉子と早稲田七海に丸投げするのに、出てきたプランにはコレでもかとダメ出しをして、「俺たちまで怒られるから、週明けまでに決めておいてよね」なんて言うと、無理矢理関谷優斗を連れて帰っていってしまう。


帰りにくそうな顔で嫌だという空気を出しても断れずに帰っていく関谷優斗と、あんまりな出来事に泣いてしまう蒲生葉子と怒る早稲田七海。

それを見ているかなたは、我慢ならないと昇たちに言い、「一緒に考えよう?」と蒲生葉子と早稲田七海を誘ってしまう。


かなたらしさに、昇たちも一緒に考えると、蒲生葉子と早稲田七海は「いいの?」、「助かるけど」と困った顔をするが、堀切拓実が「大丈夫だって」と言うと、春香も「うん。皆で考えよう。昇とかなたさんが居るから平気だよ」と続けてくれて、蒲生葉子は安堵の涙を流す。


他の班も気にしてくれる中、昇は「多分一木なら」と言い、一木幸平が言いそうな事、文句を言いそうな事を予測しながら行く場所を決めて、「んーと、鶴岡八幡宮は俺達も行くから時間を合わせて、銭洗弁天の所は町屋の班が行くから時間を合わせて、お昼は王子の班がいる辺りにしよう」と言い、必ずどこかの班が近くにいるようにしていき、裏では皆に「蒲生と早稲田の班がトラブったら手を出してあげて」と頼んでいく。


翌週現れた一木幸平は、ルートの完成度に苛立ちながらも昇が手を出した事を把握して、悪い笑顔を向けてきていた。


放課後、蒲生葉子が「楠木君、ありがとう。助かったよ」と声をかけてくる。

その横で早稲田七海が「アイツ、文句言えずに引き下がってスッとしたよ。ありがとう」と言ってくるが、昇は行為の裏側に2人が気づいていない事に困ってしまった。


「桜さんも助けてくれてありがとう」

「いいよ。皆で楽しく終わらせようね!」

「春香と堀切君もありがとう」

「ううん。昇とかなたさんなら、やってくれるから平気だよ」

「俺たちはそんなにやってないよ。でも困らないように皆で支えるからさ、無理になったら言ってな」


昇は帰り道、春香から「昇?顔が怖いよ?」と声をかけられた。


「うん。どの時間も誰かしらと居られるようにしたけど、蒲生と早稲田が何されるか考えちゃったんだ」

「昇なら平気だよ。きっと負けない。こうやって友達になれないって言ってた、アイツの言葉を跳ね返してくれたもん」

「それは俺が春香と友達になりたいからだけどなぁ」

「それでもだよ。嫌な事を考えるより楽しもう?事前にやれるだけはやったんだから、後は楽しもうよ」


その回答は春香らしい。

昇は背も伸びてきてかつての身長差で春香をみている。


「うん。ありがとう。楽しむよ」

「そうだよ。一緒に沢山出かけて楽しい思い出を沢山作ろう!」


傍目には付き合っている風に見えてしまう。

だが昇も春香も「中学生で付き合うとかないから」と言っていて、仲の良い友達をしていた。



校外学習の日、一木幸平は苛立っていた。

一木幸平は嫌がらせを考える事に注力していたのに、どの寺社仏閣に行ってもクラスメイトが居て誰かしらが声をかけてくる。


蒲生葉子と早稲田七海は元東小学校だが、3年ともなると周りも気にせず、元北小学校の連中も話しかけてきて、「次って何処?それならバス停あっちだよ」なんて話しかけてくる。


そして一木幸平も年相応に楽しんでいて、嫌がらせに全振りする事も出来ずにいた。

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