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はるかかなた。  作者: さんまぐ
【遥か彼方。編】◆やり直し・13歳~15歳。◇過去と対峙する。
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第12話 英雄扱い。

昇は小岩茂にやられなかっただけで英雄のような扱いに困惑してしまう。

主に猛威を知っている元東小学校の生徒達の羨望の眼差しは凄かった。

そんな中、会田晶は大泣きしていて、昇が「会田?どうしたの?」と聞くと、「無事で良かった。金曜日に今日のこと聞いて、ずっと心配してたんだよ!」と会田晶が答えてきて、昇はかつての西中になかった温かさに、素直な気持ちで「ありがとな」と言うと、会田晶は目を丸くして昇を見る。


昇が「どしたの?」と聞くと、「俺を嫌な奴とか嫌いになったりするだろ?」と聞き返されて、「全然。だって小岩は反社って噂だし。なんか俺に絡んでた3組の奴も頭おかしいし」と返してから、もう一度「ありがとな」と言うと、会田晶は昇に謝ってからかなたに、「桜さん、約束を守るよ。俺も証言するよ」と言った。


昇は証言者もゲットできたところで、会田晶に「会田はさあ、3組のアイツを嫌がってる奴とか困ってる奴知らない?」と聞いてみる。


「サッカー部の佐藤、田中、鈴木なんかは困ってたけど…、後はうちのクラスなら秋田とか…」


顔と名前は一致しないが名前が出てきた事で、昇は「成程。ここでアイツを許すと3年間邪魔をされるし、邪魔が過激になると志望校すら行けなくなりそうじゃない?だからさ、嫌がってる奴らに距離を取るように言ってあげてくれない?」と提案をする。


会田晶は心配そうに「え?でも…」と言ったが、昇は困り笑顔で「きっとしつこいけどさ、泣き寝入りにしたり、小岩茂に女の子を献上とかやられたくないじゃん?会田だって可愛いと思う子はいるだろ?」と聞くと、会田晶は「…まあ。それって」と言ってから「楠木と桜さんみたいな?」と聞き返してきた。


会田晶の言葉に昇が「かなた?」と言うと、横に来たかなたはニコニコしながら「私と昇くんは仲間だよ」と言い、横には元北小学校の子達がいる。


「北小学校出身の子達は、3組の子にやられない為に、距離を置くのに賛成してくれたよ」

「マジで?助かったよ。あんがとかなた」

「お爺さんと最後のすり合わせがあるから帰りに寄るね」

「おう。なんか爺ちゃんがごめんな」


そう言ったものの、その日は授業どころではない。

会田晶の証言もあって、事実確認の為に金曜日に昇を待ち伏せた生徒達は個別に呼び出され、昇と仲の良かったかなたと堀切拓実と春香も呼ばれて、これまでの経緯を聞かれると、大人たちは皆一木幸平の勘違いと逆恨みだと判断する。

ちなみに昇は大人達から守られるように拘束されていて春香と会話もできずにいた。


だが当然話はそこで終わらない。

学校に来た警察は未遂ではあったが、なんとか補導して少年院に入れたいのか、昇に被害届を出してくれないかと言ってくる。


「楠木くん、仕返しなんて気にしないで平気だよ。祭りで補導した子達が主犯格だから、これから話を聞く際に暴力を振るわれていたり、金銭を取られていたら、それで被害届を書かないかと持ちかけるんだ。君だけじゃないよ」


これが子供相手ならコロッといくかも知れないが、昇は「なんかで見ましたけど被害届は保留にできますよね?爺ちゃんと相談させてください」と言って、話を持ち帰る事にして、会田晶にも被害届を保留にするように伝えた。


昇が帰宅すると祖父母の所にかなたがいて、今日は水ようかんを食べて「美味しいです!」なんて言っている。


「かなた?なにやってんの?最後のすり合わせって何?」と聞きながら、水ようかんを探すが昇の分は無かった。


「お前の鞄を出せ」と祖父に言われて、「水ようかん」と返す昇は頭をはたかれて、「いいから出せ」と言われると、祖父のGPSと共にICレコーダーが出てくる。


昇が「何これ?マジか」と驚くと、かなたも「お返しします」と言ってICレコーダーが出てくる。


「証言はバッチリだぜ。脅迫の証拠も録音できてるな」と祖父が喜ぶと、狙ったかのように家の電話が鳴り、相手は小岩茂の家族の者で一度謝罪に伺いたいと言うものだった。


「爺ちゃん、来たね」

「おう。仕上げだぞクソガキ」

「仕上げ?昇くん?」

「俺はこの機会に小岩茂や、あの一木ってのに関わらないで済むように、手打ちにしたいんだ」


昇の言葉に祖父も「俺は逮捕一択だったが、コイツは別の道を考えたって言うから、尊重してやったんだ」と口を揃える。


「昇くん?」

「まあうまくいったらだけどさ、もう少し気楽に遊びに行けるはずだから、また4人で出かけようよ。とりあえずかなたは危ないから帰りなって。また待ち伏せとかあると困るからさ」


かなたがタクシーを遠慮して帰ると、少しして昇の両親は帰宅して「ドキドキする。怖いわぁ」、「折角違う学校になれたのに。怖いなぁ」と情けない事を口にしていた。

それから30分後に小岩茂と家族の人間が菓子折りを持ってやってきた。

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