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精密検査

 お母さんを泣かせちゃったけど、みんな出て行った後にトイレに行って鏡で自分の顔を見る。この部屋トイレとシャワーがついてるんだよ。


 わ〜!あの空間で会った男の子だ!もっと気弱な顔をしてたけど。カッコキレイな顔してんじゃ〜ん!男らしい所もありつつ、綺麗な肌に鼻筋。眉毛はこれで天然か?整いすぎてて凄いんだけど。目は二重で優しそうで唇は程よくふっくらしてる。う〜ん!理想の私だね!女の子にモテそう!


 これで私も彼女が持てる!さくらの時に出来なかったことが悠真になって出来るようになった。これは嬉しいことだけど、もうパパやママに会えないんだなぁ。涙が出てきた。すびっ。鼻も垂れてきた。家族とは繋がってたかったな。ティッシュ、ティッシュ。


 はーっ、涙が止まらないよ。帰りたいわけじゃないけど、こんなにいきなり別れがくるとも思って無かった。もっと感謝の気持ちを伝えておくんだったな。よし!決めた!こっちの親には親孝行出来るようにするよ!だから悠真くんにはさくらの親孝行をお願いします!伝えられないけど。


 ベッドに潜り込んで、今日だけはパパとママと兄弟を思って寝よう。なんで、ガン泣きすると鼻水が垂れるかなぁ?ずびっ。







 翌朝、点滴はやめてお腹に優しいお粥が出てきた。空腹すぎてお腹がぺったんこだよ。薄味のお粥が美味しく思える。病院食って不味いって聞くけどね。


 料理を持って来てくれたおばちゃんが優しい顔で置いて行ってくれた。顔がパンパンに腫れてる気がする。昨日泣きすぎた。こりゃ人前に出るのが恥ずかしいな。


 食事が終わって横になってると、女医さんとお母さんが来た。

 お母さんが私の顔を見てびっくりしている。


「ゆうちゃん、どうしたの!?泣いたの?」


「う、うん、ちょっとね」


 昨日のお母さんと違うな。こっちが素なのかな。優しく抱きしめて頭を撫でてくれる。


「お母さん……」


 ちょっとお母さんの身体が固まったけど、お母さん呼びに慣れないのかもしれない。


「今の悠真さんは非常にデリケートですから、家族の支えが必要です。お母様、よろしくお願いします」


 女医さんがお母さんに声を掛けた。美奈子は密かに悠真を守ろうと決意した。今までも守って来たが、これまで以上に。


 精密検査が始まった。2日寝てた後遺症は大きい。体力が大幅に減っている。筋肉が落ちたなこりゃ。


 病院なんて卵子の提供くらいしか行かなかったから、設備にいちいち驚いてしまう。


 午前中いっぱい検査して、午後には検査結果が出た。病室に先生が来てくれた。ありがたい。疲れてたから。

 お母さんと一緒に検査結果を聞く。


「検査結果ですが、脳に異常は見当たりません。他の外的要因で記憶障害が出たのでしょう。昨日、悠真さんが言っていた喉にも異常はありません。他、身体にも異常はありません。血液検査も大丈夫です。

 さて、青葉さん。検査結果に異常はありませんが、記憶障害があるのは事実です。男性支援センターに相談して悠真さんの記憶を取り戻す為の支援を受けませんか?」


「そうですね。身体に異常が無いなら男性支援センターで今後は支援していただきたいですね」


「それでは紹介状を書きます。向こうにも連絡しておきますから、今日、明日は様子見で入院して頂いて、問題がなければ明後日には退院しましょう」


「先生、よろしくお願いします」


 母親が頭を下げた。男性支援センターなんてあるんだな。なんか不思議。


 というわけで、今日明日はちょっとリハビリ。私が廊下に出たら看護婦さんが飛んで来て「此処から先に行ってはいけません」と注意されてしまった。廊下でリハビリしちゃいけなかったのかな?階段の登り降りとかしたかったけど。注意されて、しょぼんと部屋に帰る。無駄に部屋が広いから腹筋とか腕立てとか反復横跳びでもしようかな。筋肉落ちてるもんな。


 

 そして退院の日。


 お母さんが持って来てくれた服に着替える。なんか女性っぽい服だな。悠真くんはこんな服が良かったのかな?お母さんに日避けようの帽子を被せられた。男の子なのに。


 初めは男性の身体にきゃーきゃーしてたけど、3日もすれば慣れる。ムダ毛処理をしたい。家計が苦しくなかったら脱毛させてもらおう。



 入院費を支払ったら、なんか裏口から外に出された。酷い。今は春かな?秋かな?そんな気候だ。


 お母さんが車で来たそうで、駐車場に歩いていく。大きい病院だったんだなー。院内歩けなかったけど。


 お母さんの車はなんか知らないメーカーの車だった。乗り心地は凄い良いけどね。


「ゆうちゃん、家に帰るからね。退院祝いするけど何か食べたいものでもある?」


「ううん、あるもの食べるよ」


「そぅお?じゃあ出発!」


 病院の駐車場から出て一般道路を走る。知らない景色を見ているだけでも楽しい。


 住宅地が多いな。たまに食事処もスーパーもある。


 あ、車が駐車場に入った。買い物かな?


「ゆうちゃんは車の中に居てね。予約したケーキ買ってくるから」


「分かった」


 床あがりだから気にしてくれたのかな?ケーキも予約してくれたみたいだし、お母さんは優しいのかも。車に流れてる曲が女性歌手ばかりだ。お母さんの趣味かな?知らない曲ばかりだ。音楽は好きだが。あーあ、向こうの好きだった歌手の歌がもう聴けないのか〜。


 そういや、この身体、声変わりはまだかな?まだ子供の声なんだよね。15歳だから、もうそろそろだと思うけど。なんかまだ幼い感じがする。という事は、まだ成長期がやって来る!カッコいい男になるぞ!



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