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はるかかなた。  作者: さんまぐ
【遥か彼方。編】◆やり直し・13歳~15歳。◇ファーストチョコレート。

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第33話 皆で作るチョコレート。

バレンタイン当日。

昇は堀切拓実に聞きながら小岩茂の家を目指すと、あまりの豪邸に言葉を失う。


この家とあの三津下なんかが重なれば反社の誤解も出てくるし、小岩茂が解こうとしなければこうもなる。


軒先では三津下が掃き掃除をしていて、昇に気付くと「来やがった!」と言って玄関に飛び込み、「坊ちゃん!あの悪魔が来やがりました!」なんて言っているのが聞こえてくる。


「食材を不味くできるあんたの方がよほど悪魔だよ」と呟きながら進むと、ドタドタと小岩茂が出てきて「時間ピッタリに全員来た」と驚きの声を上げる。


昇は「おはよ小岩!今日はあんがとね」と挨拶をすると、皆も挨拶をする。

玄関なんて小さな医院くらいある。


中に入ると曽房と小岩巌が待っていて、「おはようございます楠木さん。皆さん」、「おお、賑やかで楽しいな。ゆっくりしていってくれ」と言われる。


「…小岩、何この豪邸。豪邸住まいのイケメンってどんだけなんだ?」

「こんなもん…いや、ごめん」


小岩茂も昇のキレポイントを学んできているので余計なことは言わない。


お邪魔させてもらうと、キッチンなんて相撲部屋のような大きさで、「相撲部屋?」と昇が口にすると、小岩巌が「おお、流石だね。参考にさせてもらったんだ」と言って笑う。


リビングでは綺麗な女性が飲み物の支度をしてくれていて、「おはよう。いらっしゃい」と言ってくれる。


挨拶をした昇は「小岩、まさかと思うが?」と聞くと、「俺のオフクロだよ」と返ってくる。


「美男美女が美形を産んだイケメンサラブレッド!」

「やめろよそのイケメンとか言うの!」


このやり取りだけで小岩母は喜び、「茂の母の房子です。楠木君ね。このロクデナシと仲良くしてくれてありがとう」と挨拶をしてくる。


そして直後に小岩茂はやらかす。


「菓子とか用意したから休憩とかできるぞ」


そう言ってみる菓子は、ハワイ土産のチョコとかお高いお菓子ばかりで、しかも和洋取り揃えてある。


「小岩?」と聞き返す昇の顔と声が怖い。

「なんだよ楠木」と聞き返す小岩茂はもう声が震えている。


「泣いた赤鬼か!?イケメン赤鬼なのか!?お菓子もあります飲み物もありますじゃないんだ!俺たちもキチンとお邪魔する立場だから買ってきたんだ!小岩の分もある!男子は飲み物担当!女子はお菓子担当!お昼は皆でコンビニ行ってお茶とおにぎり!小岩は場所を貸してくれたんだから俺たちの奢り!」


昇の声に合わせて皆が鞄からお菓子や飲み物を出して見せると、小岩茂は「え?えぇ!?招くってこういうものじゃないのか?」と驚きを口にする。


昇が胸に手を当てて「それは大人の話!俺たちは子供!」と言うと、嬉しそうに笑った小岩房子は「あはは。ありがとう楠木君。私達も茂がお友達を沢山呼ぶなんて初めてで、舞いあがっちゃったんだよ」と言う。


「それはありがとうございます。じゃあ小岩はここのお菓子と俺たちのお菓子も食べるんだよ」

「死んじゃうだろ!」

「まあとりあえずまずはチョコだ。遅くならないうちに作ろう」

「あ、まだ1人来るんだ。少し待ってくれ」


小岩茂の言葉に、曽房が「坊ちゃん、だから楠木さんは時間を守られますから、遅れていいなんて言わない方がと言ったんですよ?」と口を挟む。


そこに「お邪魔しまーす」と聞こえてくると、玄関から「靴いっぱいじゃん!」と聞こえてきて三津下が女の子を1人連れてくる。



「こんにちは!真由です!」と現れた女の子は、少し年上に見えるし見覚えはない。


昇が「小岩?紹介して」と言うと女の子も「そうだよ茂、紹介!」と続く。


小岩茂は少し面倒くさそうに「幼馴染の中野真由。今は引っ越して隣町に住んでる。男女が5人ずつになるように来てもらった。一個上だよ」と紹介すると、「お姉さんだけど同い年みたいに扱ってね!」と笑う中野真由。


皆興味津々だが、昇は「とりあえず作ろう。時間勝負だよ」と言ってキッチンを貸してもらう。

家庭科の調理実習みたいで楽しいと皆が喜び、女子はホワイトチョコで抹茶や食紅を1人ずつ配って着色してもらい、男子は特に考えていなかったのだが、かなたが「えぇ?わからないと嫌だから、男子は持ってきたお菓子を乗せようよ」と意見をする。


湯煎からギャースカと騒いでしまって迷惑になるが、小岩邸宅はそんなものではビクともしない。


「ウチは客が来たら大騒ぎだから平気だよ」

「マジか、助かるー」


チョコを湯煎して生クリームと合わせて冷やすところになって、ようやく休憩時間になる。

本来の生チョコなら短時間なのだが大人数となるとそうもいかない。


「ちっ、こんなもんだろ?」と手を抜く小岩茂は、横で睨む昇に「小岩?チョコレートはタダじゃないよ?食材に感謝だよ?」と言われてキチンと混ぜたりしていき、かなたは我慢できずに途中放棄で「昇くん!私は撮影係をやるよ!」と言い出してしまったりする。


「まあいいか、皆はかなたの手作りって思うけど、with俺って事でいいや」


それでもなんとか冷やすところまで行って、片付けが終わるとお昼時になる。

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