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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第4話 フォームチェンジ!激突魔法熟女
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至宝の煌き(3)


 二つの輝きが収束し、プリティーピーチとプリティーベリーが同時に現れた。

 それに合わせるかのように周囲の風景がぐにゃりと歪み一瞬にしてモノクロの世界へと変わる。


「次元回廊……トライガーも隠れて見てるってわけね」

 魔法少女の姿となった焔が辺りを見回し再度同じようなコスチュームの桃美へと視線を戻す。

「まぁ、まずは桃美を倒すだけ!」

 黒く濁ったプリティーコアが取り付けられた杖が振るわれる。

 杖の先端から火球が次々と放たれ桃美へと殺到する。


「……もう後には退けない」

 ぐっと杖を握った桃美は焔から視線を外さず火球を避けて後ろへと飛ぶ。

「私が焔ちゃんを助けるんだから!」

 さらに向かってくる火球へ向けて光弾を撃ち込み迎撃していく。


「逃げ回ってるだけじゃつまらない!本気出しなさいよ!!」

 焔が吼える。

 焔のプリティーコアが鈍く輝き、魔法陣が空中に展開された。

 魔法陣からはブラズマ化した魔力を纏った巨大な火炎弾が桃美目掛け打ち出された。

「学校諸共消し飛びなさい!!」

 狂気を孕んだ瞳が桃美を捉えて放さなかった。


「トラちゃん、皆、フォローよろしくねっ!!」

 桃美のプリティーコアも眩く輝きを放つ。

 焔の放った火炎弾へと向けられた杖の先に魔法陣が展開され、桃色の魔力ビームが放たれる。


ドゴオオオオオオオオオオオオオオ


 閃光

 爆音

 次元回廊そのものを揺るがせるほどのエネルギーが発散される。

 学校の屋上周囲に張り巡らされたトライガーと環、ありす達による結界によって行き場をなくしたエネルギーがぶつかり激しくスパークしていく。

 二つの魔力の爆心地は爆煙と魔力のブラズマが渦巻いていた。

「焔ちゃんは!?」

 体勢を立て直した桃美は爆煙の先に焔の存在を探ろうとしたが、そちらに注意を向けすぎて背後から肉薄する気配を見落としていた

「甘いっ!!」

 爆発に紛れて桃美の背後回りこんでいた焔が鋭く杖を横薙ぎにする。

「ぐっ!」

 焔の杖で腹部を殴打された桃美がくぐもった声を上げ吹き飛ばされる。

 なんとか衝撃を殺して起き上がった桃美へさらに火球が乱れ飛んで来る。

「ハハハ!どうしたの桃美!早く本気を出さないとすぐに死んじゃうわよ!」

「焔ちゃん……」

 唇をぎゅっと噛み締め桃美は迫り来る火球を桃色のビームで打ち落としていく。


「まだまだ!楽しませなさい!!」

 焔が杖を高く掲げる。

 火柱を次々に生み出し桃美を囲い込み、さらに上空に生み出した魔法陣から火球を乱れ撃ち追い込んでいく。

 そうして逃げ場のなくなった桃美が魔法で無理矢理火柱を破り逃げようとすると、その隙を見逃さず焔は容赦なく桃美へ接近戦を仕掛ける。

「くっ!」

 近接戦を嫌って桃美が距離を取るが再び火柱が桃美の行く手を遮る。

「あんたの戦い方は良く知ってるんだから!!」

 火柱によって一瞬動きが止まった桃美へと焔が突進し杖を振り下ろす。


ガギィ!!

 桃美が焔の杖を受け止め火花が散る。

「私だって良く知ってる!」

 桃美のプリティーコアが輝き、鍔迫り合いになっている焔へ至近距離の魔力爆破を見舞う。


ボムッ!!!

 焔の魔法障壁とぶつかり合った魔力の爆発がスパークを散らす。

 爆破の衝撃と共に焔は後方へと飛び下がっていく。

「桃美ぃ!!相変わらず敵に甘すぎる!!なんで手加減をするっ!!」

 至近距離での魔力爆破は焔の魔法障壁に阻まれ、焔の体には傷一つ付いていなかった。

 しかしそれが逆に焔の逆鱗に触れたようだった。

「戦いの場ではその甘さが命取りになるっていつも言ってるでしょ!!」

 烈火のごとく怒り露わにする焔。

 しかしそれを見て桃美の顔には笑顔が生まれていた。

「何が可笑しいっ!!」

「そのセリフ昔も良く聞いたなって。焔ちゃんはあの頃の焔ちゃんのままだってわかって安心したから」

 桃美は怒り狂う焔を真っ直ぐに見据えた。

「懐かしいよ。いつも私のこと心配して怒ってくれた焔ちゃんのままだ。葉月ちゃんと細かいことでケンカばかりしてた頃のまま」

「うるさい!黙れ黙れ黙れ!!私は昔話をしにきたんじゃない!!」

 頭を掻き毟り狂乱した焔が桃美へとぶつかる様に突撃する。

 大上段から振り下ろされた焔の杖を桃美はしっかりと杖で受ける。

「今日は同窓会の日じゃない!本当は焔ちゃん、昔を懐かしむためにここに来たんじゃないの?」

 ギリギリと音を立てる杖越しに桃美は焔の瞳を覗き込む。

 真っ直ぐな視線に焔の精神が揺さぶられる。

「違う!私は過去の栄光を取り戻すためにっ!私が特別な私に戻るためにっ!」

「それが懐かしんでるってことなの!」


バギィッ!

 桃美が焔を思い切り弾き飛ばし、改めて杖をしっかりと握りしめた。

「もう迷わない。焔ちゃんはあの頃のままだ。悪いのはそのプリティーコアだけだ!」

 たたらを踏みながらなんとか体勢を立て直した焔は桃美から魔力があふれ出しているのを察知した。

「やっと本気を出す気になって!!」

 狂気に染まる焔が叫ぶ。

 桃美と焔の周りの魔力の高まりによって大気が震えだす。


「焔ちゃんを解放するためにっ!強き心よ!!」

「負けられないのよおおおおおおお!強き心よおおおおおおおお!!」


 二人のプリティーコアから光の幕が生み出され、それぞれの体を覆っていった。



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