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リール・ノスタルヂア  作者: 凪咲 叶多
3/3

ショッピング?


間城に聞いてから数十分、俺とロアは電車に乗って20分程度の所のショッピングモールに来ていた。なんでも、ここは全体的に大きいらしい。飲食店、映画館、美容院百均、などなど様々なお店がモールの中にあるみたいだ。

「お兄ちゃん!大きいよ!」

ロアがはしゃぐ。自分の事を高校生程度の年齢。とてもそうとはみえない子供らしいはしゃぎ方だ。着いただけでこんなに喜ぶとは大丈夫なのか自称神様よ。

「行き当たりばったりで来たがなかなか喜んでくれたみたいでよかった。」

これは本当の事だ。たとえ誰であろうと連れてきて喜ばれなかったら、いやだろう。それは俺もで、正直に言うとロアが喜んでくれなかったらどうしようかと思っていたところである。

「もちろん喜ぶに決まっているよ!お兄ちゃんと行けるならどこでも良いって言ったけど。まさかこんな所に連れて行ってくれるなんて、流石はロアが見込んだお兄ちゃんだね!」

見込まれた記憶などないのだが、そう言われると素直に嬉しいものだ。

「おう、それなら良かった。」

「うん!」

「しかし、そのどこでも良いって言ったのは俺たちがする関係ではないんだと思うのだが。」

俺はずっとロアがどこでも良いって言っていた事を聞いてみた。

「うーん、そうなのかな?ロアとしてはお兄ちゃんとならそういう関係になっても良いと思うよ?」

「・・・ん?そういう関係とは?」

 ロアの言っていることが分からずに思わず、聞き返してしまった。

「お兄ちゃんが思っていることだよ?」

「俺の思っている事・・・。」

「そうだよ。しかしひどいなぁ?せっかくロアが言ってあげたのに察してくれないなんて。」

 そういうとロアはそそくさと歩いて行ってしまった。

「察す?」

 俺がずっと立ち止まり「察す」の意味を考えていると・・・

「おーい!お兄ちゃん!早く来てよ!ロアはここに何があるのかもわからないよ?このままだと迷子になっちゃうよ!もしなったら知らないお兄ちゃんに連れてこられたって大声で人を呼ぶからね!」

 それはいろいろとまずい。しかしよくよく考えてみるとちゃんと説明すれば別に大丈夫ではないかと思う。

まぁ、それは別にいいとして、今俺は年下の小女に手を引っ張られている形になる。流石に男としてそれはダメだと思う。どうしようか考えている時間は無いわけで、俺はロアにモールの中へと連れていかれた。




 俺とロアが来たモールは建物の大きさに比例し中もすさまじく広かった。迷子になってもおかしくないだろう。

「お兄ちゃん!すごく広いよ!」

 もちろんロアは興奮している。いくら俺と同じくらいの年齢と言っても見た目がこうだから年下扱いされてもおかしくないだろう。

「お兄ちゃん!早く行こうよ!こんなに大きいのにぐずぐずしていたら時間が足りなくなっちゃうよ?」

「ああ、そうだな。しかし何も考えずに動き回るのもあまりだと思う。」

確かにこんなに大きなところなんだからすべて見れないのはもったいないだろうな、それに行きたいところは決めていた方がいいだろうし。

「お兄ちゃんはどこか行きたいお店とかはないの?ロアはお兄ちゃんの行くところならどこでもついていきたいなー?」

「行きたいところか。なるほど、俺はないな。」

 実際ここには目的があってきた訳じゃないからどこに行きたいとかはないのだ。

「えー、お兄ちゃんは男だからしっかり女の子をエスコートしていかないといけないんだよ?」

 気にしていたことを言われて俺は少し辛くなった。

「俺だって行きたい所があれば真っ先にそこに向かうさ。けど生憎だが行きたい所がないんだよ。」

「それはダメだよ!お兄ちゃん!なくても捻りださないと。」

「ないものを捻り出すことは無理だと思うのだが、これはどう思う?」

「うーん。お兄ちゃんだから大丈夫だと思うな?ロアはお兄ちゃんを信じているからね!」

 特によく分からなくて無責任な事を言われたがこのよく分からないことは無視しておくのが一番なのかと思った為。ここは触れないでおく。

「しかし、本当にどこに向かおうか。お店一覧みたいなのが近くにあればいいんだけどな」

「んー」

 俺がそう呟くとロアはキョロキョロと周りを見渡し案内板を探す。そういえばどこかの駅では『案内板はこちらです。』という風に音声が発せられるので非常に場所が分かりやすくなる。

「んー、あ!お兄ちゃんあそこにあるよ!」

 そうロアが指を指す方向には俺たちが探していた案内板があった。

「これでどこに行けるか決めれるね!」

ロアが走っていく。その後を俺は歩いてついて行く。

「お兄ちゃん早く!!」

 ロアは大きな声で俺を呼ぶ。しかしその仕草は手を握りしめて呼んでいるため子どもっぽさがどうも出できてしまう。

ロアに急かされても尚、歩いて案内板に向かう。

「お兄ちゃん!お店がいっぱいあるよ!」

「こ、これは・・・」

案内板いっぱいに広がるお店の名前。ある程度の場所もそこに記されている。これで行きたい所も決めれるだろう。

「お兄ちゃん!ここに行こう!!」

 そういってロアが指をさした方に目をやる

「えっと、フードコート?」

「ここに行きたいな?」

「別にいいけど、ここなら案内板を見ないでも決めれたんじゃないか?」

「まあまあ、フードコード以外にもどこに何があるか分かるからみたんだよ?」

「なるほど、そういう事だったのか。」

 それならそうと言ってほしかったところだが・・・。まぁいいか。



案内板で確認せずとも行けたはずのフードコートにつくと、大勢のお客さんでにぎわっていた。

「お兄ちゃん、すっごくひと多いよ~?」

 空いている席も全くないし、どのお店も混んでいる。

「確かにたくさんいるな・・・」

 こんなに人がいると人酔いしそうだ。

「あ、お兄ちゃんあそこ二人席空いてるよ?」

 そういってロアが指さした方向を見てみる。そこには言葉通り二人席があった。

「んー、二人席でも大丈夫なのか?」

「どっちどもいいよ! お兄ちゃんが好きな方で!」

 ロアはそう笑顔で言った。つくづく子供っぽいと思う。

「けど、どちらかというと二人の方がいいな?」

「あ、ああ?」

 しまった・・・。動揺した・・・。

「ん?どうかしたのお兄ちゃん? ロア何か変な事言ったかな?」

 ニヤニヤするロア。やはり、ロアはわざと言っていた。俺の反応を楽しむためにこんな事言っていたのだろう。

「ロア、お前・・・。」

「どうしたの?お兄ちゃん?」

 わかっていながら、とぼけている。ロアは確実にわざと言っている。

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