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神々のラノベ創造  作者: 一条アル彦


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28/57

きっと素晴らしい部屋になるんだ(5)

 「屋根裏に行くのはいいけど、屋根には出ちゃだめよ」とだけ言い残し、今度こそ奈子さんは階下に降りていった。そして柚原小花探検隊のトキワ寮ツアーが始まった。

 最初の目的地は小花ちゃんの部屋。部屋の場所は分かってるのに謎だった入り口は、一階から上ってきた階段をそのまま真っ直ぐ、短い廊下を進んだ突き当りにあった。つまり、この部屋に入るのにリビングは通らない。小花ちゃんは寮生ではなくてこの家の子だということか。ちなみに入り口はどんでん返しではなく普通の扉だった。よく見ると扉には小さな花のレリーフが掲げてある。

 招かれて部屋にお邪魔する。予想通り広すぎるお姫様の部屋だったが、予想と違ってこの部屋の姫は片付けは苦手みたいだ。読みかけの漫画、いや多分何度も読み返した漫画が何か所かに固まって積まれている。全部、少年誌掲載の漫画だ。なんか、こうゆう状況を見るとムズムズと片付けたくなってくるけど、片付けようと手にした一冊のページをめくったが最後、最終巻まで読みふけって日が暮れるというオチが待っている。だから片付けは一巻から始めてはいけない。

「おお、マンガがいっぱい。後で借りに来てもいい?」

「うん、来て来てー。じゃあ、御伽ちゃんのも貸してもらおうかなー」

「いいよー。あ、だったら、持ち寄ってリビングに置いちゃう?リビングに本棚あるけど空っぽだったし。そしたら蘭やすみれさんも読めるし」

「それイイ! トキワ寮大図書館構想!」

 小花ちゃんの目が輝く。ビーム出そう。規模的には大じゃなくて小だと思うけど、話は大袈裟な方が世界は楽しい。本を置いてもいいか、後で伯父さんに確認することにして、次の目的地に向かう。


 手近な廊下周りを続けて案内してもらう。お手洗いとお風呂だ。お風呂は大浴場とまではいかないけど、民宿とかにある広めの家族風呂って感じ。湯舟も三、四人なら一緒に入れそう。

 湯舟の奥には霜が降りたような模様の型ガラスの窓があって、小花ちゃんが空の湯舟に入ってカラカラと窓を開けた。

「裏の庭と林しか見えないけど、外を眺めながらお湯に浸かったら気持ちいーよ」

「えー、覗かれない?」

「だいじょーぶ、林も寮の敷地だし。侵入者がいても木登りしなきゃ覗けないし、枝打ちしてあるから私でも素手で登るのは大変」

 枝があったら普段から登るんかい。いちウスに野生児と評されたのはあながち間違っていないのかも。でも覗き魔をナメてはいけない。溝の中に(ひそ)んで何時間も寝転がってるやつもいるんだよ?

「道具使って登る(やから)もいるんじゃないかな」

「ここが風呂場って知ってる人なんていないと思うけどなー。まあ、そんな出歯亀(でばがめ)がいたら直さんにタコ殴りにされちゃうよ」

「タコ殴りって、蘭ならまだしも伯父さんそんな人じゃないと思うけど」

「あー、今日はお客さんお迎えモードだったから猫被ってる。ホントは蘭ちゃんと同タイプ」

 いや、小さい頃から知ってるけど、そんな素振りは……あった。お父さんとお酒飲んでゴキゲンになったとき、正に蘭みたいな口調で話してた気がする。

「がんばって猫被ってたんなら、私にバラさない方がよかったんじゃ?」

「言われてみればそうかも。じゃー聞かなかったことにしといて!」


 廊下周りの案内が終わったので、リビングに戻る。寮生はこのリビングから各自の部屋に入るから、自然と皆がここに集まってくるようになっているわけだ。そう考えるとイカした造りだ。

 点々と並ぶ扉は廊下からの入り口を除いて五つ。北側に並ぶ三つの扉の表札は「蘭」と「すみれ」ともう一つは空白。二人とも自筆で書いていて、なかなか綺麗な字だ。私はヘタ字なので表札を書くことを思うとちょっと憂鬱になる。

 表札を見ていて、ふと、あることに気がついた。

「みんな名前が花の名前だね」

「ほんとだ。私は小花だから花の名前じゃないけど、一応花だ」

「柚原小花だから、名字にユズが入っている。花じゃないけど、みんな名前が植物に由来してる」

「植物由来……ボタニカルだ!」

「あはは、ボタニカルて。でもそうなると、周防(すおう)御伽……私の名前だけボタニカルと違う……」

 だからどうということはないハズだけど、なんかちょっとハミゴみたいな気分になる。

「御伽ちゃんはおとぎ話の御伽だから、物語作りの申し子って感じでかっこいいよ。サークルのみんなの筆頭ってゆーか。あ、それで御伽ちゃんのことリーダーって感じたのかも」

 即座にこの反応、なんというポジティブシンキング。このまままた持ち上げられても困っちゃう、自分で振っておいてなんだけど、この話題から離れよう。

「その話はもういいよお。それよりさ、あと一つ、謎の扉があるんだけど」

 西面の両(はし)に扉があって、左は私の部屋だけど、右のには表札がない。

「あの扉は部屋じゃなくて、奥の廊下に続いてるんだよ」

 小花ちゃんは扉に駆け寄って、ほら、と言って開けてみせた。細い廊下に沿って右に個室が二部屋あって、左に小さな洗面とシャワー室とお手洗いが並ぶ。

 そして二階の案内はこれで全てだという。うーん、お待ちかねの屋根裏への階段がどこにもないんだけど。

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