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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第4話 フォームチェンジ!激突魔法熟女
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新たなる力、フォームチェンジギア起動!(4)

 マギカフォースの4人の背中に装着されていた薄い菱形のバックパックが左右に割れ、内部から眩い光が放たれれる。

 光はオーラ状に彼女達を覆い、頭、両肩、胸、両足、そして武器へと纏わり付くように収束していった。収束した光はそれぞれ新たな装備を形作っていた。

「見よ!これが私達の新たなる力、ブレイブナイツフォームよ!!」

 サンシャインの雄たけびのような名乗りが轟く。


 マギカフォースの4人の新たなる姿、ブレイブナイツフォーム。

 元々のバイザー型のヘルメットには両サイドに羽根型の飾りがついたサークレットが新たに追加され、両肩と両足のプロテクターは重厚な物へとサイズアップされている。ボディースーツの上から魔法陣がびっしりと刻印された胸当てが装着され、それぞれの武器はどれも無骨でシンプルだったマギカエクストラウェポンが華美な意匠の新たな武装へと変わっていた。

 元々のシンプルかつ近未来的スタイリッシュなマギカフォースの装備から意匠がまるっきり違う装備が追加したその姿はさながらファンタジーRPGに出てくる勇者のようにも見えた。

 事実、このブレイブナイツフォームの装備は過去に作られたが装着者がいなかったため倉庫で埃を被っていた魔法具をリメイクしたものだった。現場(主にサンシャイン)からのフォームチェンジ追加要求に対して突貫的に作られたこの装備は本来魔法剣士ブレイブナイツ用に作られた物をバラし、装備適合のないマギカフォースのために魔科学を組み込むことで外部魔力で稼動する外付けフォームチェンジギアとなった。追加装備であるバックパックはフォームチェンジギアの格納と装着、そしてギア用の魔力源としての機能を備えている。


「ふ、ふん!姿が多少変わった程度で強気になるなんておめでたい奴らですわ!悪鬼超兵よ、蹂躙しなさい!」

 レイジーの言葉に遠巻きにマギカフォース達を包囲していた悪鬼超兵達が一斉に襲い掛かる。

「ようやくお約束ってものが分かってきたみたいね。時間も限られてるし一気にやるわよ!」

 サンシャインが柄に宝石が嵌った両刃の大剣を肩に担いで悪鬼達へと駆け出す。

「サンシャインブレイブスラッシュ!!」

 大上段からぶっきらぼうに振り下ろされた斬撃は眩い閃光と共に悪鬼達の群れを爆砕する。

「私はアイツをやるから雑魚は任せるわよ」

 サンシャインが悪鬼達の海を割るかのように大剣で切り裂きレイジーへと一直線に突き進んでいく。

「ちょっと!またすぐ調子に乗って!」

 両手にそれぞれ剣を持ち悪鬼超兵を解体していたアクアはサンシャインの後ろ姿を追う。

「雑魚を減らしてサンシャインの援護に回りますわ。アクアブレイブミラージュ!」

 左手には刺突剣、右手には片刃の長剣を握ったアクアが10人に分身し、押し寄せる悪鬼の群れとアクア軍団が衝突する。

 青色の魔力体である分身アクア達が悪鬼を次々と解体していき、アクア本体が切り開かれた道を駆け抜ける

「にゃー、接近戦はあんまり得意じゃないんだけどなぁ」

 スカイは両端に幅広の刃が付いた薙刀を振り回しながら悪鬼達を粉砕していた。

「えーい、どかないとミンチにゃー!スカイブレイブスライサー!」

 薙刀を頭上で器用に回転させスカイは人間竜巻と化す。

 スカイを中心に発生した刃のミキサーは悪鬼達を吸い込み、細切れにして排出しながら次の獲物を吸引していく。

「み、みんなまってよぉ」

 歯車状に刃が付いた円形の盾を両手に装着したフラワーは後ろから他の3人を追いかけていた。

「邪魔しないで!フラワーブレイブプレッシャー!」

 行く手を遮る悪鬼超兵達へフラワーは両手の盾を突き出すように構えた。

 両手の盾から高濃度に圧縮した障壁魔法は放たれ、悪鬼達の群れが高濃度の魔力障壁によって押しつぶされる。

 地面と一体化した悪鬼超兵の屍を上をフラワーは走り、仲間達の背中を追いかけていった。



「これが、フォームチェンジの力……」

 先ほどまで苦労していた悪鬼超兵達を軽々粉砕していく4人の姿にドリームは見入ってしまっていた。

「私も力が欲しい……」

 今まで心のどこかで下に見ていた4人の新たな力は想像以上であり、自分よりも強いのではと認めざるを得なかった。

 そしてドリームは自分の不甲斐なさを悔いた。

「私にもプリティーピーチみたいな強さが……」

 魔力弾で悪鬼を吹き飛ばしながらも憧れの魔法少女の姿がドリームの脳裏に浮かぶのだった。


「くっ!悪鬼超兵を増員しますわ!時間を稼ぎなさい!」

 レイジーは悪鬼兵長達に指示を出そうとしていたが叶わなかった。

「さっきのお返しに来たわよ!」 

 凄まじい突破力で包囲を突き抜けたサンシャインがレイジーの目の前に躍り出たからだ。

 サンシャインは勢いそのままにレイジーへと突進する。

「どりゃあ!!」

ガギィイイン!!

 サンシャインが突進しながら振り下ろした大剣をレイジーが扇で受け止める。

 後方へと押し込まれながらもレイジーは大剣を受け止め、魔力のスパークを撒き散らしながら鍔迫り合いになる。

「ぐっ……、少々パワーアップしたからといって甘く見られたものですわね!」

「ふん……、アンタはフォームチェンジのかませ犬なんだからさっさとやられなさいよ!」

 ギリギリと押し合いながら悪態を付き合う二人。

「サンシャイン!追いつきましたわよ!」

 背後からアクア達の声が聞こえた。

 背後に視線をやると悪鬼超兵達を軒並み潰滅した彼女達の姿が見えた。

「雑魚は片付いたみたいだけど、アンタもそろそろ覚悟しなさいよっと!!」

 サンシャインが大剣を一気に振りぬき、レイジーを後方へと吹き飛ばした。

 サンシャインの元にはマギカフォース達が集結する。

「さあ!これでフィニッシュにするわよ!!」

 大剣の切っ先をレイジーに向けサンシャインが吼える。


「それはどうかしら!?」

 勝利を確信したマギカフォース達を前にしてレイジーは邪悪な笑みを浮かべる。その顔には余裕すら浮かんでいる。

 レイジー達の背後の漆黒の霧が蠢くように大きく膨らんでいき、再び闇の中から悪鬼超兵達が這い出してくる。

「私の魔力で生み出したこの黒霧のフィールドがある限り悪鬼超兵軍団は不滅ですわ!」

 続々と生み出される悪鬼超兵達を侍らせレイジーの高笑いが響く。

「やっぱりアイツを一気に倒さないとダメっぽいわね」

「残り時間もありますし、スピード勝負になりそうですわね」

「ニャハハ、振り出しに戻れは面倒だね」

「ちょ、ちょっと疲れてきちゃった」

 マギカフォース達が再び武器を握り悪鬼へと向かおうとしたその時だった。


「皆、ちょっと待て!何か来るぞ!」

 シリウスはレイジー達の背後にある闇の霧の更に奥側の空間に強制的に進入してくる魔力をキャッチしていた。


ドゴーーーン!!!


 黒霧のフィールドが突如弾け霧散する。

「なっ!一体何事ですの!?」

 レイジーの狼狽した声が響く。

 霧の中心に何者かが強引に次元を割って転移したことで発生した魔力のカタストロフが黒霧のフィールドを跡形もなく吹き飛ばしたのだ。

 そして破綻した魔力が渦巻く爆心地には漆黒のブラズマを纏った真紅の火柱が吹き上がっていた。

「見つけたわ、悪鬼共」

 魔力の暴風が収まり火柱の中から一人の魔法少女がゆっくりと歩み出てくる。その姿にその場の視線が釘付けになる。

「あれは!?」

「プリティーピーチ……に似てるけど別人よね?」

「レイジー様、不味いですぞ」

 視線を一身に浴びなが歩み出てきた魔法少女、それはプリティーピーチとほぼ同じデザインで配色が赤を基調としたコスチュームを着た少女だった。

 真っ赤なショートヘアーの魔法少女が強気そうな釣り上がり気味の鋭い目で悪鬼達を眺めていく。

 その姿はまるで獲物を前に舌なめずりしている肉食獣のような印象すらあった。



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