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インスタントフィクション 距離感

作者: 宇山一博

 十年お世話になったコンビニがあった。常連ということもあり、タバコを覚えていてくれたり、フランクフルトを買った時ケチャップを付けてくれないでくれたりと、私に対しての配慮が染みついていた。しかし、それ以上は近づいてこない。その距離感が好きだった。引っ越しの際、餞別もあげなかった。

 三年後、あの住んでいた地域に行く機会があった。アパートには入居者がいた。久々で緊張していたがコンビニに入店する。顔ぶれは変わらなかった。向こうも自分に気づいたのか少し驚いた様子だった。タバコをと言うと、覚えてくれていたのかスッと持ってきてくれた。お金を支払い、「ありがとうございました」とマニュアル通りの返事が返ってきた。今までと距離感が変わらなかった。コンビニ脇の灰皿立てでタバコを吸う。フラフラと浮いた煙がこの土地の空気に消されて、ここの人ではないと自覚する。タバコの火を消し、歩き始め、コンビニとの距離が開いていった。

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