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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第4話 フォームチェンジ!激突魔法熟女
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新たなる力、フォームチェンジギア起動!(2)

 次元回廊。無音の世界には灰色の住宅地の風景が広がっていた。

 星宮市西部の住宅地付近でウラーム帝国による侵攻の反応が確認された。

 プリティーピーチの復活以来すっかり駆逐され最近は表立った活動が見られなかったが、突如として比較的規模の大きい部隊の反応が見られたためマギカフォース達に緊急の出動指令が発せられることとなった。


「マギカフォース参上!さぁさぁ、どっからでもかかってらっしゃい!!」

 いつもどおり叫びながら転送ゲートから飛び出したサンシャインが辺りをキョロキョロ見回す。

「……どうでもいいですけど、そのにやけ面どうにかなりませんこと?」

「ニャハハ、新しい装備もらえて浮かれっぱなしだにゃあ」

「ず、ずっと半笑いで気持ち悪いよ」

 サンシャインに続いて他のメンバーもゲートから出てきた。

「……」

 最後に出てきたドリームは無言だった。

「まぁまぁ、ドリーム拗ねないでよ!今回は私達に任せて後ろでゆっくりしてなさいって!」

 口元が緩みきったサンシャインがドリームの肩をポンポンと叩く。バイザーで隠れているが恐らく目元も緩みっぱなしだろう。

 サンシャインがご機嫌な理由はドリームを除いた4人の背中に付けられた新しいバックパックだ。

「いつもいつもドリームばっかりに良いところ……じゃなくて負担かけるのも心苦しかったのよ。でももう安心しなさい、コレがあればドリームに頼ることもなくなるわ!」

 浮かれきったサンシャインがドリームの前でクルクル回り出す。

「……はぁ、このバカの口から出てる騒音は気にしないでねドリーム。でも、サンシャインも私達もあなたのことが心配だったのは事実ですのよ」

 アクアの言葉でドリームはちらりとサンシャインに視線をやったが相変わらず浮かれている姿にすぐ目を伏せてしまった。それを見てヤレヤレといった具合で肩をスカイが肩をすくめていた。


 マギカフォース達がふざけている間にも次元回廊に怪しげな黒い霧が立ち込めだす。

「おっと、来るわね」

 サンシャインが不敵に笑い、次第に集まり濃くなっていく黒い霧に対して身構える。他の4人も同様に霧へ注意を向けている。

 黒い霧の塊の中からまばらに悪鬼兵が出てくる。そして悪鬼兵の集団の後ろから姿の異なる二人の悪鬼も歩いて出てきた。

「……悪鬼兵長が2人いる?それにしても悪鬼兵少なくない?」

 あのダンテが率いていた悪鬼兵が特別多かったこともあるが、今までの戦闘では悪鬼兵長一人に対して100人以上の悪鬼兵を率いているのが一般的だった。しかし目の前には悪鬼兵長らしき悪鬼二人に対して悪鬼兵の数は多く見積もっても精々50人程度だろう。

 それらを率いている悪鬼兵長の一人は頬に大きな傷があり顔にも皺が目立つ歴戦の戦士風だった。もう一人はモヒカンにサングラスという威圧的な格好をした樽のような体型の巨漢だ。両者共に放っている邪な魔力のオーラはダンテに引けを取らないものであったが、それが一層率いている配下の少なさという異質さを引き立てていた。


「ちょっとシリウス!今回の敵は大規模な部隊じゃなかったの!?」

「うーん、おかしいな。反応自体はかなり大きかったんだ。悪鬼兵長たちは厄介そうだがあれほどの反応となると兵力が少なすぎる。伏兵もありうるから気をつけるんだぞ」

 シリウスは周辺データの解析を始めていたがあの黒い霧の塊にジャミングが施されているのか霧の奥に何があるのか掴めないでいた。

「はん、どうせこけおどしでしょ!私達にボコられすぎて悪鬼共も人材不足なんじゃない?それかあいつらの人望がないか」

 サンシャインの挑発にサングラスをかけた巨漢悪鬼の頬が引き攣る。

 渋い顔をして睨んでいたスカーフェイスの老悪鬼が無言のまま右手を前に突き出した。その合図と共に悪鬼兵達がマギカフォースへと押し寄せてくる。

「そうこなくっちゃ!まぁこの程度ならアレは使うほどでもないわね。来いっ!エクストラウエポン!!」

 サンシャインの掛け声にあわせマギカフォース達は武器を呼び寄せる。

「速攻終わらせるっ!」

 叫び声と共にサンシャインが大剣で殺到する悪鬼の群れをぶった切る。

 後続にアクアのチェインソードが襲い掛かりなぎ倒していく。

 初撃で混乱状態に陥った悪鬼達にスカイのガトリングが無慈悲なまでに叩き込まれる。

「あっけないわね!」

 まさに蹂躙であった。たった50人ほどの悪鬼達はマギカフォース3人にあっさりと駆逐された。

「余りに歯ごたえがなさすぎますわ。サンシャイン、浮かれて警戒を解かないようになさい」

「わかってるって!さあ、残ってるボスもかるーく片付けちゃいますか!」

「ニャハハ、全然わかってなさそう」

 マギカフォース達と対峙している悪鬼兵長達はいまだ無言を貫き仁王立ちをしたままだった。

「……」

 ドリームだけは後ろの黒い霧に強い魔力が渦巻いていることを感じ取っていた。

「(いざとなったら私が全力であの霧に)」

 ドリームがそんなことを考えていたら前線のサンシャインが悪鬼兵長に向かって駆け出そうとしているのが見えた。

「来ないならこっちから行くわよ!先手必勝!!」

「―!!サンシャイン危ない!!」

 咄嗟にドリームが駆け出していたサンシャインの前方に魔力弾を打ち込んだ。

ドムッ!!

 目の前で急に起きた爆発にサンシャインは咄嗟に横っ飛びして回避した。

「何すんのよ!!危ないじゃない!!」

 慌ててフラワーが発動したシールドに守られたためサンシャインに怪我はなかったようだが、突然の凶行に怒り心頭の様子だ。

「サ、サンシャイン落ち着いて。地面に敵が!」

「えっ?」

 着弾した地点、サンシャインが先ほどまで立っていた場所まで這うようにして足元に広がった黒い霧の中から潜んでいた悪鬼兵がゾロゾロと這い出てくる。しかもそれらは先ほど倒したものと比べて体格が一回り大きく、持っている武器も凶悪な物ばかりだ。

「やはり伏兵がいたようですわね」

「なんだか物騒な悪鬼兵だにゃあ」

 這い出てきた悪鬼兵達はたちまち大軍を形成していった。

 そして悪鬼達の背後の黒い霧が大きく渦巻いていく。


「オーッホッホッホ!!マギカフォースの皆様、楽しんで頂けたかしらっ!」

 霧が二つに割れ、中から黒薔薇の刺繍が施された紫色のドレスを着た褐色の少女が現れた。

 スリットの入ったスカートを翻しながら霧より歩み出てきた少女は真紅の眼差しでマギカフォース達をゆっくりと眺めていく。

「私こそが悪鬼将軍が一人、ウラーム帝国帝王に最も近き存在、レイジー様よ!」

 名乗りと共に長い銀髪を揺らしマギカフォース達に向けて悪戯っぽい笑みを浮かべるのだった。

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