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かーちゃん実は魔法少女だったの……  作者: 海原虚無太郎
第3話 ゆとり魔法少女セイントナース舞う
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魔法少女同盟(2)

「それでは魔法少女同盟結成を祝しまして、乾杯!」

「かんぱ~い♪」「乾杯」

 スターランド王城の一室で獣頭の男達がささやかな祝杯を挙げていた。

「トライガーには本当に世話になったのぅ。如何せんワシら夢調律課は魔法少女運用実績が少なくて契約者には苦労をかける羽目になってしまった」

 長く伸びた真っ白な眉毛に目が隠れてしまっている老山羊頭の男がゆったりとソファーに体を預けて虎頭の男に語りかけた。

「いえいえ、今回の件は偶然ですよ。それに我々軍部もまだアフターケアに関しては完璧とは言いがたいです。魔法少女としての役目が終わってからの人生には我々も大きく干渉できませんからね」

「良い事も悪い事も含めて人生なんだけどね。魔法少女時代が人生のピークだったと思い込んじゃうのが一番ダメなんだけど、普通の人生の中の普通の幸せを見失っちゃう子もいるのも現実よね。幸せ溢れる世界を目指してスターランド総出で頑張っていることって人間が知る由もないし難しいわぁ」

 トライガーとスピネルが空けたグラスを机に置いた。


「ともかくこれで魔法少女同盟が正式稼動する。あとは我々と彼女達で速やかにヘイトレギオンを討伐するだけだ。最近は軍部も魔科学一辺倒になりつつあるし、ここいらで古き良き魔法具を駆る魔法少女復権に向けて格の違いを見せ付ける」

 トライガーが拳をギリリと握り締める。

「保全部の方のシステムも魔科学に置き換わりつつあるわねぇ。人間界からの技術応用っていうのは確かに凄いし便利なんだけどね」

「ワシらのところは夢世界が特殊すぎて魔科学応用がまだ進んでおらんようじゃ。時空間転送ゲートシステムもほぼ10年前と代わっておらん。ワシの頭じゃ最新システムとやらも使いこなせんし今のままで十分なんじゃがなぁ」

 魔科学はここ数年で急速に発展している新機軸の技術。その急激な発展は人間世界の技術の発展によって支えられてきた。

 人間界の最先端の情報科学技術や工学技術などを取り込み魔科学は今やスターランドに無くてはならない物となっている。

 そして「魔法少女」という防衛・戦闘分野においてもシリウスによって意欲的なシステムが構築され、それが投入されるに至った。


「姫の戯れではあるが、この機会に若造どもの目を覚ましてやらないとな」

 トライガーの瞳には闘志がメラメラと燃えるのであった。



*  *  *



「ありすー、おっすおっす。明日から私看護実習なんでとりあえず実習内容全部教えろ」

「はぁ?会っていきなりそれぇ?……そうだなぁ、焼肉奢りで手を打とう」

「ちょっ!ふざけんなって~」

 講義室の最奥列でありすと奈々子がいつものようにじゃれあっていた。

 7月最後のこの講義が終われば本格的な夏休みということもあって、講義室には学生の楽しげな声で溢れていた。


「しょうがないにゃあ。奈々子のために私の実習の成果をお見せしよう」

 そう言うとありすはごそごそとバッグを漁り財布を取り出す。

 そしてその中から奈々子の前に長方形の白い紙を2枚並べた。

「……ん?名刺?」

「こっちが外科の先生で、こっちは小児科の先生。外科の先生はちょっと年行ってるけど愛人でも良いからってお小遣いめっちゃくれた。小児科の先生は若いんだけど、近々開業考えてるんだって」

「はぁ!?あんた実習中にお医者さんゲットしてたの!?」

「折角なんだからガツガツいかなきゃっしょ。もっと若い研修医みたいなのからもいっぱい声掛けられたけど雑魚は眼中なし。あと患者のエロ爺がうぜぇ」

 ありすはニヤニヤ笑いながら自慢げに喋る。

「期間短かったから二人しかゲットできなかったけどね。まぁ、奈々子も頑張りたまえ」

「ビッチパイセン羨ましすぎ~。私も化粧バッチリキメて行かなきゃ」

 姦しい会話は盛り上がっていく。

 この時ありすのバッグの口から覗くビッシリと書き込まれた実習レポートに奈々子が気づくことは無かった。


 

 胸の中の輝きは再びあるべき道を照らし始めている。

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