表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6話 最後の晩餐

 二週間後――


 優綺(ゆうき)ちゃんの命に別状はなかった。

 内臓に多少の損傷があったものの、目立った骨折などもなかったのは、不幸中の幸いだった。

 運が良かったこともあったが、子どもの生命力って凄いと思う。半月で退院だもの。本当に凄い。


 あの時見た『未来視(Vision)』。

 血まみれの優綺ちゃんと、血に染まったオレの手。

 あれは今回の事故が見えていたのだ。

 オレが殺したわけではなかった。


 しかし、もうひとつの『未来視(Vision)』。

 オレが覆いかぶさり、顔を歪めて泣いている裸の智子(ともこ)さん。

 これに関しては、どう考えてもオレが襲いかかっている。

 それが現実にならないように、ふたりと距離を置きたい。


「おにいちゃん、ありがとー」

「さぁさ、たくさん食べてくださいね」


 ふたりの部屋に招かれて、優綺ちゃん退院のお祝いをするオレたち。オレへの御礼も兼ねているらしい。智子さんが作ってくれたたくさんのご馳走を前に、優綺ちゃんはオレの膝の上で大はしゃぎだ。


「すみません、優綺が……」

「いえいえ、気にしないでください!」


 困った顔をする智子さんに笑顔で答えた。

 智子さんの料理に舌鼓を打ち、オレの部屋から持ってきたゲーム機を使って、三人でパーティゲームを楽しんだ。


 これを最後の思い出にしよう。

 早く引っ越し先を見つけなきゃな。


 疲れて眠る優綺ちゃんを隣の部屋の布団に寝かせて、オレは智子さんとふたりきり。オレはマズいと思い、自分の部屋に帰ろうと腰を上げた。

 そんなオレの服を掴む智子さん。


「……坂上さん」

「は、はい」

「……私たちを避けていたのは……なぜですか……?」

「…………」

「……私たちが嫌いになりましたか……?」

「そんなこと……」

「……私の顔の傷が気持ち悪いからですか……?」

「違う!」

「……じゃあ、なぜ……」


 オレは悩んだ末にもう一度腰を下ろし、智子さんと向かい合った。



挿絵(By みてみん)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ