幸徳高等学校、保健室登校
男女共学校の幸徳高等学校に悠真は保健室登校を開始した。
生徒数が多いらしく保健室の先生が4人もいて、私は毎日保健室にある隔離部屋で勉強している。
隔離部屋は混乱・恐慌状態などになった生徒を守る・あるいは落ち着かせる為にあるらしい。そんな混乱や恐慌状態になることがあるんかね?不思議だ。
隔離部屋はソファがあるだけだったが、机と椅子を持ち込んで今は私専用の部屋になっている。
学校にただ1人いる、もうすぐ定年だと言う珍しい男性教師に勉強を教えてもらっている。マンツーマンとはありがたいことだ。
そのせいで「保健室に男子がいる」と噂になり、休み時間には保健室に女子生徒が集まって大変な事になっているのを悠真は知らない。
悠真は何故か休み時間に外に出ようとすると男性教師に止められるのを不思議に思っていたが、無理矢理、部屋から出ようとするのも先生に逆らっているようで気が咎めたのだ。
お弁当も隔離部屋で食べているし、トイレもあるので、悠真を守る為だと気が付かなかったのだ。
本来、男性がいる『特別教室』には、警護員が入り口で待機しているので他のクラスの女性は近づけない。そこで、保健室にいる悠真が狙われている。女子は男子とお近づきになりたいので。男性教師でも見たい生徒はいる。お年を召していても。
この男性教師、春日井慎也(59歳)は産まれたばかりの孫が可愛いくて仕方がない、博愛精神を持ったこの世界では珍しいタイプの男性だ。
女性が多い為、少数の男子からの相談なども受け持つ人生の先輩だ。ちなみに妻は6人いる。子供は言うまでもないだろう。
男性にはストレスになりそうな職場で勤め上げた精神力は並みのものではない。本人はいつもニコニコしているが。サービス精神が旺盛だ。
悠真は「春日井先生、優しいけど厳しい面も持ち合わせている」と思っている。女性が好きなので同性の先生という感覚なのだ。けして意識はしていない。男性の身体に宿った男性の心を持っているので。さくら時代に男性に囲まれて育って態度が男性らしいので違和感は無い。いや、この世界の男性だと違和感があるかもしれない。この世界の男性はかなり消極的なので。
「春日井先生は、何で先生になろうと思ったんですか?」
「う〜ん、そうだね。男性が少ない社会で、女性が子供のうちに男性に会えるようにしてあげたかったんだ。それに、男子生徒達の相談にものってあげたかったからね」
「春日井先生、男性が少ないから?」
悠真はさくら時代に男性からセックスアピールされたのがトラウマだ。嫌いな同性に身体をベタベタと触られたり男の身体をアピールされたと言えば納得出来るだろうか?
「自然とね、女性が多いのを受け入れられたんだよね。僕みたいなタイプは珍しいとよく言われたよ。まぁ、女性に襲われそうになった事も何度かあったけどね。僕なりに真摯に向き合ってきたよ」
「先生、かっこいい……」
「そうかな?照れるなぁ。ハハハ」
時折り先生と雑談しながら勉強して悠真は順調に学校生活を送っている。
この世界には歳を重ねた男性の照れでも需要があるので貴重だ。悠真はなんとも思っていないが。
帰りは警護員の人に囲まれて学校を後にする。
女子生徒が集まってこないように、まだ授業中にバスまで誘導される。悠真は「この学校、人に会わないな?」と思っているが、警護員の努力があっての事だ。
本人的には可愛い女の子に会えなくて、だんだん不満になってきているが。
「女の子とイチャイチャしたい!」
部屋で叫んでみる。が実現しない。本人は不満を筋トレで発散する。最近腹筋が100回出来た所だ。継続は力なりである。
4月末。仕上がった新しい制服がハンガーにかけられている。もちろん体操服もある。宅急便で届いたばかりだ。
明日からは保健室登校が終わり、教室で授業を受けれる。
悠真はムフフっと妄想いや、想像しながら笑う。高校制服デビューだ!女子と仲良くなる!私なら出来るはず!とやっぱり妄s、想像しながらお風呂に入る。
それはそれと、何気なくネット銀行で預金残高を見て悠真はぶったまげた!サロンモデル代と精子バンクからの入金があったのだ。
サロンモデル代、600万。精子バンクから300万振込があった。高校1年で900万稼いでしまった。
悠真はコクリと頷き、また精子バンクに精子を売ろうと決めたのだった。お金はいくらあってもいいので。
悠真の知らない所で悠真の子供が沢山産まれている事は考えないことにして。
だって、悠真の価値観で父親が分からない子供は可哀想だから。それでも精子を売るのはやめないが。こちらの価値観に慣れないといけないし、お金も欲しいので。
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