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幼女魔王さま奮戦記! ~中身はおっさんですけども~  作者: ぽんこつ少尉@『転ショタ3巻/コミカライズ3巻発売中』
第三章

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第30話 老兵と愉快な仲間たち(ランク表)

前回までのあらすじ!


露出系紳士が仲間になったぞ!

 その日、カナン騎士の横暴により疲弊し切ったレエルディアの街に、さらなる震撼が走った。


 魔王レギド以下側近五体の魔族のみが街の中央広場に突如として現れ、レエルディア領主(ロード)ユルギ・オニクスを人質にレエルディアに降伏勧告を突きつけたためである。


 幼い魔王は民衆を集めるや否や、先日、裸エプロンのバケモ――男に対して言ってのけたように、レエルディア(この街)が王都カナンからすでに見棄てられていることと、ニーズヘッグ城の魔族による支配はもはや避けられぬ事態であることを告げた。

 だがそれと同時に、支配に際し、魔族は決して略奪や虐殺といった非道を行わないことをも付け加えた。


 民の反応は様々だった。

 絶望に打ち拉がれるもの、レエルディアを去らんとするもの、そして少数の、新たなる環境に希望を抱くもの。

 カナン騎士による税の徴収で痩せ衰え、生きる気力さえ失っていたレエルディアの住民の多くは牙を剥くことなく、イルクレア率いる魔族に膝を折った。


 新たな領主(ロード)に変わらず人間種が選ばれたことや、魔族領域となったレエル湖砦の糧食がレエルディアに分け与えられたことも、支配をスムーズにした大きな要因であっただろう。


 イルクレア・レギド・ニーズヘッグは支配宣言の最後に告げた。


 “糧を失いたくなくば、貴様ら自身の手で王都カナンよりレエル湖砦を守り抜け!”と。


 こうしてレエルディアの人間たちは魔族に屈し、同じ人間の支配する王都カナンに牙を剥くことを決意したのである。


 もっとも――。

 幼女魔王イルクレアこと老兵ユラン・シャンディラに言わせれば、領主(ロード)のお仕事のできる頭脳と暇を持て余した魔族などただの一体たりともおらず、支配に際しても口八丁手八丁で戦力規模を騙さなければ、王都はおろか、実のところ地方都市に過ぎないレエルディアすら支配できなかったというのが真実だ。


 あえて書き記す。

 今の魔軍(こいつら)は、正味の話がかなりのポンコツ集団であると。


「あら、落書き遊びでもしているのですか?」


 椅子にちょこんと座って机に向かい、フェニックスの翼から毟り取った羽根ペンをカリカリ動かす幼女の背中から、蛇の女王ラミュが覗き込んで尋ねてきた。


「餓鬼扱いするな。これは日誌だ」

「意外ですね。剣を振るしか取り柄のない方かと思っていましたが、字を書けるだなんて」


 めきり、と赤い羽根ペンが折れ曲がる。


「ラミュ……貴様、おれをなんだと思っている……」

「脳みそ筋肉のおバカさん」


 幼女の額に青筋が浮かび、だがすぐにため息とともに沈んだ。


「機嫌が悪いな。人間が仲間になったことが、そんなに気に入らんか」

「大嫌いですから」

「おれも人間だったのだがな」

「ええ。だからユランのことも嫌いですよ」

「魔将軍を葬りすぎたか。友でもいたか?」


 ラミュが細い肩をすくめて、臀部をユランの向かう机に置いた。包帯のような服装からはみ出る白い肌が、執務机の上で柔らかに形を変える。


「たくさんいましたよ。ですがあれは戦争で、そしてわたくしの友は兵であって一般人ではありませんでした。そこは弁えているつもりです。少なくとも老兵ユラン・シャンディラは、一般人に対する虐殺行為や略奪行為は行わなかったですからね」

「そうか」


 折れたペンにインクをつけ、老兵幼女は再び机へと向かう。


「まあ、嫌ってくれてかまわんぞ。兵とはいえ、簡単には割り切れんもんだ」

「ええ。お互いに」


 再びペンが折れた。


「おれの友や部下だったやつらは、おれの愚かさが殺したも同然だ。魔族のせいですらない。過去の己を憎んでも、魔将軍を恨みに思ったことは一度もない。今も昔もな」


 ラミュが少し目を伏せて、小さく小さく、消え入りそうな声で呟く。


「……言い過ぎました」

「いや」


 苦い時間が流れる。

 ペンが紙をなぞる音だけが静かに響く。


 レエル湖砦、執務室――。

 砦の中庭では、六翼のヴァルキリー・ネハシムが、レエルディアの住民を走らせている。剣や槍を持つ前に、体力をつけさせねばならない。


 食わせて、眠らせて、走らせる。しばらくはその繰り返しだ。

 もっとも、過酷な訓練であるけれども、ネハシムにしごかれることを苦に思っていそうな兵はいない。むしろご褒美のようだ。


 気に入らない。ああ、それが気に入らないのだ。この老兵幼女は。

 嫉妬であることは自覚している。


「ラミュ。練兵を終え次第、すぐに発つ」

「また五体で人間軍の砦落としですか?」

「いや、五体と一人だ。裸エプロンを使う。ナリこそアレだが、戦力的には貴様やヨハンとほぼ互角だ。申し分ない」


 ラミュがあからさまに顔をしかめた。


「あのとき、わざと間違えて殺しておけばよかったです」

「ふははっ! ヨハンのように鬱陶しく迫ってこんだけマシだろう! それに、やつのおかげで遠征中にもうまいものが食える」

「まあその点ではヨハンより百倍マシですね」


 視線を合わせて同時に苦笑いを浮かべる。

 以前の老兵であれば、考えられないことだ。魔族の女と、こうして笑い合うことなど。


「それで、まだ何か書かれているので?」

「ああ。日誌以外にも、暫定的な戦力分析をメモに残していた。概ねこんなものだろう」


 ユランはラミュに、幼い手で紙を手渡した。

 ラミュがそれを受け取って視線を落とす。


//////////////////////////////////////////////////////////////

●魔族

○人間族

△危険な野良

×死亡もしくは絶滅


ランクSSS


 ●地竜マグナドール[拠点防衛のみ・駄犬・バカ]


ランクSS


 ×魔王イルクレア・レギド・ニーズヘッグ[行方不明]


ランクS+


 ×老兵ユラン・シャンディラ[(オーク)に喰われてうんちになった]

 ○勇者エドヴァルド[ロリコン・死ね!・アホ・怖い・うんこ・死ね!]


ランクS


 ●魔王イルクレア[ユラン・幼女]

 ●ヴァルキリー・ネハシム[“暫定ランク”]

 ○勇者リントヴルム[愛弟子・生真面目]

 ×戦闘特化の魔将軍[全滅]

 △最上位の魔物[デーモン・滅多に見ない]


ランクA+


 ●蛇の女王ラミュ・ナーガラージャ[魔将軍・破廉恥服]

 ●裸エプロン[露出系紳士]

 ×その他の魔将軍[ラミュ以外全滅]

 ○カナン近衛騎士[五十名ほど]

 △上位魔物[亜竜種・たまに空飛んでる]


ランクA


 ●ダークエルフ・ヨハン[変態! 変態! 変態ッ! 変態ッ!!]

 ●トロール・トロロン[筋肉毛玉・愛らしい・凶暴]

 ○カナン騎士長クラス[手強い・個体によってはA+・数多い]


ランクB+


 ○カナン騎士副長クラス[いっぱいいる]


ランクB


 ●巨人族[ヘタレ・泣き虫]

 ●ミノタウロス族[非常食・超美味・A4~A5]

 ●オーガ族[昼ドラ・どろどろ三角関係・藁パンツ]

 ○カナン騎士[“無限にいる”]


ランクC+


 ●フェニックス[お肉を焼くのが得意・鳥頭]

 ●キマイラ[酒はだめ・毒吐きで自滅・駄犬]

 ●世界蛇[でかい・移動用]

 ○カナン兵[“無限にいる”]

 △魔物類[どこにでもいる]


ランクC


 ○一般人[無限にいる]

 ●レエル湖砦の練兵[痩せてガリガリ]

 ●非戦闘員の魔族[絶滅危惧種]


ランクD


 ●スライム[とろい・掃除機(ルンバ)

 ●羅刹・ラス[幼女・遠慮がち・懐いている・鬼]

 ●ガーゴイル・ミケゴイル[(笑)]

 ○人間の子供[うじゃうじゃいる]


ランクE(糞ゴミ)


 ●シルフ[糞バカ・一匹]

 ●ノーム[糞バカ・三匹]

 ●サラマンダー[暫定糞バカ]

 ●ウンディーネ[暫定糞バカ]

//////////////////////////////////////////////////////////////


 ラミュが紙をユランに返し、遠い目で呟いた。


「ろくな味方がいませんね。おまけに数を考慮に入れれば彼我の戦力差は数十倍では利かなさそうです」

「……おれもそう思う」


 絶望的状況に、あらためて二人は同時に頭を抱えるのだった。



ランクA以下は勝ち目ナシ!

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