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断頭台

作者: 梅飴ばいう

 刃が、また落とされた。

 あらぬほどの血が噴出し、あの屈強なライオン男が息絶えた。それを囲む俺達は、自由へのカウントダウンを高らかに始める。

 あんたも見ただろう?

 あのライオン男の悔しそうな顔。この世のすべてを恨み尽くして、結局最後は自分だけを恨んでいたって気付いたって顔だぜ、あれは。

 次の処刑者は曲がり角にあるパン屋のおばさんだ。翼を携えた白い悪魔がおばさんを引っ捕らえて、断頭台に首を固定。

 後は一瞬。

 気持ちのいいくらいの音を出しておばさんの首がごろり、と切り離されて落ちる。白い悪魔がその首を持ち上げ、俺達に見せ付ける。俺達は大声をあげてそいつに応えてやった。また一歩、自由に近付いたんだ。

 さあ、白い悪魔が次の処刑者を選び始めたぞ。

 あのルビーのように輝く赤い瞳がこの処刑に相応しい罪人を選ぶのさ。

 お、どうやら見つけたらしいぞ。真っ直ぐこっちに向かってくる。

 悪魔のフォークが処刑者を指す。

 そのフォークの先にはあんたの姿。

 どうやらあんたの番みたいだな。

 行ってこいよ。ちゃんと死に様見てやるから。

 ほらほら、悪魔さんがあんたの両脇を掴んであの断頭台へ連れて行くぜ。ちゃんとこの光景を目に焼き付けておけよ。

 って、あんたはもう首を固定されちまってるのか。

 どうだ?

 首のあたりに冷たい木の感触がするだろう?

 首冷やすと風邪になるんだっけ。困るよな。今度のやつは焼けるぐらい熱いのがいいよな。

 それでもって上を見てみろよ。でっかい鉄の塊だろ。あれがあんたの首をぶった切るんだ。大丈夫、痛くない。痛みを感じる前にぽっくり逝っちまうよ。

 さあ、いよいよだぜ。

 白い悪魔が天に自由を咆え、刃を落とす。

 ごとり、首が落ちる。

 ほら、あっさり死ねただろ。

 あんたの首が悪魔に捕まれ、まるで結婚式で言うブーケみたいに俺達に投げられる。血をばら撒きながら飛ぶあんたの首はなかなか滑稽だよ。

 その首は弧を描き、そして俺の手元にすっぽり収まった。

 やあ、また会ったな。

 さっきまで赤かったのに今は真っ青じゃないか。やっぱ怖かったのかな。

 じーっと2つのルビーが俺を見てる。

 おいおい、どうしてくれるんだよ。

 あんたをキャッチしたから次は俺が処刑者になっちまったじゃないか。

 白い悪魔が俺を捕まえ、あの断頭台へ連れていく。

 まあ、これも仕方の無いこと。

 なんたってこれは、俺達の為の、自由への儀式なんだからな。



 刃が、また落とされた。


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― 新着の感想 ―
[一言]  一文が短いことで、とても軽快に読み進めることができました。  全体的にかなり残酷な内容を描いておきながら、そのテンポの良さが活きたのか、最後の締めの部分で思わずクスッと笑いかけてしまいま…
[一言] インパクトのある作品です。 自由とはなんなのか、生とはなんなのか。 作者様がこの文章にぶつけた思いが分かるような気がします。
2009/05/22 00:33 さくたろう
[一言] この話を読んで、この舞台は中世ヨーロッパの革命の頃だろうかと思いました。革命によって王は処刑され、人民は自由を手に入れた。つまり、自由は死によってもたらされるのではないかということを考えさせ…
2009/05/19 16:32 退会済み
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