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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第4話 フォームチェンジ!激突魔法熟女
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新たなる力、フォームチェンジギア起動!(3)

「悪鬼将軍だぁ?」

「サ、サンシャイン、どっちが悪役か分からないよ!」

 バイザー越しに因縁をつけるサンシャインをフラワーが引き摺っていく。

「ニャハハ、またアクアとキャラ被ってるのが来た」

「スカイ!そんなこと私は気にしていませんわ!」

 レイジーと雰囲気の違う悪鬼兵の軍勢を前にしてもマギカフォースの4人はギャーギャー騒いでいる。

 ドリームだけはレイジーの放つ魔力に警戒の度合いを更に高めていた。


「ジュダス、ラムレイご苦労ですわ。それにしても、今までの悪鬼兵長達はこんなお笑い魔法少女如きに後れを取っていたなんて恥晒しにもほどが有りますわね。侵攻部隊統括とか言いながらガリオの配下もたがか知れる」

 レイジーの言葉に両脇に悪鬼兵長達が苦虫を噛み潰したような顔をする。

「お言葉ですがレイジー様、我ら侵攻部隊も必死に戦っております。それに損害に関してはこやつらではなくプリ―」

「お黙りなさいジュダス!あなた方は今私の配下なのですよ!無駄な口答えは許可してませんわよ」

 老悪鬼ジュダスが堪りかねて反論するもレイジーは切り捨てた。

「……出過ぎた真似をしてしまい失礼いたしました」 

 ジュダスは渋い顔で引き下がった。隣の巨漢の悪鬼はこめかみに青筋を立てているようだ。

「まぁいいですわ。あの程度の悪鬼兵で倒されるようなら私直々に出向く価値もないでしょう。それでは今度はもっと面白いダンスを見せてもらいましょうか。行きなさい!悪鬼超兵達よ!」

 レイジーが虚空から紫色の豪奢な扇を生み出し、さっと開いた。

 それを合図にそれぞれ握った凶器を振り上げて悪鬼超兵の軍勢がマギカフォース目掛けて突撃を開始した。


「来るぞ!」

 シリウスの叫びと同時にマギカフォース達も武器を握り直し、迫り来る軍勢を迎え撃つ。

「数を減らします」

「ニャニャニャニャニャ!」

 機杖から魔力弾を射出したドリームに合わせスカイがガトリング砲を乱射する。

ドゴッ!

チュドドドドドドド!

 ドリームの放った漆黒の魔力弾が悪鬼超兵の群れの最前線に着弾し悪鬼が爆ぜる。

 直撃した悪鬼10人ほど粉微塵になったが余波で吹き飛んだだけの者は再び起き上がり進撃に加わっていく。スカイの銃撃に至っては足止め程度にしかなっていない。

「タフすぎぃ。チャージモードじゃないとダメっぽいにゃあ」

「じゃあさっさとチャージモードに変えて!アクア!フラワー!突撃するから援護しなさい!」

 叫ぶなりサンシャインが悪鬼超兵の波へと突っ込む。

「ちょっ!簡単に言わないでくれます!?」

「え、ええぇ~!」

 

 虹色に輝くフラワーの防御魔法を纏いながらサンシャインが悪鬼の群れの最前線と衝突するように大剣を振り下ろす。

「どっせーい!!」

 通常の悪鬼兵より強靭ではあるものの、サンシャインのバスターブレードによる一撃は確実に悪鬼超兵達を両断していく。

「もうっ!突っ込み過ぎてますわよ!」

 サンシャインを包囲しようとする悪鬼超兵達はアクアのウィップソードによって弾かれ、なぎ払われていく。

「ニャハハ、今日のサンシャイン張り切りすぎぃ!」

 後方からスカイがガトリング砲による弾幕を形成しつつ、タイミングを見計らってチャージショットで悪鬼を撃ち抜いていく。隣ではドリームが密集した悪鬼達に魔力弾を撃ち込んでいる。

「み、皆あんまり無茶しないでね」

 フラワーは後衛のスカイとドリームの傍で前線への支援をしつつ弾幕を突破してきた悪鬼超兵をガントレットでふっ飛ばしている。

 これが合宿の成果なのか、はたまたここまでの戦いで得た経験値がようやく花開いたのかは定かではないが、マギカフォース達はそれぞれの役割を完遂して300を優に超える悪鬼超兵達の群れを徐々に殲滅している。

 だが、通常の悪鬼兵よりも強靭な悪鬼超兵の群れは確実に彼女達を消耗させていた。


「サンシャイン!」

 悪鬼超兵の釘バットのような凶器がフラワーが発動したシールドにヒビを入れる。

「くっ、邪魔よ!」

 大剣を横薙ぎにして悪鬼達の波を吹き飛ばす。

 悪鬼の波が後方へと一時的に押し戻されるが、両断された悪鬼以外は再び起き上がろうとしていた。

「にゃぁ~そろそろ弾切れするよー」

「数は減ってますけど勢いが落ちませんわね」

 後退してきたサンシャインと肩を並べたアクアが悪鬼超兵達を睨みつける。

 悪鬼超兵達はゆっくりとマギカフォース達を包囲するように動き始めている。

 悪鬼の群れの奥ではマギカフォースに興味を失った眼差しのレイジーが欠伸をしていた。


「ちょっとこれは厳しそうね」

 サンシャインが完成しつつある悪鬼達の包囲陣を見回す。

 絶体絶命の状況であったが、彼女の顔には不敵な笑みがこぼれていた。

「いよいよ秘密兵器を使う時が来たようね!皆行くわ―」

「飽きましたわ」

 何か叫ぼうとしていたサンシャインの前に漆黒の影と共に突如レイジーが現れる。そして片手に持っていた扇をサンシャインに振り下ろした。

ドゴッ!

「ぐぇっ!!!」

 恐ろしい速度で振り下ろされた扇の一撃を頭部にもろに受けてサンシャインが地面にバウンドしながら吹き飛んでいく。衝撃によってサンシャインの体からブラスターなどの装備が四散していく。

 吹っ飛ばされたサンシャインは後方にいたフラワーがガントレットの力を使ってなんとか受け止めた。

「キャッ!!サンシャイン大丈夫!?」

 フラワーに抱きかかえられた形になったサンシャインは痙攣しているのか細かく震えていた。

「悪鬼超兵に手こずる程度の魔法少女などまったくもって論外ですわ。本当にこんな奴らがダンテ達を倒せたのかしら」

 レイジーがため息を吐いて目の前のアクアに扇の先を突きつける。

「こんな雑魚とは思いませんでしたが私の初陣の記念として全員の首は貰いますわね」

 真紅の双眸の凶悪な輝きが強まり、レイジーの顔が狂気の笑みを作り出す。


「まずはあなたか―」

「ちょっと!!!空気読みなさいよあんた!!!」

 動けなくなったアクアを屠ろうとしたレイジーだが、突如響いたサンシャインの怒声に出鼻をくじかれた。

 サンシャインは痙攣していたのではなかった、怒りに震えていたのだ。

 バイザーに大きなヒビが入り、プロテクターのあちこちが割れたボロボロのサンシャインがフラワーの腕から飛び出しレイジーの元へずかずかと歩いていく。

「あんたねぇ!私が何か凄いことをやりそうな雰囲気出してたの気づきなさいよ!!こういうのにはちゃんとした作法ってのがあるの知らないの!?初陣とか言ってたみたいだけど、これだから素人は嫌なのよ!!」

 怒気を放ちながらサンシャインがレイジーにまくし立てる。

「ったく、もう一度やってあげるからあんたはそこで余裕ぶっこいてふんぞり返ってればいいの!テンプレを壊せば良いってもんじゃないんだからね!!」

 何やら分からないが凄まじい迫力のサンシャインに圧されてレイジーが後ずさっていく。

「い、一体何をしようっていうのかしら!?」

 謎の圧力に屈しレイジーはマギカフォース達から距離を取り身構えた。

「はぁ、それじゃあ仕切りなおすわよ。……ゴホン、皆行くわよ!」

 咳払いの後、いきなり芝居がかったように叫ぶサンシャイン。そして振り返り、シリウスを睨みつける。

 少しの間を置いてシリウスはその視線の意味を理解した。

「?……あっ!えーっと、フォームチェンジギア起動承認」

 心の中でこんなの必要ないのになぁとか愚痴りながら前もって指示されたセリフを読み上げる。

「了解!フォームチェンジギア起動!!」

 満面の笑みでサンシャインが叫ぶ。それに続くようにアクア、スカイ、フラワーも棒読みで叫んだ。

「「「フォームチェンジギア起動」」」

 眩い光が彼女達の背中に装着されたバックパックから放たれた。

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