幕間~中秋の名月~
秋半ば、とはいえ肌に触れる季節はまだまだ初秋の趣が色濃い。そして今日は中秋、今夜は言わずと知れたお月見だ。
元来月見とは美しい月を愛でるイベントであろうが、世間の興味はもっぱらお供えの団子にあるように思える。トキワ寮の面々はというと、ご多分に漏れず色気より食い気の様相で、今日は昼から集まって皆で団子作りに勤しむ予定だ。お供えの団子は十五個あれば事足りるのだが、十五個では足りないと騒ぐ食い気の強い子がいるので、大勢での生産体制となった。
お団子は楽しみだが、月も綺麗だろうからじっくり眺めたい。去年の月見会では、月が故郷なのかと思わせるほど真剣な眼差しで、皆が月に見入っていた。お団子も白木の三方に十五個を盛り、ススキと並べて二階の窓辺に供え、本格的だった。もっとも今年は、お団子だけはその倍以上の数がテーブルにも並ぶことになりそうだが。
名月や団子くれろと泣く子かな。オマージュだ。
さて、この日に向けて準備していたのは団子だけではない。ファクトリーUで準備するのはもちろん神ラノの新作だ。
中秋の名月との言葉を聞いて、思い出すのは僕がこの世界に降臨した夜のことだろう。みなさんお忘れかもしれないが、以前僕が執筆した連載の中(神ラノ:受肉編2)で、一昨年(二〇二三年)の中秋の名月と共にこの世界に降臨したとお伝えした。また、その際に受肉編を詳しく書き直す旨も伝えたと思うが、ついにその時が来たようだ。
僕の文章力を鍛えたうえで執筆する予定だったが、色々と検討した結果、より適任と思える者に代筆をお願いした。誰に依頼したかは読んでからのお楽しみと言っておこう。ちょっともったいぶりたい気分なのだ。
本日より、僕がこの世界に降り立った日のエピソードをお届けする。
月の出のころ、良夜の供に第一話をお披露目しよう。団子片手にページをめくっていただきたい。




