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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第1話 魔法熟女?プリティーピーチ復活
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危うしマギカフォース!!新たな仲間はお母さん!?(4)

 ダンテは今回の作戦に対して並々ならぬ決意を湛えていた。

 ウラーム帝国の残党がまとまり、再度人間界とスターランドへの侵攻が決定された時に得た高揚感、そして侵攻軍の尖兵として鬼兵長として任命された誇りが彼を突き動かしていた。

 だが華々しいウラーム帝国の再興を賭けた再侵攻計画は30年前と同じく魔法少女の登場によって狂い始めていったのだ。

 しかし30年前とは違い、とある出来事によって人間界への侵攻が加速する。

 他の侵略組織との連合である「ヘイトレギオン」の結成により侵攻計画に大きな弾みがついた。

 ヘイトレギオンが結成されるまでの1年間では人間たちの心を破壊することも満足にできず、ウラーム帝国残党軍は魔法少女に駆逐される一方であったが、他組織の侵攻作戦が浸透していき徐々に人々の心は荒み、帝国の悪鬼たちも活性化されていったのだ。

 ただ、表立った活動は今も尚ウラーム帝国軍が担っており、必然的に魔法少女達と直接戦い戦力を削がれていく結果となっているのをダンテは苦々しく思っていた。

 直近の2ヶ月における魔法少女達との戦いで勝算は十分有るということを確信し、一度はマギカフォースの四人をあと一歩というと所まで追い詰めたこともあった。

 だがしかしマギカドリームという新たな魔法少女の登場により撤退を余儀なくされ、万全を期して魔法少女達を確実に葬るための策を携えて今ここに立っている。


 魔法少女達を包囲した悪鬼兵達は4~5人の集団をいくつも作り波状攻撃を繰り返していた。

 また遠距離からの魔力弾も加え、攻撃の手を緩めなかった。

「なんなのよ、この多さは!」

 けさ切りにした悪鬼兵を蹴り飛ばしながらサンシャインが叫ぶ。

「いつもの5倍から10倍はいそうですわね」

 アクアウィップを振り回し悪鬼兵を退けながらアクアが答える。

「それにこの量じゃ再生スピードのが上回っちゃうから終わりがないんだなっ!」

 エナジーガンを乱射しているスカイがニヤニヤしながら呟く。

 悪鬼兵は人間の悪しき心より生まれる所謂悪鬼そのものであり、肉体を持つものの完全に消滅しない限りは悪しき心のエネルギーによって自己再生が可能である。

 現在は人の悪しき心が満ちており、スカイの言うとおり倒した傍から再生が始まる状況になっていた。


 そもそもミソッカス集団であるマギカフォース達が1年間も優勢を保っていたのはマギカフォースシステムの性能もあるが、人々の心が破壊されておらずウラーム帝国残党が非常に弱体化していたことも大きかった。

 シリウスがシステムが最大限評価されることを狙ってテストチームには装備を利用できる最低限の魔力素養のある少女達が選ばれた。

 そのようなチームであったため最初はシリウスも多少不安を抱えていたがウラーム帝国軍の想像以上の弱さに完全に油断し、追加試験計画や追加装備開発などの進行を怠っていた。

 そしてその油断の代償としてヘイトレギオン結成によって苦戦を強いられることとなったのだ。

 悪鬼兵が日を増して強化されタフになっていく現状を打破するため、大火力の追加を第一とした追加戦士の投入が決定されたが、焦るシリウスは候補の選定に殆ど時間をかけずこの町で魔力素養の最も高い少女に即決した。

 そして選ばれた夢には大して調整も行っていない上位型のスーツと専用兵装であるエナジーセプターを貸与して投入したのだ。


「ドリーム!グズグズしてないでぶっ放しなさいよ!」

 リーダーに怒鳴られたドリームは急いで魔力を集中するが上手くコントロールができず焦る。

 ドリームこと夢は母親譲りの強い魔力を持っていた。

 しかしマギカフォースシステムの装備ではここまで強い魔力保有者の使用は想定しておらず、装備の内部魔力と夢の魔力が混線して非常に不安定な状況となっていたのだ。

「ドリームパニッシャー!」

 エナジーセプターが唸り漆黒の塊がなんとか射出される。

 漆黒の弾丸がまたもや悪鬼兵を塵へと変えてゆくが一向に悪鬼兵の群れは減る気配を見せない。

「あ、あまり密集してないから全然減らないね」

 フラワーが震えながらも銃を撃っている。

「ニャハハ!弾切れしちゃうぞ!」

 銃の残弾を確認しながらスカイが後ずさりを始める。

「いよいよ逃げることも考えないといけないかしらね」

「魔法少女が逃げるだなんてありえないわよ!」

 サンシャインとアクアが剣を振り回しながら言葉を交わしあう。


 魔法少女たちが戦うか撤退するか覚悟が揺れだした時であった。

 悪鬼兵が急に攻撃をやめ、団地を背にした魔法少女らを方位する形を維持して距離を取った。

 悪鬼の群れが割れ、後ろから緑色の肌をした大男、鬼兵長ダンテが進み出てくる。

「さて、ついにマギカフォース達も年貢の納め時だな。安らかに眠ってもらおうか」

 勝ち誇り余裕の表情でダンテが言葉を続ける。

「それとも、尻尾を巻いて逃げ出すかな?かつての我々のように惨めに敗走する様を見送るのも一興だろうな」

「なんですってー!!」

 サンシャインが怒気を上げる。そしてニヤリと悪い笑みを漏らしながら剣を地面に突き立てる。

 ドリームを除いたほかの三人も合わせる様に剣を地面に突き立てていく。

「調子こいて油断したわね!マギカバインドフォーメーション!!」

 突き立てられたエナジーブレードの刀身が地面にそって伸びて行き、ダンテの周囲を囲い始める。

 そしてダンテを囲った光の輪から光の柱が次々と伸び、格子状の結界へと変わる。

「最大パワーで消し飛ばしちゃいなさい!」

「はいっ!ドリームパニッシャー!!」

 サンシャインの後ろに控えていたドリームが全力を注ぎ込んだ必殺技がダンテを直撃。魔力の爆発によって視界が覆われる。

「やったわね」

 サンシャインが勝利を宣言する。

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