表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はるかかなた。  作者: さんまぐ
【遥か彼方。編】◆やり直し・13歳~15歳。◇ファーストチョコレート。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/107

第37話 チョコプリン。

帰り支度をしながら、昇が「ほら小岩は駅まで中野さんを送って。上着着てきなよ」と指示を出す。


「男子陣は女子達を送るよ。冬は暗くて危ないからね。町屋達は家知られて困るとかないよね?多分東小出身から送る方が早いから、駅の後は町屋から始まって、春香で王子でかなたかな?」


「駅からなら私の方が先」と王子美咲が言い、「あれ?じゃあ山田って北小メンバーだから春香達まで送ると遠くなるのか、じゃあ山田は、王子を送ったら帰らせてあげよう」と昇が言う。


「おい楠木」

「何小岩?」

「真由はいつも修さんが送ってくれてた」

「はぁぁぁ?小岩はその間に何してるの?片付け?曽房さんの肩揉み?そんな至れり尽くせりじゃ、中野さんだって遊びに来にくくなるって。でも向こうの駅から家まで一人で歩くのは確かに心配だよなぁ…もう5時半だもんなぁ」


結局中野真由の事は曽房が送ることにして、「仕方ない。小岩、中野さんに着いて行きなよ」と昇が言ったが、小岩房子が「なら私が曽房と行くよ。茂はお友達を送ってきなさい」と指示を出す。


小岩茂が頷いたところで、昇が「中野さんは小岩といたかった?」と聞くと、中野真由は笑い、小岩茂が「楠木!」と注意をする。


中野真由は少しだけ意地の悪い顔をすると、「茂とはお風呂も入れる仲だから、今日くらいは平気だよ」と言って、笑いながら帰って行く。


皆のジト目と好奇の目が凄い。


「小学生の時だ!真由が中学になってからは入ってない!」


それでもまあいい年まで入っている。

昇は春香と風呂に入る仲だったので、その点については何も突っ込まない。風呂は楽しい。


昇は周りが変に思わないように、「仲が良いってのはいいことだよ。小岩、今度銭湯行こうよ。夏の暑い日に汗だくになってから行くと気持ちいいよ」と言った。


「お前、どんだけ俺の人生に食い込んで来るんだ?」

「小岩、俺達は小岩が立派な大人になるまで導くことにしたんだ。今決めた、今決まった」


小岩茂は「もう今日は勘弁してくれ」と言って皆を送って行く。

小岩茂を知らない、王子美咲の家族も「こんなイケメンのお宅に行ってたの!?」と驚き、小岩茂は照れるし、小岩茂を知る保護者達は皆口を揃えて、「黒い髪の毛が似合ってるよ!全然変じゃない!」と褒めちぎってくれる。


「春香、またね」

「うん。今日も楽しかったよ」


春香の父は生チョコに感動しながら、「また頼むよ」と昇に声をかけて、小岩茂に「またたこ焼き行くね」と言う。


「はい。オヤジも喜びます」と返す小岩茂を見て昇は楽しくなる。


昇は町屋梅子を送った所で解散にして、「かなたは俺が送って帰るよ。皆もかなたの家からだと遠くなるからさ。小岩、今日は本当ありがとね。掃除とか片付けとかごめんね。おじさん達にもありがとう言っておいてね」と声をかける。


「楠木達は綺麗に使ってくれてるから、誰も嫌がってないよ。また来てくれって言われたら来てくれ」

「にひひ。この10人でチーム組めたらいいな。ね?かなた」

「うん。楽しかったよ」


こうして別れてかなたを送る昇は、「かなたのチョコ、俺が手を出したのに美味かったから、本気のかなたが作るとどうなるの?」と質問をすると、かなたは、「食べる?」と聞いてくる。


「かなた?」

「練習で昨日作ったんだよ。食べてくれる?」

「いいの!?食べるよ!」


かなたの家の玄関で待つ昇の前に出てきたのは、生チョコとチョコプリンだった。


「わ!?まじで?これをかなたが作ったの?」

「うん。食べてくれる?」

「食べるよ!」


昇はプリンから食べて、美味しさに震える。

奥からは「この子、もう少し甘くすればいいのに、控えめなのよね」とかなたの母が言うが、昇は「いえ!サイコーの甘さですよ!」と言ってから生チョコも食べて、「やべぇぇぇっ!?何この美味さ!」と喜ぶ。


生チョコは小岩家で作ったものはホワイトチョコで、かなたが練習したのはチョコレートだったのでまた違っていた。


嬉しそうに微笑んだかなたは「ありがとう昇くん。所で皆のチョコの味って覚えてる?」と聞くと、愕然とした昇は「……あ、忘れたかも。かなたのが美味しすぎるんだよ」と言って一気に食べてしまった空容器達を見てしまう。


そんな愕然とする昇の顔をカメラに収めたかなたは、「うふふ」と笑うと、「2人の内緒にしておこうね」と言ってくれた。


後日、小岩茂の両親と曽房が「また呼びなさい」、「来てもらいなさい」、「お好み焼きとたこ焼きなら出すからお昼を気にせずにとお伝えください」と言うのと、会田晶が「楠木、ホワイトデーやりたい」と言い出すのは同時だった。


昇と小岩茂は同時に連絡を取り合って、「オヤジとオフクロが楠木に遊びに来て欲しいって…」、「会田がホワイトデーって…」と言い、円満解決とばかりに会う事が決まる。


今回は房子からベビーカステラのレシピを教えてもらって、ホットプレートを貸してもらい、男子から女子達へのホワイトデーはホットケーキパーティーになった。

勿論男子も生チョコを作っていたので、女子達もホットケーキを焼いて男子達に渡す。


今回もかなたの写真は額装されて小岩家のリビングに飾られ、昇が「小岩、毎年ガンガン増えてくかも」と言うと、「毎年交換しないと怖えよ」と小岩茂は言っていた。


昇といえば、かなたからはチョコプリンのお返しに、写真を入れられるアルバムを買ってプレゼントしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ