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◎第2話〈 獣人娘 〉

 







 ◎第1章 - 異世界アンチの俺が渋々勇者になり魔王をボコボコにして帰るはずが、パーティーメンバーに止められてなかなか帰らせてくれない。-〈第2話〉『 獣人娘 』








 俺の名前は坂口守、17歳。

 元々はごく普通の高校に通う学生だった。

 んがしかし、どう言う訳か俺は今、異世界転移させられているのだ。


 この世界に来てから俺は変わった。元々異世界なんて面倒なだけだと思っていたが勘違いだった。


 異世界は地獄そのものだ。なぜなら、俺が今いる森がその答えである。


 俺は森が大嫌いなのだ。というか、森にいっぱいいるヤツが大嫌いだ。アイツらは空を飛んで俺を攻撃してくる。かと思えば、俺の足元から徐々に這い上がってきやがる。


 奴らは大変数の多い種族だ。

 その種類には様々な特徴があるのだが、その中でも目が沢山あったり、足が100本以上もあったり、おまけに毒を持ってるヤツだっている。外見はお察しである。


 本当に最悪だ。


 またしても、なんてこった。パンナコッタだ。





 ガサガサガサ‥‥





「ヒッ!!!!!」

 

 全く、心臓に悪い。

 柄にも無く、情けない声を出してしまった。


 前の街を脱出して1週間、この世界の事は何も理解していない。


 一つだけ理解しているのは、前の街に居るのは危険だという事だけだ。

 だが、この森も同じように危険な事には変わりはない。

 それにここは異世界だ。現実世界には居ないような大型のモンスターがいるかも知れない。


 俺は警戒しながら森を進む。





 バキバキバキバキバキ‥‥!!!





 後ろの方から木が倒れる音がする。俺は情けなくも、その音にビビり散らかし、変な雄叫びを上げながら走った。


「ヒィィィィイ!!!」


 俺は走って森を抜けようとするが、後ろから何者かに追われている事に気がつく。


 その大きさは大型トラック並だった。


 間違いなくモンスター級のヤツらだ!!


 俺は全力で逃げる、必死に。しかし、ヤツはまだ俺の事を狙っている。

 俺は半分涙目になりながら森の外を目指して走る。


 すると俺の目の前に1人の少女が飛び込んできた。



「どいてぇぇぇぇぇええ!!!」



 その叫び声は森中に響き渡った。

 しかし、いきなりの事で俺はその少女とおもいっきりぶつかってしまったのだ。


「‥イテテテテ。おいあんた大丈夫か?」


 どうやら少女は目を回している様子だった。後ろからはまだヤツが追いかけて来ている。


「仕方がない‥‥。」


 俺は意を決してバックパックをその場に捨てて、その少女を担いで森の外へと走った。


「外に出たらこっちのもんだー!!」


 森の外は平野になっていた。そのせいかモンスターは平野まで追いかけては来なかった。


「ふぅ、なんとか逃げ切れたぜ〜。」


 俺は一つため息を吐くと、その少女を安全な場所までおぶって行った。


 ひとまず、平野の中心に一本の大木を見つけて、その大木の木陰で少女を寝かせた。


 その少女は水色の頭髪に大きな帽子をかぶっていて、暑そうなローブを着用している。

 そして高そうな装備品をいくつも持っていた。


「はぁ、なんで俺はバックパックを置いてきてしまったのだろう‥‥。」


 独り言を呟きながら、俺は失ったバックパックの事を考えている。

 正直、こんな少女よりあのバックパックの方が大切だった。

 俺は咄嗟に判断した事を後悔している。 


 にしてもこの少女は一体何者なんだろう?前の街では見たことのない人種だ。


 今時おさげにピンク色のヘアピン。

 そして平なお胸‥。華奢な体に可愛らしい顔立ち。


 えんじ色のローブに、見た事がない装備品‥‥。いや、魔道具か?


 俺はその少女が身につけている装備品を一つ一つ観察していた。


 全て高そうな物ばかりだ。売ったら一体いくらになるのだろう?

 別に盗むつもりは無い。が、まぁ、見るだけなら大丈夫だろう。


 そう思いながら、俺は少女の装備品を一つずつ外して手に取って見ていた。


 すると、その少女がパチっと目を開けた。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁぁぁ!」


 少女がびっくりした様子で俺の側から離れる。

 すると、少女は俺が装備品を外している事に気がついた。


「あ、あ、あなた、私に、何をする気なのですか?!」


「ま、待て。誤解だ。別に売っ払おうとか、盗む目的で装備を外したんじゃない!!」


「そ、そ、そんな事言って、本当は私にエッチな事をするつもりだったんでしょ!」


「ふぇ?!別にエッチな事なんてしないよ!」


「嘘を付かないで下さい!ちょっとイケメンで特徴的な服を着てるからって調子に乗らないでくれますか?!」


「だから嘘なんか付いてないし調子にも乗ってない! つかコレ制服!!」


「どーでもいいです!そんな事は!」


「どーでも良く無い!俺の話を聞いてくれ!」


「いーやーでーすー!」


 全く俺の話を聞いてくれる様子じゃない。

 俺は少女が落ち着くまで黙り込む事にした。






 〜数分後〜






「‥‥‥なるほど、では私は貴方にモンスターから助けていただいたのですね」


「あぁ、そうだよ。ったく、俺がそんな変態に見えるのか?」


「うぅ、ごめんなさいです。」


 なんとか少女の誤解を解いた。

 俺はこの子を襲うつもりは無いし、装備品を盗むつもりも無い。ただ純粋に装備品が気になっていただけなのだ。

 そう言ったら素直に分かってくれた。

 意外と物分かりのいい、良い子なのかもしれない。


 ついでに俺はロリコンでは無い、と。


「俺は坂口守、異世界から転移させられてこの世界に来たんだが、ひっちゃかめっちゃかで何がなんなのか分からず旅をしているんだ」


 そう言うと彼女は俺の事を見て驚いた表情をしている。まるで何かを悟ったかの様に。

 その瞳は夜の星々を連想させる様に青く、透き通っていて綺麗な目をしていた。


「なんだ…?」


 俺がそう問いかけると、少女は自分の顔をローブで隠した。

 そして小声で何か呟き始める。


「あ、あなたが…そう、なのですね。」


 声が小さくて何も聞こえない。

 俺は耳を澄まして聞いてみる。すると少女は突然大きな声を出して俺に言った。


「あ、あ、あなたが私の旦那様なのですね!」


 その瞬間、耳鳴りで頭がガーンガーンと音を立てていた。

 しかし、その少女は真剣な眼差しで俺を見ている。


「いや、なんの話だよ!」


「こ、答えてください!あなたは異世界から来た勇者様なのでしょう?」


「勇者?なんの事だ?」


「え?だって、そろそろ勇者が来るって予言が‥‥。」


「俺は勇者じゃないし、君の旦那様でも無いぞ?」


 俺ははっきりと少女に言った。

 すると少女は残念そうな表情を浮かべる。そして俺に問いかけた。


「じゃあ、あなたが伝説の異世界から来た勇者様では無いのですか?」


 俺は何のことかさっぱり分からなかったので、彼女に説明を要求した。


 するとこの世界の事をより深く理解出来た。


 この世界には3人の魔王が居て、それぞれが勇者出現を恐れているらしい。

 その一方で、亞人族や人族は異世界から転移してくる勇者を待ち望んでいるとの事だ。


 まぁ、いわゆるRPGゲームによくある設定だが、俺はその手のゲームをあまりやった事がない。

 むしろ学園ハーレム系のギャルゲしかしないので、分からない事だらけだった。


 そして、その少女の名はシエルと言うらしい。

 獣人族長の娘で、異世界人の妻になる為に昔から教育されていたらしいのだが‥‥。

 俺は勇者では無いので、本当の勇者が現れたらこの子を預けてさよならしようと思う。


 ぶっちゃけ俺の目的は現実世界に帰る事。

 異世界で結婚するつもりはない訳で、魔王討伐なんて尚更するつもりは無い。


 しかし、現実世界に帰る為には情報を集める必要がある。なので少しの間、この子の面倒を見る事にした。


 シエルが言うには、この場所から西へ少し歩くと新しい街があるらしい。


 シエルはその街で駆け出し冒険者をしているそうだ。


 クエスト中に森で迷子になってしまい、パーティーメンバーと逸れてしまった所を俺と遭遇して今に至るらしい。


 しかし、シエルの見た目は完全に小学…いや、中学生くらいだが、年齢は俺と同じで17歳だと言う事に動揺を隠せなかった。


 獣人族は年齢と見た目が比例してないのだろうか?それとも、単にこいつの見た目がロリなだけなのか?

 そんな事を思いながらシエルの胸元を見ていると、度々目潰しを食らった。


「この街は冒険者の街、アルフヘイム!!冒険者になる為には、この街の冒険者ギルドに行って手続きが必要なのです!私はいつか伝説の冒険者と呼ばれるくらいの偉業を成し遂げて、ゆくゆくは世界一のウィザードラビアウンドに表彰してもらうのです!」


 そう言うシエルの目は、めちゃくちゃ輝いていた。どうやら、本気で冒険者として名を馳せたいと思っているのだろう。


 しかし、この街にはシエルより強そうな冒険者が沢山居る。しかも怖そうな…。


 俺はシエルに駆け出しでもOKな冒険者ギルドを案内された。


 まぁ、現実の世界に帰る方法なんて誰も知らないだろうが、俺は人の輪を広げる為にギルドに加入する事にした。








最後まで読んでいただき、

誠にありがとうございました。


今後とも、

この作品を完結まで描き続ける所存であります。


もし少しでも良いと感じられましたら、ブックマークやコメントなどお待ちしております。


また、アドバイスやご指示等ございましたら、そちらも全て拝見させて頂きたく思います。

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