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はるかかなた。  作者: さんまぐ
【遥か彼方。編】◆やり直し・13歳~15歳。◇ファーストチョコレート。

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第35話 黒の中の仲間外れ。

たこ焼きとお好み焼きとベビーカステラ。

もう極楽のような時間で、生チョコの事なんてどこかにいってしまう昇達。


皆で仲良くなっていて、談笑にかなたの撮影。

皆での片付けと和気藹々と過ごす中で、昇はかなたと曽房に目配せをすると2人とも頷く。


「ねぇ、かなたのカメラで集合写真撮ろうよ!あとチョコが出来てからも撮るけどいいよね?」


昇の言葉に皆が賛成して「並びは男だけ女だけって嫌だから交互になってよ」と指示を出し、「かなた、三脚ってある?」と聞く。


「ないよー」と言うかなたに、曽房が「私が撮りますよ」と言うと、昇は「じゃあかなた。その後で俺と曽房さんと小岩のお父さんお母さんの、最強粉の三銃士と俺で撮って」と頼む。


小岩茂は嬉しそうにしながらも「なんだよ粉の三銃士って」と言って呆れている。


昇はさっさと春香とかなたの間に入って、「小岩は春香の横でその横が中野さんだからね」と指示を出す。


小岩茂は「コミュお化け」と悪態を吐きながらも、キチンと参加した10人の写真。

その後、粉の三銃士との写真や、女子だけの写真を撮った所で昇が集合写真にケチをつける。


「1人だけ茶髪が居て変だ」


小岩茂はすぐに自分だと気付き「何ぃ!?」と聞き返すが、昇はデジカメの液晶を見せて「なんか小岩が仲間外れみたいでヤダ」と言うと、曽房に「曽房さん、俺は小岩の頭は黒がいいと思うんです」と言い出し、その流れで小岩巌と房子にも「黒でいいですよね?」と聞いてしまう。


小岩茂は鳥肌が立って震えていた。

この数か月、この展開で散々な目に遭った。

早起き、無遅刻無欠席無早退、三食キチンとした食事。


「まて楠木!?何言ってんだお前!ふざけんな!」


小岩茂が怒号をあげると、今までなら会田晶達は青くなっていたがもうそれもない。


昇は小岩茂の肩に手を置いて、「ごめんな小岩、もう決定なんだ」と言い、曽房に染髪剤があるかと聞くと、笑いを隠せない曽房が「はい。何故か不思議なことに、今日はあるんです」と言って棚から染料を出してくる。


「修さん!?楠木ィィッ!お前!仕組んだな!」


いくら小岩茂が凄んでも意味はない。

昇は「さ、お風呂場行こうぜ。中野さんも黒小岩がいいよね?」と聞くと、中野真由も嬉しそうに「黒茂いいよね。決定ー!」と言って、昇と両脇を抱えて「お風呂場こっちだよー」と案内をする。


「やだ!ナメられるって!三津下が言ってたぞ!」と必死に拒む小岩茂に、「ナメられる?浮くだけだよ。今の写真みたいな感じ。小岩はこれから黒真面目イケメンとして生きるんだよ。早く黒くして生チョコと写真撮ろうよ。かなたと春香のチョコ食べたい」と言ってしまう昇と、「私も黒真面目茂のチョコ食べたい。昇君も私チョコ食べてくれる?」と聞きながら歩く速度を加速させる中野真由。


もうどれだけ拒んでも、小岩茂は逃れられずに1時間後には黒髪の小岩茂が、リビングで「もうやだ」と言って項垂れていた。


だが両親は喜び「あれだけ言っても言う事を聞かなかった茂が」、「あらー、本当、真由ちゃんと楠木君様々だわー」と言い、曽房は「お似合いですよ坊ちゃん」と言っていた事で小岩茂はやって良かったと思えていた。


「小岩、鳥人間のチキンカツより好きになったぞ」

「ありがとよクソが」


中野真由が「何それ?」と聞いてきて、昇が好き嫌いの話を教えると「おお、私も黒真面目茂なら鳥人間の唐揚げより好きかも!」と言って頬をつついていた。



生チョコは無事に完成して、皆で一口サイズに切り分けると10人でテーブルを囲む。

皆家族に持って行く分などを曽房からプラ容器を分けてもらって入れる中、昇が「あと四つはこっちね」と言って、曽房達にも「お昼ご飯のお礼にはならないかもだけど食べて」と言って渡すと、「こんなに嬉しい日は初めてだ」、「本当だねぇ」、「坊ちゃん、皆さん、ありがとうございます」、「お…俺も!?」と言って喜ぶ。


昇は春香のチョコを食べたいのだが、あまりにがっつくと怪しまれるので、「誰のから食べるとかやる?好き好きに食べる?」と聞くと、小岩茂が「楠木から始まって山野、俺、真由の順番で最後に桜でどうだ?」と着席順に食べようと提案をする。


昇が「げ…俺から?俺って味はわかるけど才能ない」と言うと、三津下が「復讐の時キタコレ!」と喜び、曽房から「おい…黙れ」と凄まれてしまう。


「ならなおのこと楠木の口直しが山野でできて、俺の口直しが町屋で出来るならいいじゃないか」


「茂?私は!?」

「まあ俺は…うん。町屋さんに期待する」

「え!?責任重大!?」

それに皆が笑いながら食べたチョコはそれぞれの個性が強く出ていた。


可もなく不可もなく、それでも生クリームを多くしてしまっていた昇。

混ぜるのが少し甘かったが、手作り感のある春香。

ムラの多い小岩茂。

丁寧に作ってある中野真由。

男の子の料理といった感じの雑味がある会田晶。

そつのない町屋梅子。

男の中では抜群に上手い山田真。

山田真の後では見劣りする王子美咲。

順番に救われている堀切拓実。

そしてこの中で1番美味かったかなた。


一通り食べて皆がかなたのチョコを褒めると、「昇くんが手伝ってくれたからかな?」とかなたは誤魔化す。

実はそうではなくて、かなたが途中放棄したのは足並みを整えるためで、突出しても誰も喜ばないからだった。

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