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転生少女は元に戻りたい  作者: 余暇 善伽
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冬のある日

春夏秋冬が書きたかった

 秋の収穫祭から季節は更に巡り冬になった。この地域の冬は寒いのは寒いが氷点下にはならないし、雪も降らないそうだ。


 「今日も冷えるね」

 

「そうだね、手がジンジンするよ」


 ただ寒いものは寒いので、当然打ち合いをしていれば手も痺れて痛くなってくる。


 「止まってる間は体を冷やさないように着込んどけよ」


 カインに言われてアウターを着込むが、肝心の足が寒い。どうして女児服ってこの時期でも下の丈が短いのだろう。


 向こうでは仁が手のひらの上の小さな竜巻と睨めっこしている。別に遊んでいる訳ではなく、竜巻を肥大化させず消滅もさせず維持し続ける魔法制御の訓練らしい。


 仁はこの二ヶ月程で竜巻を起こせる程度には魔法が上達した。と言っても家なんかを吹き飛ばせるような大きなものではなく、精々人を若干持ち上げる程度の物だし起こしてもすぐに霧散してしまう。


 それでもカインが言うには5級魔法使いまでもう少しらしい。


 魔法使いにも冒険者と同じように、5級から1級までランクがあるそうだ。ちなみにカインは独学の為どれも持ってない無資格魔法使いだと自称していた。


 一方僕はと言うと、未だに魔力の流れを把握することくらいしかできない。一応若干の制御には成功しているのだが、魔法らしい魔法の発動なんてまだまだ遠い。

 カインが言うには「魔法はイメージできなきゃ発動しない」そうなのだが、その辺、長年魔法を探して妄想していた仁と僕には大きな隔たりがあるのだろう。


 「それにしてもアスカは飲み込み早いよね、剣の才能があるよ」


 「そうかな?カインやロバートの教え方が上手いだけだよ」


 剣の方はと言うと、なんとロバートから一本取ることに成功している。と言っても勝率で出せばまだ1%くらいなのだが、それでも取れるようにはなった。


 ロバートもライバルだなんだと言いながらどこが悪いかは教えてくれる。大体右足の使い方について言われるのだが、この癖はもう仕方ない。


 「ライバルが頑張ってるんだもん、僕も負けてられないよ」


 そう言ってロバートが気合を入れている。なんだかんだ言っても敵に塩を送ってくれるし、そう言う関係の相手が欲しかっただけだったのかも知れない。


 その後、修行を終えいつも通り部屋に戻ろうとすると廊下で忙しそうなメイドさん達とすれ違う。


 「最近メイドさん達忙しそうだよね、何かあるのかな」


 「年末だからじゃないか?ロバートも冬休みでロンデルが帰ってきたとか言ってただろ」


 そう言えば一昨日の夜くらいにそんなこと言ってた気がする。相変わらず魔導教本を読みながらの癖して耳聡い奴だ。


 「メイドさん達って年末どうしてるんだろうね?家に帰るのかな?」


 「いやそういう訳にはいかないだろ、交代で休みを取るんじゃないか?」


 そんな為にならない話をしながら部屋に戻る。


 「僕達は年末どうしてればいいんだろうね」


 「いつも通りしてればいいんじゃないか?それともカインとでも過ごすか?」


 恐らくカインは年末でも仕事しているだろう、そんな中に入って行っては申し訳ない。


 「邪魔になりそうだから止めとくよ、でも仁と年越しとなると何年振りかなって思って」


 「覚えてねぇな、中学の時が最後か?」


 「仁がおみくじで大凶引いた時だっけ?」


 ウルセェ余計なことだけ覚えてやがってと仁が悪態を吐きながら着替えの準備を始める。


 「ほら、風呂行くぞ。準備しろよ」


 「あ、待ってよ、せっかちだな」


 言われて僕も着替えの準備をして仁の後に続く。


 この体になって約10ヶ月、100回以上お風呂に入る機会があったせいで流石になれる…と言うことはなかった。


 いつまで経っても申し訳ないものは申し訳ないし、恥ずかしいものは恥ずかしい。


 ただ、冬になるとしっかり温まってからお風呂を出ないと今度は湯冷めしてしまうので、どうしても長時間お風呂に入る必要が出てくる。結局は諦めて周りを見ないように入り続けるしかない。


 体の方も変化があり、最近は胸が張るようになった。年齢的に胸が発達し始めているのだろうか?恥ずかしいがこの体での生活が続く限り体の発達は避けられないし、仕方ない。


 前に下着屋で押しに負けて買った下着が、今はあってよかったと感謝している。


 「はぁ、僕、どうなっちゃうんだろ…」


 ただでさえ憂鬱なのに先のことなんて考え出したらキリがない。一呼吸おいてまずは目の前の問題から対処しよう。


 お風呂場に入ると既に僕の定位置と化した場所で髪と体を洗い始める。


 エルゼやシアンなどお風呂のタイミングが一緒になると話しかけて来る人もいるが、今日はそう言う人とはタイミングが被らなかったようだ。おかげで静かに髪と体を洗い、落ち着いて周りと離れたところで湯船に浸かれる。


 髪を拭くのにも時間がかかる為、それなりに温もってから上がらないといけないしどうしても入浴時間が長くなる。そのせいでお風呂から上がって部屋に戻ると大体先に上がった仁が戻っているし、早い時はロバートも遊びに来ている。


 「おかえりアスカ、お邪魔してるよ」


 今日もそのパターンで部屋に戻るとロバートと仁が談笑していた。と言っても仁は教本を読みながらだが。


 「ただいま、なんの話をしてたの?」


 「魔法を使う時の感覚についてだよ」


 「魔法が使えないから知りたいんだと」


 「あ、それは僕も知りたい」


 僕もまだ魔法が使えないし後学のためになるだろう。


 「そう言われてもなぁ、説明し難いんだこれが。いいか手のこの辺に集中するだろ?」


 その後仁が身振り手振りを加えて説明してくれるが、やっぱり僕らにはよく分からないし、真似したところで何も起きなかった。


 「まっ、魔力が無いロバートはともかく飛鳥はそのうち分かるさ」


 そう言うと仁が説明を打ち切る。こいつ面倒になりやがったな。


 その後も他愛も無い話をしながら夜が更けていくのだった。

 

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