桜田さくら(悠真)
僕、青葉悠真は小さい頃に男性が好きだと気がついた。保育園の男性の先生が僕の初恋だ。
それから、世の中のことを勉強して自分はおかしいのだと気がついた。
趣味は編み物と料理。男性でもおかしくは無いが、早い時期に僕はいや、私は女性として男性を愛したいと思ったが、叶わぬ願いだと諦めてもいた。
だが、中学生にもなると女性は男性よりも早く性熟し、男性を求めるようになった。
私は彼女達と友達になりたかったが、とてもじゃないが彼女達は私の事を同性の友達のように扱ってはくれなかった。
だが、誠くんと言う私にとっては異性の友達が出来た。
彼は穏やかで一般的な男性だったが、それが私には心地良かった。
しかし中学3年に事件がおきる。
私を巡って女子が争ったのだ。
私は女性から声を掛けられても、他の男子が怯えるのに対して普通に受け答えが出来た。それが彼女達に期待を与えてしまった。当然私も当事者だ。保護者まで話はいかなかったが私はこの件で気持ちが落ち込んでしまった。
だからネットで偶然見つけた『お百度参り』をしてみようと思った。
鍵だけ持って私は夜中にこっそりと近くの神社まで行った。夜の怖さは麻痺していた。
無心で祈った。足が疲れてもやり遂げた。少し悟りを開いた気になった所で、知らない白い場所にいた。
私は不思議に思い周りを見回すと、裸の女の子がいた。もしかして!と思い、自分を見ると裸だった。恥ずかしくて胸と股間を隠してしまった。その後、声が聞こえた。
『桜田さくら、青葉悠真。2人は並行世界で同じ願いを同じ時に願った。お互いの魂を入れ替えて望み通りにしてやろう』
その後、私は女性になった。
病院で目が覚めるとパパだと言う男性に会った。鏡を見ると私はあの場所で見た女の子になっていた。
その後は大変だった。私は記憶喪失として扱われた。
変わるがわるお見舞いに来るパパや兄弟と名乗る人達。私はあの空間で最後に女の身体になった事を思い出した。私はあの女の子と人生が入れ替わったんじゃないかと思った。
ママ、琴ちゃん、誠くん、ごめんなさい。私は自分の人生が1番大切だったみたいだ。
だって、女性の服を着てこんなに喜んでる。もう自分を誤魔化さなくてもいいことがこんなに開放的だったなんて!
女性が少ない?男性が多い?一妻多夫制?大歓迎だ!嬉しくてしょうがない!
退院してからは大変だった。この世界の一般常識に勉強。新しい生活。
家族は過保護で1年程かけてお姫様のように扱ってくれた。
元のさくらの部屋は女性的であの子の生活を奪ってしまったのじゃないかと思ったが、部屋に置いてある小物は全部家族からの贈り物だと教えてもらった。
そして、ふと、あの声を思い出した。
さくらは男性になりたかったんじゃないかと。私の罪悪感を消す為の思いつきかもしれないけど、しっくりときた。
学校に行くと私はモテモテだった。驚きすぎておっかなびっくりだ。男性がこんなに積極的だなんて!!
とりあえずはいいなと思う男性と付き合ってみた。価値観が違うけど、私をちやほやしてくれて、時には強引にキスされたり抱きしめられたりした。ドキドキした。
大学を卒業したら3人の男性と結婚した。みんなお金がないので実家からの支援で生活した。
初めは慎ましく生活したけど、4人目の夫が資産家で生活が一変した。
子供もほぼ毎年産まれて、幸せの絶頂だった。
女の子が産まれたら、夫達がとりあって面倒を見てくれた。
愛し愛されて私はこの世界で幸せに生きてます。ねぇ、悠真は幸せ?