◎第1話〈 異世界生活スタート 〉
◎第1章 - 異世界アンチの俺が渋々勇者になり魔王をボコボコにして帰るはずが、パーティーメンバーに止められてなかなか帰らせてくれない。-〈第1話〉『 異世界暮らしスタート 』
俺こと坂口守は、ある日突然異世界転移をした。
急にツッコミどころのある展開に、俺は少しの動揺もしていない。
なぜなら、俺は高校生!
昨日見た異世界アニメの夢を見ているに違いない!
そう思ったのだ。
コレは夢だ。コレはきっと夢なのだ。
しかし、その風景や人々はとてもリアルだ。果物は食べると美味しいし、花からはとても素敵な香りがする。
そう、俺の夢はついに2Dから3D、いや、4Dへと進化する事に成功した。
俺の夢は、遂に味覚や嗅覚まで感じる事が出来る様に進化したのだ!!
「NA・WA・KE・あるかぁぁぁぁぁぁ!」
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どうやら、俺こと、坂口守は本当に異世界転移してしまったらしい。
しかし、異世界に来る為には何かしらの“オヤクソク”が必要では無いか?!
俺は異世界転移する前は単なるゲーム好きの高校生。
特にこれと言って優秀な成績だった訳では無い。それに運動ができるタイプでも無い。
異世界に来る前に何かあったとすれば、今日の昼休みでの事だ。
隣の席の山下くんとこんな会話をした覚えがある。
「最近異世界系のアニメ多いよな」←山下くん
「ぶっちゃけイセテンとかもう古いだろ!もはや過去の産物でしか無いし、何作か見たけど青春アニメの良さには敵わないんだよなぁ‥‥」←オレ
「坂口‥‥。ファンにしばかれるぞ?」←山下くん
みたいな事を昼休みに話した記憶がある。が、まさか、あれが原因だとでも言うのか??
俺は異世界をディスったから、その腹いせに異世界転移させられたとでも言うのか?!
なんてこった。まさにパンナコッタだ。
しかし、この状況は多くの異世界ファンからすると歓喜する事なのだろう。だがしかし、俺は全くと言っていいほど喜んではいない!
むしろ絶望すら感じている‥‥‥。
なぜなら俺にとって異世界に来る事は地獄を意味するからだ。
やりたくも無い魔王討伐とか、モンスターを倒してレベルを上げるとか、もう全くと言っていいほど面倒が臭い!!
それに俺の心が動かされる展開と言うのは、現実世界で起こる青春的な展開あって、異世界転生する展開では無いからだ!
なぜ俺がこんな目に遭わなければならない?!
本来なら、現実の世界で食パン加えた女の子と道端でぶつかり、その女の子が俺の教室に転校生として現れて恋が芽生える〜!み・た・い・な高校生活を送りたかったのに!!
(⚠︎彼には妄想癖があります)
とりあえず、俺の異世界での目標は“現実の世界に帰る事”にしよう。
そうと決まったらまずは情報収集だ。この街で聞き込みをしてみよう。
こうして、意図ぜず俺の新たなる異世界生活(笑)が始まったのだが、本当の地獄はこれから始まる事になる。
俺は手当たり次第に色んな人に話を聞いて回った。そして俺は一つの確信を得た!
それは———
「異世界の言葉が全くわからねぇ!!」と言う事だ。
それもそのはず、ここは日本では無いのだから日本語が通じる訳もない。つまりいきなり“詰み”だ。俺の異世界生活は始まってすぐ詰んでしまったのだ。
流石に俺もこの世界の言語を1から習得する気力はない。
英語の成績も、5段階評価でいつも②を取ってる俺が、異世界語なんて習得出来るはずがない。
またもや、なんてこった。パンナコッタだ。
しかし、俺は考えた。
ここで諦めてしまったら、現実世界で待っているはずの運命の人(まだ現れていない)には一生会えなくなってしまうのでは無いか?
そんな事、果たして許せるのだろうか?!
否、俺の現実世界への想いはこんな物じゃ無い。
俺は必ず、現実の世界に戻ってみせる!!と、その時神に誓ったのであった。
俺はそれから異国の民として、異世界語を学ぶ事に集中した。
経済面でお金が必要だったので、靴磨きに工事の手伝い、そして子供達に殴られる仕事(着ぐるみを着たマスコットの仕事)を日々こなす事にした。
がむしゃらに仕事をこなしては給料を貰い、そのお金で本を買う。
昼間は仕事、夜中は宿も借りず路地で語学の習得に勤しむ。経済的にお金を無駄遣いする訳にはいかないので、宿にも泊まらず日々精進。
雨の日も風の日も、暑い日差しの日も。俺はただひたすらに仕事をこなしては、その報酬で本を買って言語を習得する。
それも全て、現実世界に帰るために!!
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気がつくと3ヶ月が経過していた。
この3ヶ月間は本当に大変だった。マジで涙が出るほどに!!
しかし、そのおかげで語学はちゃんと学べた。
仕事の同僚達ともコミュニケーションを取る事で、言語力を高める事が出来た!
ほとんどジェスチャーだったが‥‥。
そして俺はいつものように仕事へ向かう。するとなんだろう?人々の言っている事が3ヶ月前より分かる気がする。
仕事の同僚とは、元々言葉を交わさなくとも男同士のマッスルボイスで会話していたので問題はなかったのだが、言葉が少しずつ分かるようになってきて、俺はようやく同僚達が何を求めているのかが分かった。
そう、彼らはこう言っていたのだ!!
「よう相棒、ようやくお前のプリップリなケツに俺の息子をドッキングさせる気になったのか?」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
俺は、その日のうちに仕事をやめた。
そして逃げるように街を離れた。
当然、手ぶらでは何も出来ないので、稼いだ給料の半分を使い、リュックやナイフ等のサバイバル用品を買ってその街から消えた。
そして、2度と帰ってこない事を神に誓ったのだった。
最後まで読んでいただき、
誠にありがとうございました。
今後とも、
この作品を完結まで描き続ける所存であります。
もし少しでも良いと感じられましたら、ブックマークやコメントなどお待ちしております。
また、アドバイスやご指示等ございましたら、そちらも全て拝見させて頂きたく思います。