うずくまる猫
ピアノの上
そこはその猫の定位置だった
そこは、
飼い主の演奏を
心地よい歌声を
そして
何よりも笑顔を
楽しめる場所だった
ある日、飼い主は気がついた
いつもの場所から、その猫が
いつのまにか動けなくなったこと
いつからのことだろうか
どのくらいだっただろうか
最初は咳
息の苦しさが出ていた
いつのまにか
ジャンプするのが億劫になった
やがて、背中の痛み
優しい飼い主が抱き上げるたびに
痛みを訴えた
飼い主もまた呼吸困難から
肺癌に
そして播種へ
飼い主は猫を
抱き上げること
猫のそばへ行く力
さえ失った
まもなく飼い主は
天へ
そして猫も天へ行った